『都内での東京卍會の抗争は激化する一方、ついに一般人にまで被害が』
|...東京卍會、、
『犠牲者は数名、内死亡者2人』
『死亡したのは″橘直人″さん25歳』
|橘直人...?
『そして″橘日向″さん26歳』
そのニュースは、道端の電気製品屋に並ぶテレビで見た。
ブラブラ行く宛も無く歩き回って、食う物もねぇし金もねぇし。
女も居ねぇわ特技も学歴もねぇ。
全てにおいて意味が無い奴、それが俺。
|おい!!お前、毎日毎日この店のテレビで見やがって!!自分の家で見ねぇか!!
あー、、だる。
しょうがねぇじゃん、俺ん家テレビなんてねぇし。
|ったく...んだあのクソジジイ、、
俺はポケットに手を突っ込み、また歩き出した。
これから行く所もねぇし、取り敢えず家帰ってペヤングでも食うか。
そう決めると、俺は家へと向かって歩きを早めた。
ガチャン...と寂しく、何処か古くささを醸し出したドアの閉まる音。
俺が住んでんのは低家賃のボロアパート。
|あ~ぁあ。俺何処で間違えたんだろ~な
|な、八。お前もそう思うだろ?こんなボロアパートに住む俺に拾われて災難だったな!!
ハチ|ッわんッ
散らかりに散らかった部屋の中の、唯一足場のある所に座る犬。
トイプードルの八。夜八時に見つけたから八と名付けた。
何で拾ったかは...見た目可愛いから、。
|い~なぁ、、俺も犬になりてぇ
|そしたら何も考えなくて済むだろ?
そう言って八を抱き寄せる。
ふわふわしてて可愛い。
昔から動物は好きだったし、中学生の頃1回トイプードル飼って...、、
|...ん、?
中学生の頃の記憶を思い出すと、何故か何処かで聞いた事のある名前が出てきた。
橘直人。
...そうだ。橘直人だ。
|...あれ、俺どっかで...
『死亡したのは橘直人さん25歳』
|ッ、!!
絶対あの直人だ。
俺が中学生の時、あの公園でよく遊んでた。
確か橘日向の方は、、姉だ。直人の姉ちゃんだ。
死んだって、、嘘だろ?
何で俺はあのニュースを聞いた時に気付かなかったこの薄情野郎...、、
俺が公園でトイプードルの六太と遊んでた時、直人が話し掛けてくれた。
それが俺と直人との出会い。
俺の犬を可愛いって言ってくれて、当時動物大好きだった俺は直ぐに仲良くなった。
でもアイツ頭良かったし、警察目指してるって言い出した途端会えなくなった。
それで今って訳だ。
警察なる為にどんだけ努力したんだ。
なのに、こんな...25歳って...、、
しかも姉ちゃんと一緒に...
『東京卍會の抗争は__』
|...、東京、卍會...
俺は心の奥底で、どこか覚悟していた様に思える。
でもそんな事思ったって、俺一人で東京卍會を潰せる訳がねぇ。
...だから結局、その怒りは消えた。
無理だからだ。俺には。
|...、...そうだ、俺ペヤング...
ハチ|わんッ、わん!
俺が抱えていた八を床に下ろすと、急に勢いよく鳴き出した。
|なんだよ...復習しろってか?無理に決まってんだろあんなもん、、
|喧嘩とか俺とは別次元の話だぜ
そう吠える八に投げ掛けると、八はさらに吠えだした。
|...、なんだよ、、
その瞬間、俺の脳にあの時の記憶がフラッシュバックした。
|六太ぁ~、可愛いなお前は~!!
俺はブランコに座り、その下でくるくると回る小さなトイプードルを愛でていた。
名前は六太。六時にペットショップで買ったから六太。
洋風系の犬なのに六太と付けるネーミングセンスは、母や父にもバカにされた。
|別に良いよな!!六太でも可愛けりゃ!
そう言って六太を抱き上げると、ある男の子がこっちを向いていた。
...第一印象は、顔。
普通にモテるであろう見た目をしている好青年。
ナオト|...可愛いですね
その男の子は俺の所に来て、六太の事を可愛いと言った。
|お!!お前分かる!?この六太の可愛さ!!
