仰々しい名前にもかかわらず
店内は至ってありふれた
個人経営の街喫茶
といえる内装をしている。
ただ節々に誂られるテーブル席を初め
天井のシャンデリアや
壁にかけられたる海外画家の風景画。
床のペルシア様式絨毯や
駆けつけ一杯に出される
お冷の注がれたグラスなど
調度品は高級品特有の雰囲気を
醸し出している。
店内BGMに至っても
スーパー等でも使用される有線放送では無く
年輪を感じるアンティークな蓄音機が
音を流す。
1959年
アメリカで活動していた
無名のジャズグループ
『C.twe’lvs』
曲名『Midnight Fake』
トランペットがビターな
メロディを奏でている。
平日の午後のおかげか
本日は他の客がいなかった。
込み入った話をするにしろ
空気感を楽しむにしろ
どちらにとっても最適といえる状況だ。
瑠香
へぇ〜初めて入ったけど、結構いい感じの店じゃん
白
そうなんです!
飾られてる小道具とかも可愛いの多くて飲み物待ってる間も飽きないんです!
瑠香
お、その様子だと何回か来たことありますね〜?
白
実家にいた頃、月一に休みの日とかでお父さんとお母さんの3人で来てたんです。
ここのダージリンほんと美味しくって❤
白
値段高いんですけどね…
井嶋
まぁそれも納得行くな。
内装かなり金使ってるし
井嶋がテーブルに備えられているシルバーボックスを開いていく
井嶋
街角の珈琲屋にしちゃあやりすぎくらい…だ…と…お!
井嶋
へぇ〜!店の中で一服できるのか!
んじゃお言葉に甘え…
懐から
赤い太陽とパイプを嗜む
インディアンの書かれた
深緑のボックスを開き
中の白いスティック状のソレを
口にくわえる。
続いて取り出したるは
真鍮色の金属オイルライター
ライターの火が消え…
タバコと顔はぐしょ濡れだ、…
井嶋
…
ポタポタと垂れる雫もそのままに
冷水が飛んできた方を見る
バクマル
💢💢💢💢💢
瑠香に抱き抱えられたバクマルが
ツルツルの頭に
赤筋(💢)を浮かべ
怒った様子で井嶋を見ている。
井嶋
…💢
んなぁにすんだぁ💢💢💢
バクマル
バク💢バクバク💢!
バァクバァククゥ💢!
瑠香
いやそれこっちのセリフだから💢
バクマル正しいから💢💢
未成年(白)いる前でいきなり何しようとしてんだオッサン💢💢💢💢
井嶋
あ゛…ッ!!!
井嶋の顔が一気に焦りの
混じったバツの悪い顔を浮かべ…
ぐしょぐしょになったボックスを懐にしまい持ってるハンカチで濡れた所を吹き始める。
井嶋
すまん、
素でやらかした…
今回は俺わりぃわ💧
瑠香
ホントだよ馬鹿(ヴァカ)💢
少しは反省しろ💢
白
(意外、井嶋さん喫煙者だったんだ…)
すると、店の奥にあるトイレの扉から
竹中がハンカチで手を拭いて戻ってくる。
竹中
ただいま戻りまし〜って、え…!?
先輩なんで水被ってんですか…!?
瑠香
このオッサン白の前で
窯焚(かまた)こうとしやがった…💢
竹中
窯焚き…!?
つ、月並さん…
タバコのそんな古い言い回しよく知ってるねぇ💧
竹中
それは流石にアウトっすよ先輩…
井嶋
わ、悪かったって…!
ほ、ほら好きなもの頼んでいいから機嫌治してくれ!💦
半ば強引を伴いながらメニュー表を
白と瑠香に差し出す。
白
おおおぉ…!
新メニュー出てる美味しそう✨
瑠香
へぇ〜太っ腹じゃん♪
お言葉に甘えんよぉ〜
バツの悪そうな顔そのままに
もう1枚のメニュー表を竹中にも見せる
井嶋
竹、お前もなんか飲むか?
竹中
あぁそうですねぇ〜
それじゃ僕は『え゛…!』
井嶋
ん、なんだその声
竹中
あ、あの…
値段なんですけど見ました…?
井嶋
いんや?
かかったとこでせいぜい7〜800円くれぇだろ?
竹中
えぇっと…これなんすけど…
井嶋
はぁ!!!!????
ホ、ホ!?
ホットコーヒー1杯で1350円だと!?
白
あ、あの💦
それ1番安いメニューなんですけど…💦
井嶋
え゛…!!!
ま、マジで言ってる…!?
