瞳の形

また、私の胸の奥底で ザワつくものがあった。

…この日はあまり笑えなかった。 そしてあっという間に 6限の終わりを告げる チャイムが鳴った。

明美はあぁやって男子にも 媚び売ってるんじゃないのかな

仁さんにアタックするために？

いいなぁ。 明るくて、いろんな人に 好かれてて。

松本先生は逮捕されてしまった という噂だ。 でも学校に来ていないことは確かだ。

新しい顧問が来るという こともなかったため、 残念なことにテニス部は廃部。

広香がやけに周りを キョロキョロとしていた。

その肝心の内容を 話し出した時だった。

「玲花ちゃ〜ん！」

カツカツ…

静かな廊下に、 私達の足音が変に響く。

コンコンコン ガララララッ

勇気を持って、私は 職員室の扉を開けた。

そして私が自分の名前を 言おうとした時、

ガタッ！

担任の武田先生が 私を見た途端席を立ち上がり、 走りながら私の元へ。

先生は私の手を握り、 膝から崩れ落ちた。

厳しくて生徒から嫌われがちな 武田先生だが、 私はこの人を尊敬している。

この人はどこまでも優しい人だから。 「相手の思考が読める」のは 「相手の心が読める」も同然。

多分「自分のせい」 と思い込んでしまっているのだろう。

コンコンガララッ

志音さんからの突然の謝罪に 驚きが隠しきれなかった。

止まることなく 志音さんは喋り続ける。

贔屓