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とある物書きの挑戦譚【第二期】

第6話 - マリア様のお絵描き教室

314

2021年07月29日

#ファンタジー

#転生

#転生モノ

#創作

#異世界転生

#一次創作

破壊神と別れて数日経った頃。

スタスタスタ… （シゼとマリアが廊下を歩く）

マリア

変な人に追われているところを【セオドア・レティオール】様に助けてもらった…！？

シゼ

はい。

シゼ

？

シゼ

…有名な方なのですか？

マリア

とっても有名な方よ！

マリア

あの方は外交大臣補助官といって、同盟や貿易について他国と交渉する仕事をしてるの。

マリア

あの方は13歳の頃からその仕事をしているのだけど

マリア

剣技も上手だし、頭もいいから今の第二王子からは重宝されているって聞くわ。

シゼ

えっ…

シゼ

それはすごいですね。

マリア

あの方を知らない人はいないわ。

マリア

文武両道で、家柄も良し、

マリア

顔立ちもびっくりするくらい綺麗で、他国の姫から求婚されたことがあるらしいわ。

マリア

お父様が現在の外交大臣で周りから期待されてるから

マリア

ゆくゆくはお父様の後を継いで外交大臣になられるんじゃないかしら。

シゼ

（なるほど）

シゼ

（只者ではないと思ってたけどまさか外交大臣の子供だったのか…。）

シゼ

（どうりで部屋が豪華だと思った。）

シゼ

（しかも13歳で外交補助員とか…すごすぎる。）

シゼ

…。

マリア

とんでもない人と会っちゃったって顔してるわね。

シゼ

！…。

マリア

お礼の手紙を書かなきゃいけないわ。

マリア

この仕事が終わったらお礼の手紙を出しましょう。

マリア

確か昨日、あの方は船で他国の方に行かれてるから

マリア

お帰りになられたらきっちりと礼を言うのよ。

シゼ

は、はい。

マリア

にしても…働いて初日にセオドア様に会うなんて。

マリア

夜中に部屋に入ったりして【ベル様】の邪魔にはならなかったの？

シゼ

！…

シゼ

ベル様？

マリア

セオドア様の婚約者のことよ。

マリア

近くにいらっしゃらなかったの？

シゼ

えっ…。

シゼ

セオドア様って…ご結婚されてるんですか？

マリア

結婚はまだよ。

マリア

セオドア様とベル様は去年婚約が決まっているの。

シゼ

そ、そうなんですか…。

シゼ

随分と早くに結婚されてるんですね。

マリア

？…そうかしら？

マリア

ギリカールの貴族だと

マリア

早くても15歳くらいには婚約者を決めて結婚するから、むしろ遅い方だと思うけど…。

シゼ

！…

シゼ

そうなんですね、知りませんでした。

シゼ

（なるほど、）

シゼ

（この世界ではそれくらいの歳で結婚するのが普通なのか…。）

マリア

ベル様はギリカールの青い薔薇って呼ばれてるくらいお美しい方らしいの。

マリア

美男美女でお似合いよね…考えただけでもうっとりしちゃうわ。

マリア

は〜…

マリア

私も、早く新しい相手を見つけないといけないわね…どこかにいい人いないのかしら。

シゼ

きっと現れますよ。

シゼ

応援します。ﾆｺｯ

マリア

！…

マリア

ありがとうシゼ、よろしく頼むわ。

マリア

…で、

マリア

シゼ。

マリア

今回貴方にやってもらう仕事は、かなりハードよ。

シゼ

そうなのですか？

シゼ

今からマリア様がなさる仕事は

シゼ

絵の授業で

シゼ

私の仕事内容は確か、

シゼ

それの補助でしたよね…？

マリア

ええ、

マリア

私は毎日、この扉の奥にあるお部屋で絵の描き方をぼっちゃんに教えているのだけど。

マリア

この仕事、油断はできないわ。

マリア

扉を開けたら、生徒のぼっちゃまが飛び出してくるから

マリア

全力で捕まえなさい。

マリア

…準備はいい？

シゼ

！…

シゼ

はい…。

マリア

…よし、

マリア

行くわよ。

ガチャッ

カイト

今だっ！！

　バッ！！

（1人の男の子が飛び出す。）

マリア

！

マリア

シゼ！！！

シゼ

はい…っ！

ガシッ！

（シゼが男の子を捕まえる）

カイト

ぎゃあッ！

カイト

なんだこの女は！

マリア

よくやったわシゼ！

マリア

さぁて、カイトおぼっちゃま。

マリア

この前に引き続きサボりは許しませんよ！

マリア

今日こそはお絵かきの練習を受けてもらいます！

カイト

やだね！このブース！

マリア

こら！

マリア

お母様に言いつけますよ！早く部屋に入って椅子に座りなさい！

マリア

シゼ、早く扉を閉めなさい。

シゼ

わかりました。

カイト

離せ！この猿！

カイト

お絵描きなんて大嫌い！

カイト

もう帰る！

マリア

わがまま言わないでください。

マリア

ご両親が悲しみますよ。

マリア

…さて、

マリア

今日はこのリンゴを描いてみましょう。

マリア

まずは軽く下絵を描くために空間を意識して輪郭を…

カイト

…。

カイトがこっそり逃げ出そうとする。

マリア

シゼ！

シゼ

はい。

ガシッ！