瑠香
気にするな白〜♪
このオッサ…じゃなくて!
お兄さん好きなもん頼んでいいって言ってたから頼みたいもの頼んじゃえばいい〜w
井嶋
え…!
い、いや!ちょい!!
(圧)^ω^(圧)
なんか文句あるか?
(圧)^ω^(圧)
瑠香
(煙草煙草煙草煙草煙草煙草煙💢💢💢💢💢💢💢💢)
井嶋
う…っ!
も、もう好きにやってくれ…
白
わぁぁい!ヤッター!✨
瑠香
見直したぞォ〜
井嶋のおにーさんw
「はぁぁぁぁ…」
口には出さないものの、井嶋が深いため息を肩でした
井嶋
竹、お前も食いたいもん頼んでいいぞ…
俺のも適当に選んどいてくれ…
竹中
じ、じゃあお言葉に甘えて…
頼まれてやってきた飲み物と甘味はどれも極上…
中々の金額ではあるものの
値段に恥じない味を持っていた。
白
んふぅぅぅ✨
美味ひぃ✨
瑠香
んん!ここ、たしかにいいな!
バクマル
バクゥ〜❤
竹中
(あのバクみたいな生き物…
人間と同じもの食べるんだ…💧)
井嶋
(どんな食性してるんだ…?
つうかそもそもバクなのか…💧?)
それからに数分経過…
和気あいあいと話してる所、井嶋が咳払いした。
井嶋
さて、一服してご満悦のところ悪いが。
本題に入らせてもらうぞお二人さん
そうして井嶋が竹中に目配せすると
先程公園で瑠香に見せた手帳を
二人とも取り出して見せる。
井嶋
改めて、警視庁公安特課の井嶋。
竹中
同じく、公安特課竹中です。
白
公安特課?
瑠香
おい、警察名乗ってるくせに身分詐称とはいい度胸だな?
井嶋
俺たちがパチこいてると?
瑠香
舐めるな。
こっちも仕事の上で商売敵になるあんたらの事はある程度調べをつけている。
瑠香
公安特課?
はっ、それで騙されるヤツは漫画の読みすぎだ。
井嶋
あぁそういう意味か…
まぁ、表向きにはそういうことになってるな
白
表向き
竹中
僕らちょっと特殊な事件とか担当してる部署なんだ。
だから調査庁が出してるホームページとかにもそんな部署の情報ない
井嶋
文字通り、漫画なんぞに書かれた「作り話」じゃなく正真正銘の「実話」というわけさ。
良かったな?
君らはひとつ「商売敵」の裏事情を知る機会に恵れたぞ?
2人の警官から語られる裏の事情…
特に井嶋の口より紡がれるそれら…
足を踏み入れる事で恐ろしい何か
にでくわす…
それを悟るには十分すぎるプレッシャーが
伴っていた。
「国家」という底知れぬ深淵を飼い慣らす世界にて
無法を働く敵の悉くを…
法の鎖にて吊るし上げてきた者のみが纏うことの出来る言葉だ。
瑠香
あぁ、そう
そいつはご丁寧にどうも…
で、そんな特別なお巡りさんは今回なんだって私らに近づいてきたわけさ?
対する、月並瑠香こと
怪盗ルナ。
悪夢を通して人間の深層に踏み込む
彼女もまた…
鋭く、煌びやかささえも孕ませながら
多く悪夢を排除し、権力に駆り立てられた雑兵達を出し抜いてきた闇夜の支配者である。
故に多少闇が垣間見れる言葉如き…
長く果たしてきたその信念を揺るがすに
遠く及ばない。
「番人」と「義賊」
両者とも通ずる世界は『裏』
胸に秘める得物
切っ先に宿るはどちらも『正義』
故に双方とも気迫は拮抗する。
振りかざす信念が正しいものと信ずるが故に…
井嶋
そうだな。
君ら、この街の都市産業に関して原料となるモノを盗み出してるのはあらかた調べさせてもらった…
井嶋が両手をテーブルの上で組み
眼光を鋭く
目線にて標的を瑠香に定める。
井嶋
はっきり言って俺は正しいと思えん。
どんな正義名分を並べようと…
決まりを破る以上、筋は通らない…
俺達から言わせれば…
「君ら」も
「路上のひったくり」も同類だ。
瑠香
…
白
っ!!!
井嶋
それ故に、君ら悪夢を盗む怪盗の動機と言うやつが解らん。
何故悪夢などと言う1円にもならんものを狙う?
盗みで生計立てるならもっと金銭的なモノ狙った方が金になるだろ?
