そらるさんと連携をとりつつ、 かれこれ戦って20分くらい経った頃
体力も魔力もまだ残ってる。 周りの状況を把握できるぐらい、 冷静さも保ててる
真冬
昔との明らかな違いを感じて、 少し嬉しくなる
真冬
何度目か分からない浄化技を打って、 次の闇使いを浄化しに行く
できるだけ早く片付けて、天ちゃんの ところに行きたいんだけどっ……
……いた、次!!
真冬
???
真冬
顔は今初めてちゃんと見たけど…… この声は、間違いなくあの時の闇使い
真冬
アラン
僕が驚きで固まっている中、 呑気に笑いながら言ったアラン
そんな……この前、そらるさんが 浄化したはずじゃ……!?
アラン
僕の心を読んだように、 アランがそう聞いてくる
そらるさんが浄化し損ねた…… っていうのは、多分あり得ない
僕がちゃんと拘束してたのに、 そらるさんが技を外すなんてことは ないと思うから
それなら……?
真冬
闇使いは、使いが浄化すると 元の使いに戻る
そうなったら、再び闇に 堕ちることはほとんどない
2日なんて短期間なら、尚更
アラン
アラン
真冬
言い終わると同時に、 あちらが攻撃を仕掛けてきた
キィンッ!!
真冬
前は、余裕で受けて、 はね返せすこともできたはずの攻撃
なのに今は、たった一撃が重くて、 受けるだけで精一杯だった
真冬
彼方
少し遠くにいたそらるさんが、 僕に気づいて応援に来てくれた
彼方
アラン
そらるさんの魔法技を避けると 同時に、僕から離れたアラン
アラン
真冬
不気味な笑みを崩さず、 そう聞いてくる
アラン
アラン
真冬
相手の話に耳を貸しちゃ いけないのは分かってる
だけど、何かが引っかかって、 聞き返さずにはいられなかった
真冬
真冬
まさか……!!
真冬
──2年前
僕らにとって一度目の、 この事件が起こった日
あの時も、今と同じように ノアさんからの伝達が来て、 魔法空間で合流したそらるさんと 一緒に、魔法界に向かった
昔の僕はまだ、ちょっと周りより 強いだけのただの魔法使い
だけどあの時は、中心部を守るには どうしても人が足りなくて
その頃から上位使いだった そらるさんと、いつも一緒にいる 僕も、そこで戦うことになったんだ
初めは、ちゃんと連携も取れて、 いつも通り上手く戦えてた
……だけどそれは、 あいつが現れるまで、の話
彼方
真冬
そらるさんに着いて行こうとした時、 すぐ真横から気配がした
慌ててそっちを向いて、 桃雪華を構える
……と、案の定、闇使いが僕に 攻撃しようとしていたところだった
真冬
いつもの訓練でも、この戦いが 始まる前にだって言われた、 そらるさんの言葉
分かってたのに、分かってたはず なのに、その場ですぐに“逃げる”って 選択をできなくて
逃げることなら僕にでもできた。 にも関わらず、僕はそのまま 1人で戦ってしまったんだ
その時そらるさんは、 既に他の闇使いと戦ってて
僕は防戦一方で、ずっと 押されっぱなしだった
闇使い
真冬
僕の横をするりと 抜けてしまった闇使い
……今思えばこいつの声は、 2日前、初めて聞いたはずの アランの声と同じだったんだ
彼方
アラン
僕と戦っていた闇使い…… アランが進んでいる途中、 いつの間に来たのか、横から そらるさんが浄化技を放っていた
彼方
真冬
いつもは全く怒らないそらるさんに 怒鳴られて、そこで初めて、自分の していたことを後悔した
……でも残酷なことに、 それだけでは終わらなくて
彼方
真冬
真冬
視界の端で倒れているアランが、 こちらに向かって左手を 構えているのが見えた
その手中には、 紫色の光が集まっている
自分の魔力をそのまま集めた、 技でもなんでもないもの
だけど、それに気づいた時には、 もう遅くて
彼方
そらるさんが後ろを 振り向いた直後、紫の光線が、 そらるさんの身体を貫通していた
真冬
一方の僕は、色んな感情が 混濁して、何も言葉が出なくて、 ただその場に立ち尽くすだけ
彼方
膝から崩れ落ちて倒れた そらるさんが、地面で蹲りながら、 苦しそうな掠れ声で言う
真冬
僕はそらるさんがいないと戦えない
1人じゃ力不足で、さっきみたいに 防戦一方になるから
だけど、僕が弱いからってだけで、 そらるさんをこんな危険な場所に、 しかも大怪我を負っている人を、 置いて行くことなんてできない
彼方
薄灰色の辛そうな、だけど 真っ直ぐな視線をぶつけられる
真冬
僕は、どうしたらいい?
