彼女はいつしか変わった
上層部入りした頃は笑顔を見せていたのにも関わらず
今では瞳が笑っていない
夜、煙草を吸おうと喫煙室に行こうとする時、彼女の部屋には必ず明かりが付いている
徹夜...かは分からない
彼女は超絶健康体。言い方はアレだが、夜更かしはできない体質で徹夜なんてもってのほか
そして、僕らとの会話も少なくなってきている
仕事が忙しいのはよくわかる
でも、変化がスゴすぎる
彼女は学校でも、酷い扱いを受けていた
だが、それをする人間はもう居ない
なのに、なぜ
偽ろうとするのか
鬱
あぁ〜雨か
城下町に出ていた僕は近くの店で傘を買って軍本部である城まで歩いていた
鬱
ん?アレって
雨が降っているのにも関わらず、傘を刺さず歩いている“我が総統”の姿があった
鬱
サクラ先輩!
サクラ
鬱...?なんで
いつもの彼女ではなかった
長いピンクの髪は水に濡れ、服もびしょ濡れ。 顔には泣いた跡のようなものも着いていた
鬱
こっちのセリフです!そんな濡れたら、風邪引きますよ
サクラ
......いいよ、別に
無気力すぎだ
真顔で言っている彼女からはいつものオーラは感じない
鬱
てか、こんな雨の中何処に行ってたんですか?
サクラ
教える必要は無いです。私はまだ行くところがあるので
鬱
ちょっ!先輩!
咄嗟に手首を掴んだ
後方から引っ張られ、後ろに倒れるような形で彼女は僕にもたれる
サクラ
ッ、離して
鬱
離しません
離してはいけないと思ったんだ
離したら、先輩が何処かに消えてしまいそうで怖くなった
サクラ
お願い.....離して、鬱
鬱
じゃあ、僕も先輩に着いて行きます
サクラ
え......?
鬱
先輩が何処かに行くなら、僕が着いていきます。やから!
?
何やっとるん?大先生
鬱
ゾム!?
ゾム
なんで、サクラの手首掴んどるんや?
サクラ
ゾム、書類は終わったのですか?
ゾム
その言い方嫌や、サクラ
鬱
(そういや、2人は血筋同じやったな)
ゾム
“前”みたいな話し方の方が俺は好き
サクラ
何年前の話をしてるんですか
先輩とゾムは親戚らしく、誰よりもフレンドリーに話していた
ゾム
嫌や、前のサクラがええ
サクラ
.........もう、関係ないでしょ
鬱
サクラ先輩、何があったんですか
サクラ
もう……私は疲れたの
サクラ先輩は鬱の手を払い走り出してしまった
ゾム
大先生!グルッペンに連絡!
そして、ゾムも慌ててサクラ先輩を追いかけていってしまった
鬱
応答なし
鬱
応答なし
鬱
クッソ、なんで出やんのや
鬱
応答なし
鬱
応答なし
鬱
これはトントンの方がええな
鬱
もしもし!
トントン
どないしたん?そんな慌てて
鬱
サクラ先輩が消えるかも知らん!
トントン
はぁ?どういう事や?
鬱
サクラ先輩がびしょ濡れで歩いとって、さっきまで捕まえとったんやけど、逃げられたんや
鬱
今、ゾムが追っかけてグルちゃんに電話したのに繋がらんかってん!
トントン
今、グルさんは外交中やからなぁ……
トントン
とりあえず、エミさん出させるから探してくれ
鬱
了解!
鬱
全く、追いかけんのも一苦労するわ笑
鬱
でも、僕にとってサクラ先輩は
地獄から救ってくれた人やから
鬱
絶対に、離れさせて溜まるもんか