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ボスキと主様

第85話 - 第85話静かなる大地、儚き桜第1章

2025年04月17日

#悪魔執事と黒い猫

#ボスキ・アリーナス

aimer(エメ)

夜の街

主

わ～。綺麗!

ユーハン

この時間帯は、屋台やネオンをつけた建物で街も賑わいを見せるお時間ですからね。主様は、どちらから見て回られますか？

主

う〜ん…。

ハナマル

お、主様。あそこの屋台、肉まんがあるみたいだぞ。食べるか？

主

………いらない…。

ベリアン

主様…。

ベリアン

(昼はきちんとお食事を採られましたのに…。そういえば、夕方にお聞きした際もお腹が空かないとおっしゃっておりましたね。)

ルカス

主様。少しは何かをお口にされないと身体に障ってしまいますよ？
私とご一緒に何かお食べになられませんか？

主

ルカスと？

ルカス

はい。主様。

と微笑むルカスにユーハンが言う。

ユーハン

しかし、執事である私たちと主様がお外で共にお食事はいささか問題にはならないでしょうか？

ベリアン

そうですね…。

と困る執事たちを見て、主は何を思ったのかその場を走り去る。

ベリアン

主様!!

ハナマル

おい!

ユーハン

主様!どちらへ？!

そういい、追いかける3人の後をルカスも追いながら考える。

ルカス

(ただの幼児退行ではないのかもしれないね。少し、検査が必要だね…。)

夜の公園

キィーキィー

主は、1人ブランコに乗る。他の執事は人混みの中で主を見失っていたためだ。

主

ふ～ん♪ふ～ん♪

そして、そんなことすら今の主にはどうでもいいことかのようにブランコを楽しむ。

ハナマル

(どこにいったんだ？って、あれは主様か？)

ハナマル

ふぅ～。心配させやがって。主様。戻るぞ～。

主

ふ～ん♪ふ～ん♪

ハナマル

(聞こえてないのか…？いや、こんな静かな場所で聞こえないわけないよな？)

ハナマル

何、ふてくされてんだよ～。主様～。

というとハナマルはブランコを手でとめる。そして、主は足を地面につけたまま下を向き、ブランコから降りずに座り続けていた。その主の前に来て、主の目線に合わせてしゃがむと、主の頭をわしゃわしゃ撫でるハナマル。

ハナマル

おりゃおりゃ。

主

キャッキャッ///

と笑う主にハナマルは言う。

ハナマル

なぁ、主様。一緒に飯でも食べようぜ。俺、腹減っちまったからよ～。

主

うん!///

ハナマル

なら、行くか。

主

うん!////

そうして、主はハナマルに手を引かれ、みんなの元へと戻った。

ベリアン

主様!!

