結月
人類の歴史は戦争の歴史であると言えるかもしれない。
「この世は弱肉強食の世界です」
「弱いものは淘汰され強いものが生き残るのです」
「それは自然界でも人間界においても同じことです」
「弱ければ死ぬしかないのです」
「死を恐れる必要などありません」
「なぜなら人は死んでもまた生まれ変わることができるからです」
「輪廻転生を信じなさい」
「人は死んだあと再び別の命に生まれ変わっていくという宗教の教えを信じるのです」
「それが人に与えられた唯一の救済の道なのです」
「あなたは輪廻転生という言葉を知っていますか?」
「魂は何度も生まれ変わり、人の世に生まれては消えていきます」
「これは仏教において説かれている教えです」
「あなたたちは今一度考え直さなければいけません」
「この世界は弱肉強食ではありません」
「すべての生命は支え合い、助け合うことで生きている。その考えは間違っていると思うか?」
「そんなことはないけど、でもそれは結局は自然の摂理に従って生きるというだけで、 自分のためだけに生きるというのは自然じゃないよね」
「じゃあどうすればよかったんだよ!!」
「……」
「俺にはもう後がなかった!俺は必死に生きただけだ!! それが間違いだとしたら、なんなんだ!?教えてくれよ!!!」
「……」
ハヤグリーヴァは砂漠の中に消えていきました。
