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君を忘れた世界

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君を忘れた世界

1 - 君を忘れた世界

♥

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2018年12月06日

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教員A

点呼はじめっ!

先生のその掛け声を聞いて、

また朝が来てしまったのか

と、僕は絶望する。

01、02、03、04…といったように、みんな順番通り自分の名前を言っていく。

僕も、みんなと同じように、自分の名前を言っていく。

05

05

今日はやけに暖かい朝だった。

もう秋だというのに、秋らしい感じが全くしない。

05

(いつになったら、秋らしくなるのだろう。)

そんなことを考えているうちに、どうやら点呼が終わったようだった。

教員A

続いて、校長先生からのお話だ。

その言葉を合図に、眩しいくらいに真っ白の白衣を着た、ひょろ長い男が朝礼台に上がる。

白衣を見る分に、清潔感溢れる男なのかと思いきや、髭は伸びっぱなしだし、大きなクマが目の下に出来ているし、痩せこけた顔からは死人のような気配をも感じる。

コイツは僕の学校の校長。

やたら生徒の体調管理にはうるさいくせに、自分はなんともだらしない生活をしている。

僕はコイツが嫌いだ。

05

(よくこんなので校長になれたもんだ。)

そんなことを考える。

校長

ん…。

校長

解散。

その一言で、僕達の集団は動き出す。

いつもと同じ。あいつは「解散。」としか言わない。

05

やっぱり校長なんて向いてない。

そう呟いた僕の後ろから、聞きなれた声が聞こえた。

03

聞こえてるよ。

05

あっ…03。

05

おはよ。

03

おはよっ

03

って…朝から相変わらず元気ないなぁ…💦w

僕の顔を覗き込むように見てくるそいつは、うちのクラスのムードメーカー的存在の、03だった。

03は、僕とは真反対の性格をしているが、いつも1人の僕を心配してか、話しかけてきてくれる。

顔も可愛いし、スタイルもバッチリ。

おまけに明るくて活発で何をさせても100点満点。

男子からの人気も、ほかの女子とは比べ物にならないくらいだった。

03

また校長先生の文句言ってたの?

05

うん。

05

なんであいつが校長なのか分からない。

03

んー…まぁたしかに?

05

僕、アイツが学校のためになにかしてるとこ見たことない。

03

私も…ないかもw

05

でしょ?

03

……でもまあ!

03

縁の下の力持ち的な何かがあるんじゃない?

03

ほら、健康管理の企画するとか!

05

うちの学校、嫌って言うほど健康管理のための企画あるよね。

05

もう要らないんじゃない?

03

んー……確かに…。

03

でも!健康で悪いことはないし!

05

まぁね。

theポジティブと、theネガティブの朝の会話は、密かな僕の毎日の楽しみである。

教員A

みんなー、席つけよー。

教員A

それでは、号令よろしく

03

起立

03

03

着席

1限目の授業は、保険だった。

教員A

人間の死因、第1位はガンで……

05

(またつまらない授業だ。しんど。)

03

ねぇ、ねぇ、

横から、03が声をかけてくる。

05

なに?

03

あんた死にそうな顔してるよ?

03

大丈夫?

03

そんなに授業つまんない?

05

うん

05

03はつまんなくないの?

03

……つまんないw

05

でしょ?

03

あっ、そうだ

03

私この前聞いたんだけどね

03

この学校の都市伝説。

05

へぇ、この学校の?

03

うん。

03

ある日突然、人が消えちゃうの。

03

この学校から。急に。

05

原因は?

03

わかんないんだって。

03

ていうか、いなくなった人のこと、誰も覚えてないんだって。

05

なんだそれ。

05

それなら、「居なくなる。」なんて言う都市伝説残らないだろ

03

あっ…確かに?

05

天然かよ。

03

(´>∀<`)ゝ))エヘヘ

03

あっ、じゃあ、

03

ここの学生全員、クローンっていう都市伝説は?

05

しらない。

03

ここの学校、他のとこと違って、泊まり込みでここで勉強するでしょ?

03

それに、みんな親の顔覚えてないでしょ?

03

だから、クローンじゃないのかって言われてる。

03

みんな、1番最初の記憶は、化学工場みたいなところのことなんだもん。

03

クローン説は有り得るって!

05

ふーん。

05

クローンでもなんでも構わないから

05

僕は早くここの学校の外に出たいね。

03

……そうだね。

03

毎日窓ガラス越しの外しか見れないなんて

03

嫌だもんね。

05

うん。

03

集会の時だけ外に出れるなんて、つまんない。

05

うん。

05

まるで隔離されてるみたいだ。

03

いつになったら

03

私たち外に出してもらえるのかな。

05

分からない。

キーンコーンカーンコーン…

そんなことを話しているうちに、授業が終わった。

教員A

それじゃあ、明日までにレポート出すようにな。

教員A

号令よろしく

03

起立

03

05

あーーーっ、

05

やっと終わった。

03

まだ1限目だけでしょ?w

03

それに、レポートどうするの?

03

今日の話聞いてないと書けないよ?

05

それはお前も一緒だろ?

03

え?

03

私聞いてたよ?

03

ほら、

03が、今日の授業内容をわかりやすくまとめたノートを僕に見せながら言う。

03

私は05と違って聞いてたもんw

03

ノートもバッチリ。

03

ついでに、レポートも授業中に8割くらいは終わったかな。

05

は!?

05

お前天才かよ。

やっぱり03はすごい。

改めて差を感じる。

03

天才とかw違うしw

05

まぁ、レポートは何とかするよ。

03

どうやって?

03

今日の授業内容、教科書外のところだったよ?

05

はぁぁぁ!?まじかよ

05

終わった。

03

ふふふw

03

そんなこともあるかと思って

03

ノート取っといたんでしょw

03

はいこれ、貸してあげる。

03は、自分のノートを僕に手渡す。

05

え?お前はいいの?

03

あー、うん。

03

レポートもうすぐ終わるし、

03

授業内容覚えたし。

05

すげ……

05

お前やっぱりすげーわ。

03

ありがとw

こんな日が、いつまでも続くと思った。

当たり前だと思っていたのに。

03が消えた、あの日までは。

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