主

ベリアン…。

ルカス

お怪我はないようですね。主様。

主

ルカス…。

ユーハン

主様に何事もなく、私も安心致しました。

主

…ユーハン。

ハナマル

みんな心配したんだぞ。もう、急にいなくならないでくれよ？主様。

主

…ハナマル。

主

………ごめん…ぐすっ…な…さいっ…ぐすっ。

ハナマル

よしよし。主様は、きちんと謝れて偉いな。

と優しく頭を撫でるハナマル。

ベリアン

主様。私たちは怒ってなどおりませんよ。ただ、ご心配をしていただけです。ご無事で何よりでした。

ルカス

フフッ…。主様。泣かれていては可愛いお顔が台無しですよ。笑ってください。

ユーハン

主様。申し訳ありません。
私があのようなことを仰らなければ、急にいなくなるようなことはなかったでしょう？
本当に申し訳ありません。

主

ううん。私こそ、急にいなくなってごめんなさい。ユーハン。

ハナマル

んじゃ、みんな腹減ってるし、飯でも行くか。
主様。

主

うん!///

そして、みなは主と共に大衆食堂へ行き、楽しくご飯を食べるのであった。

その後、色々なものを見たり、再び食べ歩きをし、疲れきった主はハナマルの背中で再び眠る。

ハナマル

へッ…。遊び疲れた子供みたいだな。

ベリアン

はい。かなり、はしゃがれていましたからね。

ユーハン

可愛いらしい。寝顔をしていらっしゃいますね。

そういい、ハナマルの背中で眠る主の頭を優しく撫でるユーハン。

ルカス

明日、少し主様を診察してみるよ。

ベリアン

ルカスさん？

ルカス

うーん…思った以上に深刻なのかと思ってね。愛着障害にも似た行動も見られたし…。

ハナマル

大丈夫なのか？主様は。

ルカス

明日、主様が起きられたら、いくつか質問してみようかと思ってる。それによっては、別の精神疾患が見つかるかもしれないからね。

ユーハン

私は、捜索をしておりますので、主様のお傍にご一緒することは叶いませんが、ルカスさん、主様をどうぞよろしくお願い致します。

ルカス

もちろんだよ。
ユーハンくん。

そして、みなはホテルへと戻り、ルカスが主をみることになり、他のメンバーは別室で眠るのであった。

翌日

ルカス

おはようございます。
主様。

主

おはよう。ルカス。

いつも通りに見える主。

ルカス

主様。本日は私とベリアンとハナマルくんとでお出かけに行こうかと思うのですが、その前に少し、診察をさせていただいてもよろしいですか？

主

うん。わかった。

ルカス

それでは、いくつかご質問いたしますので、ありのままにお答えくださいね。

主

わかった。

そして、診察をしていくルカスは、しばくすると主に微笑み。

ルカス

はい。これで診察は終了ですよ。主様。
お疲れ様でした。

主

あ、うん。私、なんともないよ。

ルカス

はい。ですから、本日は私たちと楽しいデートにしましょうね？

主

…う、うん/////

そして、ルカスは軽く主にキスをする。

ちゅっ

主

///////

ルカス

フフッ…。可愛いですよ。主様。

主

ルカスったら…////

そして、2人は笑うと、ベリアンとハナマルとホテルのロビーで合流し、お出かけをした。

東の大地、地酒コレクション施設。

ハナマル

お～!この酒はめったにお目にかかれない地酒だぜ!主様!

主

そうなの？どれどれ？

とハナマルと主がお酒を見て話す中、その後ろで小声でルカスとベリアンは話をする。

ベリアン

ルカスさん、いかがでしたか？主様の状態は。

ルカス

あまり良いとは言えないね…。主様の手前、主様にはなんともないですよとお話はしたけれど…。

ベリアン

そうですか…。

ルカス

私の見たてでは、発達障害の1つであるADHD、別名:注意欠如・多動症ではないかと思っているよ。それに伴って、愛着障害を併発しているね。あとは、病気というわけではないけれど、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)もあるようだね。ようは過敏に周囲の事象を捉えてしまう繊細さんや敏感さんと言われる人たちのことだね。

ベリアン

治りますよね…？

ルカス

こればかりは、薬で緩和できたとしても、本人の精神次第としかいいようがないから、治るとはいいきれないね。どちらかというと、どう上手くその病と向き合って行くかが大事だね。私もできる限り全力はつくすつもりだけれど…。

ベリアン

そう…ですか。私に、何か出来ることはないでしょうか？

ルカス

今、主様にできることは心穏やかであられるよう、お傍で支えるということくらいだね。私もフォローはしていくから、ベリアンはいつも通り、主様に接してあげてね。

ベリアン

わかりました。
ルカスさん。

主

ねぇ、2人とも何してるの～？置いてくよ～!

ベリアン

今、参ります。主様。

ルカス

主様。今、参りますので、少しお待ちくださいね。

そういい、主の元へベリアンとルカスは向かった。

一方、ユーハンは

ユーハン

(これだけ、深い森ならば、どちらへでも隠れられそうですね。)

ユーハン

それにしても、あの情報の真偽はいかがなのでしょうね…。

カサッカサッ

身構えるユーハン。しかし、草むらから出てきたのは一羽のうさぎであった。

ユーハン

フ…うさぎでしたか。

ユーハン

(懐かしいですね…。幼い頃、母にうさぎをとって持ち帰った日のことを思い出します…。)

ユーハン

全て失ってしまいましたが…。

とユーハンは懐かしみながら、強い憎しみと怒りを憶えながら、この元凶となった者を探し、深い森を歩くのであった。

ハナマル

主様。この酒美味いぞ？

主

え、飲みたい!

ベリアン

あらあら、ハナマルさん、今は主様の警護中ですよ。

ルカス

ベリアン。そんなに気にしなくても私が見ているよ。それに、彼らも大っぴらに公の場に出てきたりはしないはずさ。

ハナマル

あぁ。俺もそう思うぜ。もし、何かあっても、この程度ならすぐ動けるから安心しろよ。

主

ベリアン。

ベリアン

はい。主様。

そして、不安そうにベリアンの顔を覗き込みながら、主は言う。

主

美味しいよ。

ベリアン

フフ…。そうですか。
でも、飲まれすぎないでくださいね。主様。

主

はい…そこは自重します///

以前を思い出し、そう告げ恥ずかしがる主にハナマルは笑う。

ハナマル

へッ…。主様、気に入った酒あるなら買って帰るか？

主

あ、そうだね。買って帰って、みんなで後で飲もう!

そして、主はお酒を買ってもらうと、ハナマルがお酒を持ち、主とルカス、ベリアンの4人でお出かけを続けるのであった。

そして、主は、骨董品に目をやり見ている中、ベリアンが傍につき、ハナマルはルカスから主の状態を聞いていた。

ハナマル

そうか。

ルカス

はい。

ハナマル

でも、それでも俺は主様は主様だと思ってるぜ。違いなんかねぇよ。

ルカス

そうですね。私もそう思っております。

ハナマル

それに、急にそうなったように俺たちには見えたが、そうじゃないんだろ？

ルカス

そうですね。恐らく、以前から患ってはいたのでしょうが、それが顕著にみられなかっただけなのではないかと思われます。

ハナマル

そうか。なら、俺は俺のできることをして主様を支えるだけだ。

ルカス

ハナマルくんらしい回答ですね。私も出来ることをさせてもらいます。主様は私がこの世で唯一、愛した女性ですから。

そう2人は話した。そして、主はベリアンに

主

このティーカップ、
ベリアン好きそう!

