カナタくんが入院して3日経った
ぼくはいつもと同じ日常に戻った
とは言えカナタくんがいない学校が 違う世界に感じた
ケンシ
田上くん
ヒカル
会長…
ケンシ
ケンシ
以前より暗いんじゃないかい?
ヒカル
ヒカル
急に無くなってしまうって
ヒカル
ケンシ
広坂くんがあたかも死んでしまったような
表現だが
ケンシ
ヒカル
ヒカル
ヒカル
ケンシ
ケンシ
何か変わるわけでもないからね
ヒカル
学校にいると病院にもいけないし 夕方行こうか…
そんなにしょっちゅう行くのもよくないかな…
ぼくの頭の中は そんなことばかり考えていた
ピッピッ…
機械の音が静かな病室に 自己主張するかのように鳴っている
時刻は19:30を回っていた
ケンシ
看護師
ケンシ
看護師
看護師
彼の意識下の問題というか
ケンシ
そんなことは言われるまでもなく わかっている
看護師
看護師
患者さんがいつ目を覚ますかなんて
看護師
ケンシ
覚醒しますからね…
看護師
たぶん人が踏み入れることの出来ない
看護師
ケンシ
ケンシ
ケンシ
このまま
目が覚めない彼を
ケンシ
見続けてる方がいいのかも
ケンシ
ケンシ
考えてしまっています
看護師
だからあなたの気持ちを否定はしない
看護師
居ないわけではないからね
ケンシ
看護師
面会はあと20分くらいだから
看護師
気を付けて帰って下さいね
ケンシ
経験豊かな医療関係者は 100%否定などしない 肯定もしない
でもおれはそれでよかった 無責任に「わかる」とか「そんなこと言うのはよくない」だとか
ありきたりな言葉を発せられるより
ケンシ
会える
ケンシ
目で追ってる時が…
ケンシ
嫌だなって…
動いてる姿を見ると それは俺に向いてるわけじゃない
だから平静を装いたい 嫉妬したいわけでもない
ただ自然とこっちに向いてくれないかなと 淡い期待を抱いてるだけ
ケンシ
キメたいんだけどなぁ…
ケンシ
急に触れたいって
ケンシ
止まらないんだよな…
人に惹かれるのに 何でかなんて理由は 正直わからない
ただただ 気になって 好きかもしれないという 感情が出て来て
いつの間にか その姿を 目で追うようになる
ケンシ
何か出来る訳じゃない
ケンシ
ケンシ
おれは 横たわるカナタに キスをした
こんなやり方 卑怯だけど…
ケンシ
きみの望む人間じゃない
かもしれないけど
おれは名残惜しくも病室を出た
おれが廊下にでてすぐ 目の前に立っている奴がいた
ケンシ
アヤメ
ケンシ
目を合わせる前に さっさと出口に向かおうと 早足に通り過ぎる
はずだった
アヤメ
無視するなよ
ケンシ
ケンシ
アヤメ
そう言いながら 付いてくるアヤメを横目に エレベーターに乗る
嫌な気分だ
アヤメ
ケンシ
アヤメがここぞとばかりにおれに 近付いてくる
狭いエレベーターの中でおれは すぐに角に追い詰められた
ケンシ
アヤメ
悪かったって
ケンシ
アヤメ
ずいずいと寄ってくるアヤメから できる限り離れたくて 体を壁に強く押しつけた
アヤメ
ちょっと表情を曇らせながら アヤメが話を始めようとしたとき エレベーターは1階に着いた
ケンシ
離れてくれ
一目散に出口に向かった
100mはあるんじゃないかというくらい 遠く感じる
アヤメはしつこく付いてくる
アヤメ
ケンシってば
ケンシ
そして玄関を出た
おれは全力で逃げるために走り出した
が…
読まれていた
そして腕を掴まれた
アヤメ
ケンシ
アヤメ
何を言おうが恐らく 自分の言いたいことを言わなければ 気が済まない感じが ひしひしと伝わってくる
だがそんなことに 付き合うつもりは なかった
アヤメ
あの入院してる子
アヤメ
ケンシ
俺は黙秘権を行使した
アヤメ
前いた可愛い子の方が…
たぶんそう言うことなんだろ
もはや見透かされすぎて 怖いし恥ずかしいし
ケンシ
アヤメ
たぶん!
ケンシ
ケンシ
早く帰りたいんだけど!
アヤメ
ケンシ
そう
過去は所詮 過去
こいつと何かあったであろうが おれは今を生きている
ケンシ
関わらないでくれよ…
アヤメ
だってよ…
アヤメ
来てるの知ってるんだぜ?
ケンシ
ケンシ
お前には関係ないだろ
アヤメ
アヤメ
ケンシ
いい
ケンシ
そういうの
アヤメ
俺さ…
アヤメ
ケンシ
よく聞くセリフだな
ケンシ
よくあるやつ
アヤメ
アヤメ
アヤメ
流されちゃったけどさぁ…
アヤメ
アヤメ
浮気というか…
アヤメ
ケンシ
ケンシ
ケンシ
ケンシ
アヤメ
経験上って言うのもおかしいけど
アヤメ
アヤメ
わかっている そんなことぐらい
おれが卑怯な手を使ってる そんな気がするのも
全て自分でわかってる
アヤメの言っていることが 間違いじゃないからこそ
余計 腹立たしいし
こいつに見透かされている そう言うのが嫌だった
ケンシ
ケンシ
思ってる言葉は言いたくない
特にコイツに言うのは…
アヤメ
無理に言わなくても
アヤメ
純粋なのは知ってる
アヤメ
最低だっていうことも
ケンシ
尚更…関わらな…っ
アヤメはおれに…
キスをした…
アヤメ
今は誰とも付き合ってない
アヤメ
忘れられなくて…
俺は目を丸くした
そしてアヤメはそんなおれを 残して
とぼとぼと…背中を向けて 闇の中に消えていった
ケンシ