（シゼがカイトの腕を掴み再び座らせる）

カイト

ぎゃああっ！

カイト

なんだお前！

カイト

コイツのなかまか！！

マリア

よくやったわ。

マリア

カイトぼっちゃま、話を聞きなさい。

カイト

ッチ…！

カイト

このブス！ばーか！

マリア

コラ！やめなさい！

マリア

続けますよ。

マリア

こんな風に筆を持って優しくタッチを…

カイト

けっ…！

マリア

よし、

マリア

それでは、絵を描いてみてましょう。

マリア

シゼ、貴方は自由にしてていいわ。

シゼ

わかりました。

パラッ… （軍記モノの本を読む）

シゼ

…。

カイト

…。

シゼ

…。

シゼ

（視線を感じる…。）

シゼ

（どうしたのかな。）

（シゼがチラッとカイトの方を見る。）

カイト

！…

（カイトが目を逸らす）

シゼ

（あれ？…気のせいか）

カイト

…。

シゼ

…。

シゼ

（いや、見てる）

シゼ

（確実に今こっちを見ている…。）

カイト

…。

シゼ

…。

シゼ

（警戒されてるのかも…ここまで読んだら少し話しかけてみるか。）

シゼ

（よし）

シゼ

これはこれは…

シゼ

すっごく上手ですね、カイトぼっちゃま。

カイト

！

マリア

？…

シゼ

少し黄色を混ぜて光の当たっている部分を強調しているのが特に素敵です。

シゼ

絵、お上手なんですね。ﾆｺｯ

カイト

…。

カイト

違う。

シゼ

？

カイト

その黄色は赤ばっかりじゃつまんないから塗ってみただけ。

カイト

そんなめんどくさいことしない。

シゼ

！…

シゼ

そうでしたか、失礼しました。

シゼ

（あちゃー違ってたかー…。）

カイト

…でも、

カイト

絵のうまいのはあたってる。ﾌｯ

シゼ

！…

シゼ

（おっ照れてる、満更でもなさそう…褒めてよかった。）

シゼ

それはよかったです。ﾆｺｯ

カイト

シゼとか言ったな。

カイト

マリアの子分にしてはよく分かってるじゃないか。

カイト

気に入ったぞ。

シゼ

！…

シゼ

こ、子分…？

カイト

そうだ。

カイト

もっと褒めてもいいんだぞ、例えばこことか…

シゼ

！…

シゼ

ここですか？

カイト

そうそう、ここ…

ぺちゃっ

　（カイトがシゼの頬に筆で絵の具をつける。）

シゼ

うわっ…！？

カイト

っ…！

カイト

ぷぷぷ…っ

カイト

ひぃっひひひ！！

カイト

ばぁーか！

カイト

ひっかかった〜！このマヌケー！

カイト

この隙に逃げてやる！

マリア

あ！コラ！

マリア

カイトぼっちゃま、待ちなさい！！

カイト

ベーっだ！

カイト

これでもくらえ！

（カイトがカエルを投げる）

マリア

ぎゃあッ！！？

カイト

フン！

カイト

能無しのクリジア人が！

カイト

ざぁーこっ！

タッタッタッタッタッ…

マリア

シゼ！貴方…顔が！

シゼ

大丈夫です。

シゼ

それより、

シゼ

早くカイトぼっちゃまを追いかけましょう。

マリア

！…。

マリア

そうね、そうしましょう…！

マリア

ぼっちゃまー！

マリア

カイトぼっちゃまー！

マリア

シゼ

…。

シゼ

見つかりませんね…。

マリア

…そうね。

マリア

もう暗くなっちゃったから、ご両親のお部屋に戻ったのかもしれないわ。

シゼ

そうですか。

シゼ

では、私が確認してきます。

マリア

いいえ。

マリア

確認は私が行くわ。

マリア

貴方はその顔についた赤い絵の具をお風呂で落としてきなさい。

マリア

せっかくの美人が台無しよ。

シゼ

！…。

シゼ

わかりました、

シゼ

ありがとうございます。すぐ戻ります。

タッタッタッ…

シゼ

はぁ…。

シゼ

（疲れたぁ〜…）

シゼ

（久々に長い時間走ったなー…絶対明日筋肉痛になるわ。）

シゼ

（おまけに汗がベトベトしてて気色悪い…）

シゼ

あっつ…。

シゼ

はやくお風呂入ろっと…。

レンドール

…。

シゼ

♫♪〜。

レンドール

！…。

レンドール

あっ…

シゼ

ん…？

シゼ

！…。

シゼ

（あの子は…確かこの前の…）

シゼ

レンさん！

レンドール

貴方は…あの時の！

レンドール

よかった、

レンドール

会いたかっt…

レンドール

ッ…！？

レンドール

うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ！！！！！

シゼ

っ…？

（シゼの顔を見たレンが顔を真っ青にして叫ぶ）

シゼ

ど、どうされました？

ぐいっ！

（レンがシゼを手を引っ張る）

レンドール

こ、こっち…！

レンドール

こっち来て！

シゼ

えっ…

シゼ

ちょ、何するんですか…ちょっと！

第6話　おわり

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第一期も全部読んで来ました!!!!!めちゃくちゃ面白いです!!!!!フォロー失礼します！

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