写真/さところ

それから俺たちは色々な場所に行った

誰もいない踏み切り

三重の伊勢神宮

沖縄の古宇利島

ガヤガヤ

青森のねぶた祭り

北海道の函館山

秋田の角館武家屋敷通り

愛知の名古屋港水族館

写真を撮っているときの君は

もうすぐ死んでしまうことなんて感じさせないくらい

病気を患っていることなんて忘れさせてくれるくらい

とっても綺麗だった

でも……

旅行先のホテル

翌日、俺たちはころんの地元に向った

正直、俺の心は限界だった

愛する人が目の前で弱っていく姿を もう見ていられなかった…

それでも

ころんの意思を尊重するって決めたから

愛する人の願いを叶えるって決めたから！

俺は最期まで支えるよ

夜中

カシャ

その瞬間

俺はシャッターを切った

水平線から昇る朝日によって 輝いた涙は

君が初めて見せた弱さは

とても

綺麗だったから

だが

あの言葉を最後に

ころんはまた倒れてしまった…

幸いにも、近くに病気があり

そこで入院する事になった…

秘密の場所で撮った写真はピントが ズレていた

ピントがズレてしまった理由は分からない……

涙で視界がぼやけたからだろうか？

それとも、咄嗟にシャッターを切ったからだろうか？

それとも、この愛する人が

尊く

そして儚く

見えたからだろうか？

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