ベリアン

確かに趣があり、素敵なティーカップですね。

主

私からベリアンに
プレゼント。

というと、ティーカップを持ち、店員へと渡すと、もらっていたお小遣いから主はベリアンにティーカップを購入し、プレゼントした。

ベリアン

あ、主様？！

主

いつもありがとう///

流れるようにプレゼントされ、ベリアンは止めにすら入れず、主から袋を渡される。

ベリアン

フフ…。ありがとうございます。大切に致しますね///

その一部始終をみていたルカスとハナマルは

ルカス

フフッ…。妬けてしまいますね。

ハナマル

良かったじゃねぇか。
ベリアン。

主

あ、ルカス…
ハナマル…。

と2人には何も渡せていないことを気にする主。

ルカス

主様。私とは、この後、ご一緒にお食事をしていただけますか？

主

え？あ、うん。

ハナマル

なら、俺は～っと、
主様、一緒にホテルで酒飲もうな。

主

うん。

それでも気にする主に、主の耳元でルカスはいう。

ルカス

もし、2人きりになられた時には、私とまた致していただけませんか？///

主

…うん////

カフェ

ルカスとハナマルが食事に行く間、カフェに来た主とベリアン。

ベリアン

主様。こちらのパンケーキなどいかがでしょうか？

主

うん…。

ベリアン

(また、気にされていますね…。)

ベリアン

こちらのパンケーキには、キャンディストレートがよく合いますよ。

と微笑み語るベリアンに申し訳なさそうな表情の主。

ベリアン

主様。私は、主様に仕えた時より主様の幸せそうにお食事をされる姿を見て幸せを感じて参りました。ですから、主様が辛そうだと私も辛いのです。

主

ベリアン…。

ベリアン

どうか、ご遠慮などされず、私に主様の幸せそうなお顔を見させていただけませんか？

主

…うん。なら、ベリアンのオススメでお願い///

ベリアン

かしこまりました。それでは、少々お待ちいただけますか？ご注文して参ります。

主

うん///

暫くして届いたパンケーキとキャンディストレートなる紅茶を美味しそうに食べる主。

主

おいしい。この紅茶も甘い香りがするのに、飲むとスッキリしていてすごく飲みやすい///

ベリアン

お気に召していただけたみたいですね。

主

うん///ありがとう。
ベリアン。

ベリアン

フフ…。いえいえ。

そして、パンケーキと紅茶を堪能した主の元にルカスとハナマルが戻ってきて、交代でベリアンが食事へと向かった。

そして、主とルカスとハナマルは近くの桜が咲く丘へと来ていた。

主

綺麗…。

ルカス

そうですね。主様。

ハナマル

あぁ。主様。

そして、春風が吹き、桜が舞い落ち流れていく景色を3人は見ていた。

そして、主を見てルカスとハナマルは思う。

ルカス

(何故だろうね…桜の下で佇む貴女に私は儚さを感じてしまうのは…。私はあと貴女とどれほどの時間を共に過ごすことができるのかな…。)

ハナマル

(○○…。なんでだろうな。今の○○を見ていると儚げで危うく見えてしまうのは…。)

主

ルカス？ハナマル？どうしたの？私、何か着いてる？

ハナマル

あぁ。髪に桜の花びらがついてる。

主

え？とって。ハナマル。

というとハナマルは、主の頭に右手を伸ばし、のった桜の花びらをとる。

ハナマル

ほら、とれたぞ。主様。

主

ありがとう。ハナマル。

ルカス

主様。少し、あちらで休まれますか？

というとルカスが言う方向を見るとベンチがあることに気づき主は頷く。

主

うん。ルカス。

そして、主がベンチへ腰掛けるとルカスとハナマルはその傍で執事らしく佇む。

主

2人は座らないの？

ルカス

はい。こちらは、他の方もお通りになられますから。

主

そっか。

ハナマル

大丈夫だって。ちゃんと傍にいるから。だから、気にせずにゆっくりしてくれよ。主様。

主

ありがとう。ハナマル。

そして、しばらく桜を見る主は思う。

主

(綺麗だけど…桜を見てると、妙に儚さと切なさを感じてしまうのはなんでだろう…。)

主

桜って咲いたかと思えば、あっという間に
散っちゃうよね…。

ルカス

そうですね。

ハナマル

あぁ。

主

まるで、人の人生みたい…。

ルカス

主様…。私は、最後まで貴女にお仕えして参りますよ。

主

ルカス…。

ハナマル

あぁ。俺もだ。この命がある限り、主様を守るからな。だから、たくさん、笑ってくれよ。俺は、その笑顔を必ず守るからさ。

主

ハナマル…。2人ともありがとう。でも、私も2人には笑っていてほしいし、幸せであってほしいって思うよ。

ルカス

主様…。ありがとうございます。私は今、とても幸せですよ。主様に出会えましたから。

ハナマル

あぁ。俺もだ。主様。

そして、儚い桜を見ながら、3人は確かな幸せを感じるのであった。

次回へつづく

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