瑠香
…それは
瑠香の言葉を遮るようにして
白が井嶋を睨みつける。
白
知りもしないくせに…
井嶋
何?
白
私達はただ助けたいんです!
悪夢見になりかけた人を…!
死ぬしかない人を助けたいから怪盗をしてるんです!
井嶋
…
竹中
…っ…
白
後ろ指さされる事してるかもしれません!
それでも瑠香さんはこれまで命をかけて戦ってきたんです!!
身勝手な泥棒と一緒にしないで下さい…!!!
瑠香
白…
その言葉に
瑠香の表情が緩みをみせ
その手は弟子の頭を撫でた
瑠香
あんがと♪
代わりに言ってくれてさ!
白
ハゥ、えへへへ…!
師匠からの賞賛、なにかに師事する者なら何よりの喜びだろう。
2人のやり取りに対し
井嶋も思うところがあったのか
先程のとは異なったバツの悪そうな顔を浮かべ…
溜息をつきながら横に座る部下を見た
井嶋
ふぅ…
すっかり俺ら悪党みたくなっちまってるな竹
竹中
ま、まあ…
僕らみたいなんに詰められてきもちよくはならないですよね普通?
気まずい空気感を何とかこらえていた竹中が苦笑いを浮かべて共感し。
少女達にゆっくり語りかける
竹中
ごめんね…
僕ら仕事が仕事だから、法に触れる話になるとどうしてもデリケートにならざるを得ないんだ。
だから別にふたりにいじわるしたくて聞いてるんじゃない。
そこはわかってくれると助かるかな?
瑠香
解ってるよ竹中さん。
別に私達も人聞き悪い事
やってる自覚はあるから
ソコは気にしてない。
井嶋
(俺は「おっさん」なのに竹の奴は「竹中さん」かよ💢)
瑠香
渋い顔歪んでるぞおっさん
なんか文句あるか?
井嶋
…💢
いや気にしなくてくれていいぞぉ…💢
瑠香
でも白、ダメだぞ〜?
いくら怒ったとしてもそんなふうに声上げちゃ
白
はぅ!
ご、ごめんなしゃい⤵⤵
井嶋
んんっ!
話はそれたんで戻そう
井嶋
白崎さんが口にした
悪夢見(ナイトメアルッカー)。
基本は、夢エネルギー事業をあつかう街特有の物なのは知ってるな?
瑠香
あぁ、だから私もこの街に腰落ち着けてるわけだしな。
井嶋
実は最近、
それ以外の街でも似たような現象が発生している。
瑠香
どういう事だ?
悪夢見になるのは、地域的な問題だろ?
それ以外で悪夢を見たとしてもそうはならないはずだ。
井嶋
竹、タブレットに載っけた例の資料だせ。
竹中
分かりました
竹中が胸ポケットの中にしまっていた
端末を起動して操作を始める。
表示内容を瑠香が受け取ると…
そこには数名の情報のまとめられた特殊な資料が表示されていた。
瑠香
…同じ悪夢を見るヤツが出た?
竹中
そう。
ここに載せられてるのは、今から半月くらい前に心療内科を受診した患者でね。
自覚症状として、会ったことない人間にずっと睨まれらる夢を見たって訴えてるんだ。
ただ、症状を訴えた患者には一切の共通点がなくてね…
年齢、生活歴、出身地や職業、経歴や性格まであらゆる要素が全てバラバラなんだよ
竹中の報告を聞いた瑠香が
口元に着くチョコクリームを拭い
親指で下唇を触りながら考える
瑠香
…いや、それはおかしい。
夢ってのは普通、人によって内容もバラバラになる。
それが悪夢なら尚更…
しかも、そこに出てるヤツ全員なんの共通点もないんだろ?
ありえないぞそんなの…
井嶋
こいつは受診した患者達がカウンセリングで話した顔を医者が書いたもんだが…
平均したらこんな顔になった
井嶋
白
太眉…おじさん?
井嶋
何か知ってるみたいだな?
白
私も、昨日この人夢の中で見ました。
でも、悪夢じゃありませんでしたよ?
井嶋
…
井嶋
別人だった可能性は?
白
…
思い返す…
しかし、白が夢の中で見た顔に間違いは無かった。
白
間違いなくこの顔でした
井嶋
そうか…
竹中
ちなみに、夢の中でこの顔の人何か話したりはした?
白
めちゃめちゃ話しましたよ?
竹中
え…
そ、そうなんだ…
どんな話したか覚えてる?
