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叫び。

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叫び。

1 - 叫び。

♥

965

2018年10月20日

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謎の声

満月の丑三つ時、誰かの声が聞こえてきたら

謎の声

それは誰かが貴方に叫びを聞いて欲しいと訴えている証拠です。

サキ

……ダメだ……寝れない……。

私はすっかり暗くなった部屋の天井を眺める。

さっきから何度も寝ようと努力しているのにどうしても眠れない。

無駄に明るい月。

サキ

今日は満月なんだっけ…?

私は夕方に見たニュースの内容を思い出しながら独り言を呟く。

サキ

満月って、なんか怖いなぁ……

サキ

こんな時間なのにすごく明るい。いつもはこんなに明るくなんてないのに。

女の子の声

いなえこきもにれだはえこ

サキ

……?

サキ

何か…聞こえる?

女の子の声

たてっごにもついはきしけ

サキ

なにこれ!怖い……

女の子の声

てしえかめゆのしたわ

サキ

やめてっ!

私は怖くなって目を瞑る。

まだ声が聞こえてくる。

女の子の声

るてしいあまま

女の子の声

てしいあとっも

サキ

やめてっ……

いつの間にか声は止み、私も眠りについてしまった。

夢の番人

おい、おきろ。

夢の番人

いつまで寝てるつもりだ。

サキ

……ん?んぁ……

夢の番人

おいっ!おきろって!

サキ

!?!?

サキ

あなた誰!?

夢の番人

やっと起きたか。

夢の番人

俺は夢の番人。

夢の番人

さっきお前に呼び出しがあった。

サキ

夢の番人……?

サキ

呼び出し…?

夢の番人

そうだ。

夢の番人

確かアヤって女の子だった気がする。

夢の番人と名乗るそいつは、鎧を着ていて、でも頭にはパジャマ帽子をかぶっている。

サキ

(……ださ。)

夢の番人

!?

夢の番人

お前今なんと思った!

サキ

!?

サキ

おっさんわたしの心読めるの!?

夢の番人

そうだ、番人ならそれくらいできて当然だろう。

夢の番人

てか、俺の事今おっさんって!

夢の番人

しかもダサいとか思っただろ!

サキ

……そーりー…ʬʬ

夢の番人

……謝る気ないだろ……。

夢の番人

ま、まあいい。

夢の番人

とにかく、呼び出した相手が夢の世界で待っている。

夢の番人

はやくそこのベッドに寝て、夢の世界へ行くんだ。

サキ

……?

サキ

おっさん、私寝てるんじゃないの?

サキ

ここは夢の世界じゃないの?

夢の番人

んー……ここは夢の世界じゃないな。

夢の番人

なんというか、駅みたいなものだ。

サキ

駅?

夢の番人

そうだ。

夢の番人

ここから、呼び出された相手の夢にも行けるし、

夢の番人

もちろん、自分自身の夢にも行ける。

サキ

そうなんだ。

夢の番人

ああ。

夢の番人

とりあえず、ここのベッドに寝てくれれば後は俺が呼び出された相手の夢に連れていく。

夢の番人

だからここに寝てくれ。

サキ

はーい。

私を呼び出した相手って誰だろう?

可愛い子かな?

なんで私を呼び出すんだろう?

私の中には、たくさんの疑問が浮かび上がっていた。

サキ

ちょっと楽しみかも。

夢の番人

……そうか。

夢の番人

…くれぐれも気を付けて。

夢の番人

お前の無事を祈ってるよ。

サキ

え?なに?

サキ

聞こえな…ぃ

最後まで十分に言えずに、私はどうやら眠りについてしまったらしい。

心地よい感覚。

包まれるような暖かみ。

太陽の香り。

花の香り。

雨の香り。

私の好きな物が全て今この空間にあるような

そんな気がした。

サキ

うっ!?

急にさっきまでの暖かみや心地良さが奪われ、代わりに強めの衝撃が私を襲った。

ゆっくりと目を開けると、そこには美しい世界が広がっていた。

サキ

うわぁ……綺麗…。

私は重い体をぐっと持ち上げてベッドからおりる。

サキ

ここが夢の世界なのかな?

