テラーノベル
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コメント
5件
めちゃめちゃいいお話〜😭 文才が凄い!✨️
サムネ使ってくれてありがとう御座いますーー
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桃瀬
桃瀬
暇なつ
こさめ
いるま
LAN
すち
みこと
5
4
3
2
1
LANの声が震える。
LAN
その時、酸素マスクの内側が、わずかに白く曇った。
暇なつ
微かな、本当に消え入りそうな声。 繋がれたモニターの波形が、不規則に跳ねる。
全員が息を呑んで見守る中、なつの指先が、LANの手の中でぴくりと動いた。
いるま
いるまが身を乗り出し、なつの名前を何度も呼ぶ。 ゆっくりと、重い瞼が持ち上がった。焦点の合わない瞳が、ぼんやりと天井を見つめ、それから枕元に置かれた「あのノート」に留まる。
暇なつ
なつの乾いた唇が戦慄いた。 真っ先に浮かんだのは、謝罪だった。 自分の居場所なんてないと思っていた。自分が消えれば、完璧な5人の兄弟に戻れるはずだった。 それなのに、視界に映る5人は、見たこともないほどボロボロに泣き腫らした顔をしていた。
暇なつ
掠れた、いつもの皮肉めいた声。 でも、そこにはトゲなんて一つもなくて。
いるま
いるまが泣き笑いのような顔で怒鳴り
こさめがなつの胸元に顔を埋めて
こさめ
子供のように泣きじゃくる。こさめ
暇なつ
なつが気まずそうに視線を逸らそうとすると、すちがその頬を優しく包み込み、正面から目を合わせた。
すち
みことも、なつの反対側の手を握りしめる。
みこと
なつの目尻から、熱いものが溢れ、耳際を伝って枕を濡らした。 ずっと、透明人間になったつもりでいた。 でも、自分の想いは届いていた。そして、自分もまた、彼らに愛されていた。
暇なつ
LAN
LANが聞き返すと、なつは点滴の繋がれた手を力なく伸ばし、ノートの表紙を撫でた。
暇なつ
なつの口角が、ほんの少しだけ、本当に少しだけ上がった。 それは、偽りも諦めもない、19歳の少年としての心からの微笑みだった。
暇なつ
その言葉に、病室にいた全員が、顔を見合わせて一斉に噴き出した。 泣き顔のまま、みんなが笑っている。 LANはなつの手をもう一度強く握りしめ、力強く頷いた。
LAN
窓の外では、夜明けの光が差し込み始めていた。 あの日止まっていたなつの時間が、今、5人の兄弟たちと共に、ゆっくりと動き出した。