テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
ええ話やった……! 試合後の侑の悔しさと、伊織が何も言わず隣におる選択、そしてあのハグ。言葉じゃなくて体温で伝えるって、めっちゃ刺さるわ。次の日の「覚えてへん」発言で侑がモヤるのも、青春過ぎて胸がぎゅうなる。でも最後の日常の騒ぎで全部チャラになる感じが、この二人らしくて好きや。続き、気になる!
はな
27
こんちゃ!
87
#似てないかもだけど私なりに似せた
もずく
43
75
試合終了の笛が、体育館に響いた。
最後の一本。 決められたはずやった。
あと少し。ほんの少し届かんかったボールを、侑はじっと見つめていた。
侑
ベンチに戻っても、侑の機嫌は最悪やった。
治に話しかけられても、短く返すだけ。
チームメイトに「次や、次!」と声をかけられても、うまく笑えへん。
自分が一番、わかっとる。
もっとできた。
もっと、やれたはずや。
伊織
聞き慣れた、やたらとでかい声。
侑
顔を上げると、そこには伊織がおった。
侑
伊織
侑
伊織
侑
侑の声が、思ったより冷たくなった。
いつもなら「なんやねんその態度!!」と騒ぐ伊織が、今日は黙った。
伊織
侑
侑は目をそらした。
侑
伊織は少しだけ侑の顔を見つめた。
それから。
伊織
短く返事をして、侑の隣に座った。
何も聞かへん。 何も言わへん。 ただ、隣におる。
侑はそれが少しだけ不思議やった。
伊織なら、いつもみたいに騒ぐと思っていたから。
侑
伊織
体育館には、片付けをする音だけが響いていた。
しばらくして、伊織が立ち上がった。
侑が帰るんかと思って顔を上げた、その瞬間。
ぎゅっ。
侑
突然、伊織に抱きしめられた。
侑
返事はない。
伊織は何も言わず、侑の背中に腕を回していた。
侑
侑は戸惑いながら、伊織の肩に手を置いた。 振りほどこうと思えば、簡単にできた。
でも。
なぜか、できへんかった。
伊織の体温が、妙にあたたかかった。
侑
言いかけて、止まる。
悔しかった。
自分のせいで負けたかもしれんことも。 あそこで決められへんかったことも。 自分が一番、自分に腹を立てていた。
伊織
伊織は何も言わへん。
ただ、そこにおった。
まるで、今は何も言わんでええとでも伝えるみたいに。
侑は、ゆっくりと息を吐いた。
侑
小さく呟く。 伊織は相変わらず黙ったまま。
侑
その声は、さっきより少しだけ弱かった。
侑は結局、伊織を振りほどかへんかった。
伊織が離れるまで、ずっと。
翌朝。
伊織
侑
教室に響き渡る伊織の声。
昨日の静けさが嘘みたいやった。
伊織はいつもどおり、満面の笑みで侑の机に突撃してきた。
伊織
侑
伊織
侑
伊織
伊織は一瞬だけ黙った。
伊織
侑
伊織
侑
伊織
侑
侑は呆れながら、ふと昨日のことを思い出した。
体育館。 誰もおらん場所。
自分を抱きしめた、伊織。
侑
伊織
侑
伊織
伊織は首を傾げた。
伊織
侑
侑の顔から、表情が消えた。
侑
伊織
侑
伊織
侑
伊織
侑は机に突っ伏した。
最悪や。
いや、何を期待しとったんや、自分は。
伊織は誰にでもああいうことをするんかもしれん。
自分だけやない。 特別でもなんでもない。
それやのに。
侑
伊織
侑
伊織
侑
伊織
侑
伊織
侑
伊織がケラケラ笑う。
侑は、その顔を見てしまった。
昨日、自分のそばに黙って座っていたのと同じ人間とは思えへんくらい、いつもどおりの笑顔。
なのに。
昨日のことを覚えてへんのが、少しだけ寂しかった。
伊織
侑
伊織
侑
伊織
教室中に響く伊織の悲鳴。
治が遠くから、呆れたように言った。
伊織
侑
伊織
伊織の目が輝いた。
伊織
侑
伊織
侑
伊織は腹を抱えて笑っていた。 侑は顔を真っ赤にして怒鳴っていた。
治は全部わかった顔で笑っていた。