ナオト|ろ、六太...随分柴犬っぽい名前ですけど...、、触っても良いですか?
犬の可愛さがわかる奴には悪い奴は居ない。
だから俺は触るのを了承した。
|いいぜ!!もふもふだぞもふもふ!!
ナオト|ほ、ほんとだ...凄い、、こんなもふもふなトイプードル初めてです、!!
すると目を輝かせ、六太の頭を優しく撫でていた。
|.........お前さ、
ナオト|...はい?
|俺の親友になれ!!
ナオト|...へ、親友?
友達をすっぽかして親友。
六太の可愛さが分かる奴に悪い奴は居ねぇから。
イオリ|俺 東一織。お前は?
ナオト|橘...直人、、
イオリ|直人な!!これから宜しく!!
明らかに手の大きさが違うお互いの手のひらを掴み、その証として握手をした。
俺はその日、直人と親友になった。
イオリ|...、...
その記憶を見終わると、俺はまるで感化された様に体がふらついた。
イオリ|...ッくそ、何だこれ...
頭がグラグラして気持ち悪い。
急な目眩に襲われ、俺はリビングに倒れ込んだ。
|__?.....!!
誰かが呼んでんな、、...電話かぁ?
くそ...目眩が治んねぇ...
何なんださっきから、、...
|東!!!
イオリ|うわぁあッッ!?!?
|...どうしちゃったの?さっきから変だけど
イオリ|...ふぇぇ、??
誰だ此奴...金髪で、、女?
目が覚め、目眩からも解放されると
そこは見たことも無い場所を、金髪の女と一緒に歩いていた。
|ほら早く行くよ、ウチあんたとデートしたい訳じゃないんだから
...、あれ、?
イオリ|(制服...なんで!?俺が中学ん時の制服じゃねぇか!!!)
何だこれ何だこれ...何でよりによって中学ん時の俺!?
めっちゃ気崩してるし、、だせぇ...
というか誰だマジで...!?てか何この状況!!
俺もしかして死んだ?これが走馬灯ってやつ??
...でも走馬灯だとしたら、俺こんな金髪女と知り合いじゃねぇと思うんだけど、、
デートって、、何言ってんだマジで...
イオリ|...えぇっと、君誰かなぁ、??
やべ、焦ってド直球に言っちまった!!!
完全にイカれた奴だと思われる!!!!
エマ|はぁ、?何言ってんの...佐野エマだよ!!エーマ!!
イオリ|あ、あぁ~!!はいはい!!走馬灯の違うバージョン!?
イオリ|童貞でクズな俺に最後のご褒美だって奴っすか!!そうすか神様!!
そうだそうだ。だって知らねぇもん。
佐野エマって誰だよマジで。俺の人生の中にそんな奴は居ねぇ。
とにかく、これは俺が成仏する前に神様が見せてくれた走馬灯的なやつだな。
まぁいいや、、俺死ぬんだったら。
このまま適当に楽しんで成仏してやろ。いっそ天国の方が地上より楽しいわ。
イオリ|ッあ!!!!!!八!!!!!
エマ|びっくりした...さっきから本当にどうしたの、、怖いんだけど...
ダメだダメだダメだ!!!!
俺が死んだら八が1人になっちまう!!!!
イオリ|それだけは絶対避けたいぃッ...
エマ|...................
手を合わせどうか生き返らせて下さいと願うと、その佐野エマって奴がすげー睨んで来た。
イオリ|な、なんすか...
エマ|なんすかじゃないでしょ!!!今日はウチのデートの誘い手伝ってくれるって言ったじゃん!!
エマ|このばかッ!!あほ!!
イオリ|いてッ、あ、ちょっとイタイッ
めっちゃ叩いてくる何なの...
俺は今から元の所に戻って八にご飯あげてペヤング食うんだよ!!!
すると、アスファルトの地面に大きな影が写った。
イオリ|...?
その瞬間、佐野エマも俺を叩くのを辞めて、人が変わったように笑顔になった。
|何してんだ~、道のど真ん中で
俺の目の前に現れたのは、頭に龍の刺青をした不良だった。
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ここまで読んで頂きありがとうございました!!!🤍👩💻
コメント
3件
んげぇん(?)
んぐぇ 、いいねぇ …(
エマちゃんとドラケンくんのキューピットになってみたい(?