白
えっと…とにかくフランクな感じでした…たしか一時期有名になった英語と日本語ごちゃまぜにしてるタレントさんみたいな?
竹中
うんわかったありがとうもういいや…💧
思ってたのと違う回答だったので
頭を抱えながら竹中がきる。
瑠香
…ま、まぁ…
そのハゲオヤジを仮に見たとして…
それしきでアンタらみたいな特殊な警官が動くのと何が関係あるんだ?
井嶋
あぁ、それなんだが…
竹、日本地図の資料出せ。
竹中
はい
いくつかの地域に赤い丸が付けられた日本列島の地図及び、なにかの波形グラフがまとめられた資料が出てくる。
井嶋
地図の方は、訴えを出した患者の所在地。
波形グラフは患者達の脳波を平均化したものだ。
白
みんな似てますね…
瑠香
加えて夢見以外の地域も多く出てるな…
中には夢エネルギー開発やってる地域とは全く関係ない県とかもあるのか…
井嶋が別の端末を開いて操作を始め、その後開いたページを2人に見せる。
そこに記されたのは英文の羅列と共に、細かい日時が記されたリスト
そして地域ごとに分けられた患者たちの波形と類似した曲線を描く波形グラフが出てくる。
井嶋
こいつは海外から発信された特定の周波数を、日本の電波局が受信した日付、そして受診した電波の波形グラフをまとめたものだが…
患者リストに載っけてる波形グラフと似てるのわかるか?
瑠香
…
白
全く同じ…
井嶋
その通り、加えてさっき見てもらった患者達が悪夢を見た日にちだが一つだけ共通点がある。
それが、ここに書かれた日付の翌日に悪夢見た人間が病院を受診してるって内容だ。
白
それって…
瑠香
おい、これ以上SFみたいな話でケムに巻こうとするなら私らここで帰るぞ…
白
え!?瑠香さん!いきなりそんな
瑠香
白少し黙っててくれ…!
瑠香
はっきりいったらどうだ井嶋のおっさん…
爆弾探知犬みたいな真似しろってんだろ…
井嶋
…
井嶋
勘が良すぎるってのは損だな。
その例えで言うなら、ついでに大砲付きのハーネスつけて走り回れってとこだ
瑠香
チッ!!
おかしいと思ったよ…
受診履歴なんて個人情報見せつけられた時から…!
医者にかかった奴全員、前晩に変な電波が出てただの聞かされてああやっぱりってなった!
でその次はこういうんだろ…兵隊になって戦えって!!
白
あ、あの瑠香さん…一体どういう事ですか?
乱暴に指を突きつけ
罵倒するような声色で
瑠香が口を開いた。
瑠香
いいか白、このオッサン…
よりにもよって私らの夢の中に入れる力つかって悪夢を見せてくる電波の正体さぐれって言おうとしてる!
なんかあったらそんときは戦えとも!
白
っ!
つまり…!
瑠香
そうだ!海外から届く程強い電波…
送信機は相当強力な代物使わなきゃまず無理だ。
それこそ国とか大企業とか、そういった連中が扱うような奴をな!
そんなもん好き勝手使い倒せるような奴、少なくとも普通じゃない!
目ェ付けられたらそれこそただじゃ済まなくなる!
このオッサンそんなヤバいやつのこと嗅ぎ回れっつってんだ!!!
井嶋
そこまでわかってるなら話が早い。
ならここから先はシンプルに行こう。
俺たちに協力してくれ
瑠香
断る!
私らが怪盗として戦うのは、悪夢にやられた人の為だ…!
そういう事に首突っ込んだら最後、悪夢に殺されるよりよっぽどやばい死に方するのだって有り得る!
私だけならともかく、白にまでそんなやばい橋渡らせるわけないだろ!!
何期待してるか知らないが…!
国だの政府だの、そんな連中の都合なんざ知ったこっちゃない!
帰るぞ白!バクマル!
白
え!あ、ちょっと!瑠香さん!
乱暴に席を立った瑠香、その口元には…モンブランの欠片をつけて伯爵館の扉へと足を向けズンズン進む。
井嶋
協力してくれるんなら報酬は君らの思うがままだぞ?
井嶋
君の言う通り生命に関わるリスクはある。
だからこそ国のお偉方も多少の無理は聞くらしい。
なけなしの国家予算ぶち込むともな…
瑠香
金あっても使う命なきゃ話になんねぇよ…
井嶋
命に関しても最大限フォローもあるぞ?
君らも日本国民だしな
瑠香
そう聞いた奴何人切り捨てられてきたか、知らないとでも思うか?
