🤪×🦁 もし俺が消えても／もし君が見えなくなっても

トントントンジュー

蛇口に手を伸ばす、が

昨日のことを思い出し、思わず手が止まる

そう自分に言い聞かせ

キュッ ジャー

痛みは襲ってこない

と思った、その時だった

まろが起きてきたことに驚き、慌てて蛇口を閉めた

ぽや〜っとした口調から、彼がまだ寝ぼけているのが見てとれる

※洗面所

ほんまは、あん時からちょっと起きてた

あにきの声が聞こえて、でもそれがいつもとは違うのはすぐにわかった

苦しむような声が聞こえて思わず声をかけると、彼は慌てるような素振りを見せた

なにかを隠そうとする時の彼の癖のようなものだ

そう頭の中で考えをまとめ、さっさと顔を洗って戻ることにした

なんもなかったらええけど…

さっき、手洗ってる時になんかあったっぽいし…なるべく水から遠ざけたがええよな

後でないこにも言っておこう

夕方 (早い？気のせい気のせい(()

なにも起きませんように…

今んとこ水には触れてないし、大丈夫よな…

また

腕が、透けてる…？

しかも、前より範囲が広い気がする

まるで手を貫通して直接触れられているかのように、内側の方がズキズキと痛む

でも、それを口にするような余裕もなくて。

俺の口からはこの言葉しか出てこない

If視点

勢いのままに車に飛び乗り、走らせようとして気づく

乗る時にあにきが濡れてしまう また、苦しませてしまう…

でも、そんなことを考える暇はない

チャイムに向かって走る。 連打していると、ないことりうらに支えられながらアニキが出てきた

ピンポーンピンポーン

なぜか、時間が経っても透けた腕が治らない

もしかして、前回から、悪化してる…？

2人で一気に車まで走る。 俺もあにきに上着を被せ、なるべく濡れないようにする でも

2人が乗ったのを確認し、急いで車を発進させた

医師から下された診断は、『分からない』だった

症状は水アレルギーに似ているが、体が透けるというのは見た事がないらしい

ただ分かったのは、これは透けているのではなく

体が水へと変わっていっているという事だった