すくっと立ち上がった私の胸元から、見覚えのない白いものがヒラヒラと落ちる。

サキ

なにこれ?

よく見るとそれはメモ用紙で、小さくて丸っこい字が綺麗に配列されていた。

夢の番人

用が済んだらベッドに寝ろ。決して住人になってはならない。夢の番人より。

サキ

おっさんからのメモか。

サキ

てか、おっさんの字丸くて可愛い…w

私はそのメモを丁寧に4つ折りにしてポケットにしまった。

サキ

それにしてもすごく綺麗なところ。

私はもう一度辺りを見渡す。

一面に咲きみだれる青色のバラ。

サキ

青色の花なんて、あったんだ。

サキ

いつか読んだ本では青の花はないって言ってた気がしたけれど…。

所々に植わっている真っ赤なリンゴを付けた木。

心地よい音を奏でる噴水。

その中に、ぽつんと建てられた可愛らしい家。

サキ

まるで童話の中ね。

サキ

あそこがアヤっていう子の家かな?

無意識のうちに私は、吸い込まれるように家の中に入って行った。

コンコン…

アヤ

あなたはだぁれ?

サキ

え?!

急に後ろから聞こえてきた声に、私はびっくりする。

振り返ると、そこには幼稚園児くらいの女の子が不思議そうに私を見て立っていた。

アヤ

あなたはだぁれ?

サキ

え、えーと、、、

サキ

私はサキ

サキ

貴女のお名前は?

アヤ

わたしはアヤ。

アヤ

ここのおうちすんでるの。

サキ

アヤちゃん!

サキ

貴方が私を呼んだのね!

アヤ

アヤ

わたしはよんでないよ?

サキ

あ、あれぇ?

アヤ

ねぇねぇおねえちゃん!

アヤ

いっしょにあそぼ!

サキ

え!?

私はグイグイとアヤちゃんに袖をひかれて、半場強制的に家の中に入った。

サキ

お、お邪魔しまぁす…

アヤ

きょうはね!

アヤ

アヤのたんじょうびなの!

サキ

そうなんだ!

サキ

何歳になったの?

アヤ

ごさい。

サキ

へぇ!5歳!

サキ

すごい!おっきいね!

私がそう言うと、アヤちゃんは少し照れたように笑った。

サキ

(か、可愛い…。)

アヤ

みてみて!

アヤ

おかあさん、ケーキやいてくれたの。

アヤ

いいでしょー?

サキ

うあ!すごい!

そこには、いたって普通のショートケーキがホールの状態で置かれていた。

アヤ

おとうさんはね!

アヤ

プレゼントくれたの!

アヤ

ほら!

そう言って、部屋の奥からプレゼントの入った箱を持って私に見せてくれた。

サキ

いいねー!

サキ

中身はなんだったの?

アヤ

えっとね、

箱を開けて、アヤちゃんは私に中身を見せてくれた。

アヤ

このおにんぎょうさん!

その人形は、赤色のフードをかぶった女の子の人形だった。

サキ

すごい可愛いね〜

アヤ

うん!

アヤ

あ、そうだ!おとうさんとおかあさんつれてくるね!

サキ

あ!うん!

そう言うとアヤちゃんは奥の部屋に行ってしまった。

数分すると、アヤちゃんがとても大きな黒い人形を持ってきた。

サキ

アヤ……ちゃん?

サキ

お母さんとお父さんは?

アヤ

え?

アヤ

あ!ちょっとまってね!

アヤ

おかあさんもつれてくるね!

サキ

まって!

私の声も聞かないままに、またアヤちゃんは奥の部屋から黒い人形を連れてきた。

アヤ

こっちがおかあさん!

アヤ

で、こっちはおとうさんなの!

サキ

アヤちゃん……

アヤ

どうしたの?

