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一週間が過ぎた。 渚の席には、新しい転入生が座るわけでもなく、ただ「空席」という名の穴が空いている。 クラスの奴らは最初こそ騒いでいたが、もう誰も渚の話をしなくなった。 まるで、最初からこの教室に「渚」なんて人間はいなかったかのように。 それが、たまらなく怖かった。
心は、渚が以前働いていたカフェの前に立っていた。入るのをためらっていたが、意を決して扉を開ける
店員
心
店員
吹っ切れたような顔? あいつが、俺を置いて? 嘘だ。あいつが俺以外の場所で、俺の知らない顔で笑うなんて
心は、渚が以前「これ、面白いよ」と勧めてきた、あまり有名ではないSNSのアプリを思い出す。唯一、心がアカウントを作っていなかった場所だ。ここなら、まだ繋がっているかもしれない 震える指で検索欄に渚の名前を入れる。……ヒットした
心
しかし、喜びは一瞬で凍りついた。最新の投稿は、別れた日の夜の日付。真っ白な画像と共に、たった一言だけ添えられていた
渚
それ以降の更新はない。そして、心がその画面を凝視している間に、ふっと画面が切り替わった
【画面の表示:このアカウントは削除されました】
心
スマホを叩いても、二度と渚の言葉は表示されない。渚は、心の追跡を予見していたかのように、一つずつ丁寧に「過去」を消し去っている
本当に行ってしまったんだ。 俺が「他に当たれ」なんて言ったから。 あいつは、本当に俺のいない「別の世界」へ行ってしまった。 でも、諦められるわけがない。 あいつのいない世界なんて、息の仕方も分からない。
心は、渚の家の片付けをしていた業者を待ち伏せしていた。プライドなんて、もう微塵も残っていない
心
不動産屋
心
不動産屋
手がかりが、完全に途絶えた。 18歳の俺にできることなんて、たかが知れている。 お金もない。コネもない。 あるのは、あいつに言った最悪な言葉の記憶だけだ。
心は駅前の雑踏の中で立ち尽くす。行き交う人々の中に、何度も渚の面影を探す。でも、そこに渚はいない
心
傲慢だった心は、もうどこにもいない。ただの、迷子のような少年がそこにいた