ストックホルム症候群 1

この世の中は腐っている

馬鹿な俺は女に騙された側なのに

ただそれだけで、悪者にされ

会社もクビだ

失うものはなくなった

今度は俺が騙してやる

馬鹿な女を……

まずはターゲットを決める

あんな風に常識知らずな十代後半

それくらいがちょうどいい

目の前を18位の女が通る

身長は一六〇くらいで

容姿も優れたスレンダータイプ

ターゲットはこいつしかいない

そう、確信した

ターゲットの尾行をしながら、

ストックホルム症候群について 改めて調べた

精神医学用語のひとつ 誘拐事件や監禁事件などの被害者が 犯人と閉鎖的な空間で過ごすような 場合、犯人に対して同情や好意、 連帯意識などの依存的な感情を抱く ようになること

なんでも、被害者は 自分が殺されるかもしれない極度の 恐怖に追い込まれた状況で

犯人に水や食料を与えられたり

トイレにいくことを許されると、

それに感謝して犯人に好意的な 印象を持つらしい

ターゲットの女を尾行していると、

古びたアパートが住居だと分かった

人は、住む家の鍵を開けて部屋に入る瞬間、一番油断する

そのタイミングで……

ドアを閉めようとする瞬間に、 強引に中に入る

そして、笑顔で 話しかけながら 侵入する

笑顔で侵入したため、 敵意があるのか？何かの販売員か？ と混乱するのだ

女は硬直している

十分だ

右手で軽くターゲットの首を絞める

これで、ボスがいるのだと勘違いする

そして、自分はボスに献上されるのだと

ターゲットは右目で二回、瞬きをした

首を絞めていた手を緩める

そう言いながら、 ターゲットの髪を優しく撫でる

そう言うことで、 自分は怖かったのだと思わせる

洗脳に近い

そして、言うことを聞いてくれて ありがとう、

そんな気持ちを込めるように 髪を撫でた

自分はよいことをしたのだと

信じこませるために

独り言のように呟く

体を壊されるのか 心を壊されるのか

それは、想像してもらう

終わりない恐怖のために。

そうすることで、 ボスという存在に引き渡されたくないという発想にたどり着く

即答する

恐怖と絶望を与えるのだ

自分はボスに渡すのをためらっているのだと錯覚させるために、

苦悶の表情を演じる

無表情で告げた

一番怖い表情は、無表情なのだ

ターゲットは何度もうなずいた

俺は悪い人だけど悪い人じゃない

人質がいるからこのような犯行を しているのだと思わせた。

あとは簡単だ。

監禁して相手が空腹の限界になるまで食料は与えない

同時に、風呂に入ってない身体を 洗ってやる。

これだけだ

服用してから相手を縛らずに、 簡単な世間話から始め、

所々架空の妹と 共通点があることも話した

そのうち、ターゲットはねむった。

続く

次回はエロ要素があります……