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写真を撮るのが好きだった
特に、家族や友達の笑顔を撮るのが好きだった
でも、それはもう過去のこと
今となっては、君の笑顔も思い出せない
ごめんなさい
柚希
御影
御影
どうやら、僕の幼馴染みである柚希が話しかけていたようだ
柚希
御影
柚希
柚希
柚希
御影
御影
僕は不安げに答える
柚希
柚希
どうやら合っていたようだ
御影
柚希
柚希
御影
柚希
柚希
御影
御影
柚希
御影
僕は照れを抑えるため、素っ気なくかえす
御影
御影
柚希
柚希
御影
御影
御影
そう言って僕は、お高そうなカメラを見る
このカメラは、ポラロイドカメラというもので 僕の好きなメーカーのカメラだ
柚希
柚希
そうだ、これは僕の誕生日に彼女からもらった物だ
ネットで値段を調べたら、5万ほどする物で 白目を剥きそうになったのを覚えている
御影
御影
御影
パシャ!
御影
柚希
柚希
御影
僕はカメラから現像された写真を見る
柚希
御影
僕は、泣きそうになるのを抑え言う
柚希
柚希
御影
柚希
御影
そうして彼女は部屋から出ていく
見送りはしない
そうしたら、もう耐えられないから
そして、一分ほど経っただろうか
御影
御影
僕は泣いた
好きな人への申し訳なさでいっぱいだった
御影
ふと、僕の膝の上に置いてある先ほどの写真を見る
やはり、彼女の顔は無貌だった
貴方のことが好きだった
貴方の無邪気な笑顔が好きだった
でも、それはもう過去のこと
今となっては、貴方の本当の笑顔を見ることはできない
ごめんなさい
御影
柚希
ボーッとしてる彼の顔を見る
柚希
口から、そんな言葉がこぼれた
柚希
自分が発した言葉に照れていると
御影
彼の口からそんな言葉がでてきた
柚希
その彼の無意識の言葉を聞き、さっきまでの高揚感が一気に霧散する
柚希
彼は、私が気づいていないと思っているのだろうが 私は気づいている
彼が私の顔が見えていないということに
最初は少しの違和感だった
そうして、彼の両親に聞くと どうやら彼は相貌失認という障害をもったと聞かされた
13歳の頃の事故の後遺症のようなものらしい
そして、この症状は相手の表情や その相手が誰なのか判断がつかない、といったものがあるらしく
その中でも彼は特異で
相手の顔が真っ黒に塗りつぶされて見える、らしい
だから彼は今、声や仕草で相手が誰なのかを判別していると
彼の両親は泣きながら話してくれた
柚希
きっと、彼には無貌に見えるのだろう
柚希
柚希
ネガティブな考えを払拭するべく、私は彼に声をかける
柚希
御影
御影
そこから私たちはいつもの会話をしていたけれど
彼は、何かを思い付いたような声をだし
御影
柚希
そう私に言った
私は彼が写真を撮ろうとするとは思わず、少し驚いたが了承した
御影
パシャ!
御影
柚希
柚希
私は、残酷なことだとわかっていながら、彼に聞く
御影
柚希
彼は、今にも泣きそうな歪な笑いで
御影
そう言った
柚希
もう限界だった
私は、目から涙を溢す
急いで私は涙を拭ったが
彼は私が涙を溢したことに気がつかず
歪に笑っていた
それが私の胸を締め付けて
柚希
御影
柚希
御影
そうして私は逃げ出した
柚希
私は、誰もいない家に 帰りを知らせる言葉を響かせる
柚希
私は今日のことを振り返る
柚希
彼は顔が見えなくなってから、趣味の写真を撮らなくなった
風景写真を撮ろう、と誘ったことはあったが拒否された
柚希
写真を彼は撮った
彼は前に進もうとしている
なのに、私は…
柚希
私は彼のことを手伝うべきなのだろう
でも、彼がそれを拒否したらと考えると行動ができなくなる
柚希
ふと、机に置いてある写真立てに入っている写真を見る
そこには幼い頃の私と彼
眩しくなるような笑顔をしてる写真を見て
柚希
私はその写真に縋る
いつか彼が、無貌の私の笑顔を撮り
笑ってくれるのを期待する