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キヨタカ
今から肝試し行く
ヒロフミ
は？馬鹿じゃねえの？今夜の12時だぞ？
キヨタカ
だから楽しいんじゃん。ヒロフミの家に泊まりに行くって言ってあるし…
ヒロフミ
たく…で？どこ行くんだ？
キヨタカ
なんだかんだヒロフミものりきじゃん
ヒロフミ
違えよ。やばいところだったら止めるつもり。
キヨタカ
止める？俺は止められねえよ、お前には
ヒロフミ
はいはいそうですか
キヨタカ
ほら、幽霊屋敷だよ。山の奥にある。
ヒロフミ
別に。興味ねえ
キヨタカ
まあいいや。実況するぞ、幽霊屋敷の。
ヒロフミ
はー…わかったよ。勝手にしろ
キヨタカ
うわ、扉重いな…。
ヒロフミ
当たり前だろ。随分前に廃墟になったからな。随分錆びてるだろ
キヨタカ
すげえ、ボロボロのシャンデリア。でかいやつ！
ヒロフミ
へえ、そんなのあったっけ
キヨタカ
行ったことあんのか？
ヒロフミ
一回だけな。友達と、明るいときに
キヨタカ
見えてなかったんじゃね？
ヒロフミ
かもな。
キヨタカ
一部屋目に入るぞ
ヒロフミ
なにがある？
キヨタカ
くまの人形。ボロボロだけどな。いっぱいある
ヒロフミ
なんだそれ…気持ち悪い
キヨタカ
だよな。マジでキモい。
キヨタカ
なんかさ〜、鎖のかかった部屋があるんだよな
ヒロフミ
入るな
キヨタカ
は？何言ってるんだ、入れねーよ。鍵かかってるしな
ヒロフミ
万が一鍵が相手も入るんじゃねえぞ。
ヒロフミ
絶対だ
キヨタカ
……？わかったよ。
ヒロフミ
絶対だからな
キヨタカ
なんでそんな入らせようとしないんだ？
ヒロフミ
言ったら入ろうとするだろ？だめだ
キヨタカ
入らねえよ、お前がそんなに言うなら。
ヒロフミ
…話せばいいんだろ、わかったよ
ヒロフミ
一年前、隣のクラスのシュウジが行方不明になっただろ？
キヨタカ
うん
ヒロフミ
俺と、幽霊屋敷に行ったやつなんだ。
ヒロフミ
その、例の鎖のかかった部屋の中には、オウサマノカンムリがあるんだ。
キヨタカ
オウサマノカンムリ？王様の冠じゃなくて？
ヒロフミ
シュウジが、カタカナで書いてあるって言ったんだ。
キヨタカ
へえ…
ヒロフミ
大きな宝石がいっぱいついてた。
ヒロフミ
真ん中には大きなダイヤモンド。
ヒロフミ
シュウジが、そのカンムリを、持ち出したんだ。
ヒロフミ
幽霊屋敷から。
キヨタカ
だめだろ…それ。
ヒロフミ
本当はだめなんだ。でも、ばれなきゃいいって、あいつは…
ヒロフミ
カンムリを、持って帰った。
ヒロフミ
その次の日、シュウジは行方不明になった。
キヨタカ
カンムリは？どうなったんだ？
ヒロフミ
カンムリだけ、シュウジの部屋にあった。
ヒロフミ
見に行ったんだ、カンムリ。
ヒロフミ
明らかに、真ん中のダイヤモンドが大きくなってた。
ヒロフミ
吸い込まれたんだよ、シュウジは。
キヨタカ
は…？
ヒロフミ
あのカンムリは、呪われてるんだ！
キヨタカ
まじで？持って帰ってきちゃったんだけど
ヒロフミ
お前……すぐ！すぐに！返してこい！
ヒロフミ
俺の前から、また…友達がいなくなる！それだけは嫌だ！
キヨタカ
ヒロフミ…
キヨタカ
わかった、すぐに返す
ヒロフミ
頼む、早く…返してくれ
キヨタカ
走ってる、山に向かって
ヒロフミ
早くしろ
ヒロフミ
おい？キヨタカ？
キヨタカ
待ってろ、すぐに
ヒロフミ
頼む。
キヨタカ
やまにつ
ヒロフミ
キヨタカ？おい、どうした？
ヒロフミ
まさか、キヨタカまで？
一ヶ月後
ヒロフミ
ああ、また…カンムリの犠牲になってく…やめてくれ…やめてくれ…
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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