アヤ

おねえちゃん、顔色わるいよ。

サキ

……

2体の黒い人形。

いや、マネキンと言うべきか。

その2体をお父さんとお母さんと呼んで、楽しそうにするアヤちゃん。

アヤちゃんに、今、

「それはお人形さんでしょう?」

なんて言ったら、アヤちゃんが悲しむ気がしてならなかった。

この幸せな空間を、私が汚してはいけない。

そんな気がして、とてもじゃないが言えなかった。

アヤ

おねえちゃん……?

アヤ

どうしたの?

サキ

……

サキ

なんでもないよ!

サキ

ケーキもお人形さんも凄くいいね!

アヤ

うん!いいでしょー!

サキ

うん!

サキ

えーと……

私は、何とかマネキンから気持ちを逸らそうと、何か話題を探す。

サキ

ここのおうちにアヤちゃんのお部屋ってあるの?

アヤ

あるよー!

アヤ

こっちだよ!きて!

アヤちゃんは楽しそうに私を自分の部屋に連れ込んだ。

アヤ

ここだよ!

そこは、お人形の溢れるパステルカラーで統一された可愛らしい部屋だった。

サキ

すごく可愛い!

アヤ

えへへ

アヤ

おにんぎょうさん、いっぱいあるよ!

サキ

わぁ、ほんとだいっぱいある!

サキ

これ全部アヤちゃんの?

アヤ

そうだよー!

アヤ

みんなおなまえがあるんだよ!

アヤ

これはユリア

アヤ

こっちはジオン

ひとつひとつのお人形さんを指さして名前を言っていく。

数十個はあるだろうお人形の名前一つひとつを覚えているなんて凄いなぁとか思っているうちに

アヤちゃんは全ての人形の名前の紹介を終えた。

アヤ

これでぜんぶだよ!

サキ

いっぱいあるね〜!

アヤ

うん!

アヤ

あ、そうだ!

アヤ

きょうもらったおにんぎょうさんのおなまえはまだ決めてないの。

アヤ

おねえちゃん、おなまえサキだよね?

アヤ

じゃあこの子の名前はサキにしよう。

サキ

私の名前、よく覚えていてくれたね!

サキ

嬉しいなぁ〜

私がそう言うとアヤちゃんは少し顔を曇らせた。

アヤ

……アヤはおぼえてるよ。

アヤ

ぜんぶ。

アヤ

いたいのもくるしいのも

アヤ

つらいのもぜんぶ。

アヤ

うまれたひのことも。

サキ

生まれた日のこと?

サキ

そんなの覚えてるの?

アヤ

…うん。

アヤ

こんなのおかしいよね。

アヤ

わかってる。

サキ

ううん!

サキ

おかしくなんてないよ!💦

アヤ

…そっか。

アヤ

……

アヤ

……

アヤ

おねえちゃん、ここいやだ。

アヤ

そといこ!

サキ

外?

サキ

いいね!行こうか。

アヤちゃんは嫌な事を振り払うように立ち上がり、玄関のドアを開けた。

アヤ

おねえちゃん、なにしてあそぶ?

サキ

んーと、おさんぽする?

アヤ

いいよ!おさんぽしよ!

それから何分くらい歩いただろう。

アヤちゃんの家の周辺をくるくると回るようにおさんぽをした。

アヤ

おさんぽたのしいね!

サキ

うん、そうだね

サキ

でも、もう少し離れたところには行かないの?

アヤ

……行きたくない。

サキ

そっかぁ……。

サキ

あ!みて!あそこに綺麗なお花があるよ!

サキ

見に行ってみようよ。

アヤ

やだ。

アヤ

アヤ、帰る。

サキ

え?

アヤ

アヤのことおかあさんが呼んでる。

サキ

私の頭に黒いマネキンの姿が浮かぶ。

もちろん、マネキンなのだから呼んでいるはずが無いし、声だって聞こえない。

アヤ

かえる。

私がマネキンの事を考えている間にアヤちゃんは家に向かってスタスタと走って行ってしまった。

サキ

アヤちゃんっ!

呼んではみたものの、アヤちゃんはこちらを振り向くこと無く家に入ってしまった。

サキ

まぁ、いいか。

サキ

私はもう少し向こうの方に行こうかな…。

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