井嶋
本当に蹴るのか?
瑠香
しつこいぞおっさん!
井嶋
…
そうか、なら仕方ない…
井嶋
竹、今から俺の言うことに口出しするな…
竹中
え…もしかして!
瑠香
…白!来い!
白
は、はい!
井嶋
ところで…君の夜の仕事だが随分と調子いいみたいじゃないか?
俺らの【お友達】、さぞいい仕事してるんだろうな〜
瑠香
…っ!!!!!
井嶋
君らが盗みした時、原料回収に向かう連中に適当な場所教えたり?
駆けつける直前に現場向かう連中を足踏みさせるよう仕向けたりとか。
随分仕事熱心なデカいたもんだぁ
瑠香
…お前!!!
井嶋
えぇと名前…
たしか和泉っつったか?
瑠香
いい趣味してるじゃないか…
同じ警官ショッピくつもりか…!
井嶋
悪いな、どんな理由があれど汚職働く奴捕まえんのも俺らの仕事なんだわ…
瑠香
仲間だろ…!
井嶋
ルール破る奴は話が別だ…
座り直せ、こっちの話はまだ終わってない…
瑠香
クソマッポ野郎が…!!!
瑠香
白…話聞き直そう…
白
え、えぇ…
井嶋
お利口だな怪盗キティ?
瑠香
怪盗ルナだ…
勝手に名前変えるな
井嶋
おっと、失礼したな?
さて、交渉の続きと行こう。
君らが今回の件協力するなら警視庁は、これまでやらかしてくれた夢エネルギーの原料に対する窃盗行為や諸々の犯罪歴を帳消しにすると言っている。
はなしを飲めば君らの経歴真っ白になるぞ?
白
…窃盗…!
井嶋
おや?知らなかったか?
今や夢エネルギー開発は都市規模の事業だ。
悪夢なんてもん誰がどう扱える訳でもないが…
都市って行政が絡むものに手ぇ出す以上は君らは既に犯罪者の仲間入りを果たしてるぞ
白
…そんな…
井嶋
今更になって知りませんでしたは効かない
だが、今回の騒動は日本国に対するサイバー攻撃の疑いがある。
そこに協力したという名目があれば、君らは犯罪者から人知れず国を救う守り手となれる。
犯罪歴を消すというのはそういうことだ…
瑠香
断ったら?
井嶋
数日後…君のマンションに俺たちみたいな格好した連中が、逮捕令状巻いて押しかける事になる。
協力してるデカも職を失うだろう。
そのデカが保護してる子も、犯罪行為行われてるのを黙認している協力者として…二人とも臭い飯って奴を食わされる
瑠香
あいつはなんも関係ないだろ…!
井嶋
通報義務怠ったとしての幇助罪だ。
和泉ってやろうもな…
瑠香
クソが…!
井嶋
人の心配結構だが、自分の心配した方がいいぞ?
言っとくが、窃盗罪は立件されれば一件につき10年は塀から出れなくなる。
白崎さんはともかく、月並さんはもう何十件とやらかした。
刑務所の中で一生過ごすことも有り得るぞ?
瑠香
最初から、NOと言わせる気は無かったってか…
井嶋
俺達がこうして君らとお茶出来た理由…
聡い君ならそれがどういう意味か分かるだろ?
今日までのうのうと枕高くして寝れたのは諸々の運が良かっただけに過ぎない。
瑠香
汚いぞ!
井嶋
そうとも、君がお膝元から失敬する奴らは汚いんだ。
だがその汚い国ってやつのおかげで…
在籍してる1億2500万人は生命と生活が守られている。
そんな国ってやつに君らは目をつけられ
こうして汚い交渉を持ちかけられた。
別名司法取引なんて言い方もする交渉をな…
井嶋
さて、改めてきこう。
今回、各地で発生した悪夢に関する症状だが
その原因と考えられる電波を日本は半月前から受診している。
井嶋
日本国政府はこれを、外国からのサイバー攻撃ないし電波攻撃と判断、原因究明の為対応機関が既に状況を開始している。
井嶋
日本政府を始め…
防衛庁からは自衛隊旗下特殊作戦群…
警察庁からは特殊機動部隊SAT…
そして俺たち公安特課…
これは、日本国政府による諸外国の見えない攻撃に対する防衛戦争だ。
井嶋
怪盗ルナ、そして怪盗トワ
君らも日本国陣営として参戦しろ。
仮想敵国から向けられる戦い、文字通りの
『見えない戦争(インビジブルウォー)』
井嶋
こいつに日本国が勝利する為にな…