どうしたら……
真冬
真冬
結局1人で逃げて、誰もいない 建物の外に出てきてしまった
真冬
僕が判断を誤ったから、ノアさんを 危険に晒しかけて、そらるさんに あんな怪我まで負わせてしまった
もしかしたらもう、逃げ切れずに 殺されてしまったかもしれない
あそこで僕が勇気を出して 頑張っていれば、そらるさんを 連れて逃げて、助けてあげる ことができたかもしれない
もう過ぎてしまったことをずっと ぐるぐる考えて、蹲っている間に、 いつの間にか戦いは終わって
闇生物も闇使いも、沢山いたのが 嘘みたいに、全ていなくなっていた
とぼとぼといつもの魔法空間に 戻ってきて、現世に帰ったけど、 そらるさんはいなくて
連絡しても返事が来ない、 ネットにも浮上しない
見かねて家にも行ったけど、 そこは空っぽ
やっぱりあそこで死んじゃったんだと 思って、また自分を責めた
もしかしたら、あの時僕に できることがあったんじゃないか、 そらるさんを助けることが できたんじゃないか
もしも話なんて考えたって 無駄なのに、何をしていても、 何もできなくなっても、頭の中に 思い浮かぶのはそればかりで
毎晩そらるさんと訓練をしていた 魔法空間にも行かなくなって、 闇生物にも使いにも会いたくなくて、 一層家に引きこもるようになって……
現在──
アラン
アラン
2年前の恐怖が蘇ってきて、 頭が真っ白になる
今度こそ、本当に殺されて しまうかもしれない
そらるさんだけじゃなくて、僕も…… もしかしたら、ノアさんだって……!
彼方
真冬
突然僕の名前を呼びながら、 アランに斬りかかったそらるさん
ギリギリで防がれたけど、 こちらの体勢は立て直せた
彼方
真冬
そらるさんの勢いに 乗せられて、思わず頷く
彼方
彼方
そう言って、笑いかけられた
真冬
「……来れますよ。僕、昔以上に 頑張ってきたんですから。 それに僕は、1人じゃないです」
この戦いが始まる前、 たしかに僕はそう言った
今の僕は強くなって、 上位使いになって
そらるさんと天ちゃん、 2人も仲間がいる
真冬
それに今、こんなところで 簡単に折れるわけにはいかない
僕にはまだ、やらなきゃ いけないことが残ってる!!
彼方
真冬
コメント
5件
2年前にそんな事件があったんだ… 目の前で相方が♡♡♡れたと言っても過言でも無いもんね…闇使いのアラン許さん( #`꒳´ ) でも今のまふくんもそらるさんも昔と違って強くなってる! だから自分が言える事じゃないけど弱気にならず自信を持って!((←いつも自信ない人
うわぁぁぁ…まふくん… 2年前にそんなことがあったのね… 辛かっただろうな…相方が目の前で 自分を庇ったせいで怪我したって… そりゃ自分を責めちゃうよな…… まふくんは何も悪くないのに… 悪いのはあの闇使い!アランだ!!! 今のまふくんたちは強いよ!!!!! 大丈夫!倒してあまちゃんの所に 行って、あまちゃんを助けて!!!! 続き楽しみにしています!!!!!!