紡希 絢
夜、赤い小包を見て言う。
メッセージカードも書いた。
リボンも綺麗に結べた。
しかし、赤い箱にピンクのリボンは可愛子ぶりすぎだろうか。
ふと、茅野の言ってた事を思い出す
男は押しに弱いの!特に好きな女の子の頼みはなんでも聞くのよ!
なんでもなんて言い過ぎかもしれないとその時は思ったけど、龍君を見てると納得いく。
時計を見るともう10時45分を回っていた。
紡希 絢
明日、早起きできない。
私の読みでは午前6時頃に
出発のはず
次の日
紡希 絢
紡希 絢
早起きしなくちゃとか言ってて、結局起きたのは5時半。
朝ごはんもすっぽかして、急いで着替えて髪の毛を整えて、
化粧とかしようか迷ったけど、いつもの私で行こうと思った。
用意していた可愛いワンピースもいらない。
紡希 絢
薄い黄色のシャツにピンクのセーター。チェック柄のロングスカート。
昨日の小包を片手に走る。
紡希 絢
12月。私が送られる側だったらいつ喧嘩してもおかしくないかなって思って送っていった。
密かに覚えていた
哉翔君のお家。
紡希 絢
眠い頭を無理やり起こしながら見つけた人。
ずっと、ずっと、この1年間ずっと見てきた大きな背中。後ろ姿。
見間違わない、見間違うはずがない
紡希 絢
紡希 絢
平 哉翔
驚いた顔をして振り返るその人は、
私の好きな人
紡希 絢
考え事しながら走っていたから余計に体力を使った。
平 哉翔
紡希 絢
喉から無理やり声を絞り出す。
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
哉翔君が苦笑いをする。
紡希 絢
紡希 絢
紡希 絢
平 哉翔
哉翔君は黙り込む。
下を向いて歯を食いしばっている。
紡希 絢
紡希 絢
平 哉翔
哉翔君はいつもと違う雰囲気。
朝だからかな。まだ2月だからかな。
私と同じようなフェミニンな服を着ている。緑色のカーデガンなんていつもは絶対着ないのに。
少し丸い雰囲気。
紡希 絢
平 哉翔
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
少しの間沈黙が起きる。
哉翔の父
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
紡希 絢
赤い小包を渡す。
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
紡希 絢
カードにはこう書いた。
「大学受験が終わるまで開けるべからず。」
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
朝の住宅街に私たちの笑い声が響く
哉翔の父
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
哉翔君が車に乗る。そして、助手席の窓を開けて声をかけてくれる。
平 哉翔
紡希 絢
平 哉翔
少し黙り込んだ哉翔。けれど、明るい顔をして笑う。
平 哉翔
紡希 絢
紡希 絢
平 哉翔
車はエンジン音をたてて走り出す。
紡希 絢
意地で笑え。じゃないと一生夢に見るぞ。
哉翔君が後ろを振り向いてくれたのが見える。
私は小さく手を振った。涙を堪えながら。哉翔君の乗っている車がみえなくなるまで。
見えなくなった時私はその場にしゃがみ込んだ。
紡希 絢
声を殺しながら泣く
「またな」って言ってくれた。
きっとまた会ってくれる。
いや、また会える。かな。
私は涙を拭きながら立ち上がった。
今から学校に行っても遅刻だろうなぁ。
私は空を見上げて笑う。
良くもまぁ、私が哉翔君のような人と一緒にいれたものだ。
性格正反対だよね。
いつだったか茅野が言っていた。
紡希 絢
でも、多分哉翔君も今、同じことを思っている。
助手席から除く空はうざったいほど晴れていた。
せっかく人が一生懸命泣くのを堪えてるってのに。
哉翔の父
平 哉翔
まだ。な。
いつかそうするつもり。ではあるが、そのうち誰かに取られてしまうのではないかと思ってしまう。
平 哉翔
その点は茅野が何とかしてくれるだろうと割り切った。
ふと、膝の上にある赤い小包に視線を落とす。
平 哉翔
長いなぁと思いつつ、頑張るかと思う。
転校先の高校はどうも中学時代の友人がいるらしい。
バカ3人組でまた遊べるだろうか。
平 哉翔
片方は確信が着いている。同じ高校に行くって決めてたらしいし。俺と同じように。
もう一度空を見る。
さっきまで泣きたかった気持ちがどこかへ飛んで行った。
自然と笑ってしまう
2月、最後の週。
もうすぐ春になる。
きっと今絢も同じことを考えているだろうな。
「告白しなくてよかった」
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最後のセリフが…