この作品はいかがでしたか?
2,034
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2,034
「夏」
それはこの世界にはない
いや…
なくなった…
そういった方が正しいか…
夏というものは
「セミ」というものが鳴いていて
暑くて
虫が沢山いて
肝試しやお祭り
そういった行事があるらしい
私は夏というものに強い憧れを持っていた
夜菜
お母さん
夜菜
お母さん
夜菜
お母さん
お母さん
いつもお母さんは夏について話してくれた
ザッ
ザッ
古びた街灯にチカチカと明かりがつき気味が悪い
小走りで歩いていると
風が
ビュウ
と吹きブルッと体を震わせた
夜菜
後悔しながら歩く
?
突然後ろから肩を叩かれ驚きのあまり飛び跳ねる
夜菜
変な声が出た…最悪だ
そんなことを考えていると急に笑い声が聞こえてきた
?
夜菜
少し…心配になった
急に笑った…頭がおかしい人なんだな…
そう思っていたら
?
夏月
夏月
夜菜
夏月
夜菜
夏月
夜菜
夏月
夜菜
夏月
夜菜
夏月
夜菜
一瞬どうしようかと思ったけど私は頷いて
夜菜
そう答えた
そして私たちは毎日遊んだ。
彼も夏が好きなようでいつもその事で盛り上がっていた
そしてだんだん彼に惹かれていった…
けれど1年経った頃から彼は
ピタリと来なくなった
1週間後も
1ヶ月後も
1年後も…
彼が来ることはなかった
私の心の時計が
ピタリと
凍り、止まってしまった
10年後
私が憧れていた夏が来た
嬉しさもあったけど
悲しさもあった…
夜菜
お母さん
夜菜
そう…彼といつもあっていた場所…
お母さん
ミーンミンミンミン
夜菜
大きめのため息をつく
あの頃に戻りたい
心からそう思う
いなくなった2年後
彼が死んだことを耳にした
事故だったらしい
思い出すと涙が出る
視界がぼやける
この夏を一緒に見たい
心からそう思える人は
この世界には
いないから
君がいなくなった世界は
どんなことよりも苦しい
大声で泣いた
けれどその声は
セミの鳴き声にかき消されてしまった
コメント
23件
泣くぞ←ガチめに泣いてる
ヤバッ…… 私も見習わなきゃ←お前には無理だ
低クオとは……