あれから私はグミさんに
言われたとおり、
只々時間を過ごした。
衣服はグミさんの物を、
食事はレトルトが多かったが
置いていただいている身の上
文句一つ言わずに食べた。
テレビでは連日、“私”のことが
報道されており、行方不明且つ
捜索届けも出されているようだった。
グミさんは私のことを深く
詮索することはなかった。
そして時間の経過は早く
期日の3日後になってしまった。
閻魔
....

柩巳
どうした?嫌いなモンでも入ってたか?

閻魔
いや...今日が“あの日”だなぁって...

柩巳
取り敢えず、正午だっけか?その時になってから考えれば良いだろ

閻魔
でも、あと10分もないですし...

閻魔
あの...グミさんにずっと聞きたかったことがあるんですけど...いいですか?

柩巳
ん?

閻魔
どうして見ず知らずの私を匿って衣食住を提供してくれたんですか?

柩巳
その質問の意図は何だ?

閻魔
だって私を匿うってことはグミさんも危険なことに巻き込まれるってことで...!!

柩巳
...アタシは初日からずっとテメェを観察してた

柩巳
衣食住の提供以外の会話を極力避けていたのもそれが理由だ

閻魔
それで...どうでした?

柩巳
テメェは信用しても良いかもしれねーって思った

閻魔
良かった...ですけど、それとこれとは別じゃ...!!

柩巳
練音...アイツがテメェのことを“トモダチ”だって言ったんだ

柩巳
なら、どんな危険なことがあってもテメェを守ってやる

柩巳
ただ、それだけの話だ

閻魔
さっきから“トモダチ”って何なんですか?

閻魔
どうしてそんなに宇佐美君に従おうとするんですか?

柩巳
はあ?まさかテメェ...練音から何も聞かされてねーのかよ

閻魔
...何の話ですか?

柩巳
...いいか、練音はな

テレビの画面にノイズが入り
以前の白い空間に侵略者がいる
画面に切り替わった。
閻魔
来た...

侵略者
《時間だ、地球の民よ》

侵略者
《彼女は何処だ?》

画面越しからでも分かる、
声色に怒気がこもっている。
しかし、私ができるのは
ただ画面を見続けることだけだった。
私は緊張した面持ちで
侵略者の次の言葉を待った。
すると返ってきたのは
予想もしていなかった一言だった。
侵略者

侵略者
《ドッキリ大成功ー》

閻魔
...は?

侵略者はパチパチ手を叩きながら
棒読みでそう言い放ったのだ。
閻魔
ド、ドッキリ...?

侵略者
《地球の民はこの手の言葉を聞くと、一気に緊張が和らぐという話を聞いたことがある》

侵略者
《加えて地球の民と対等の存在であることを、証明するための和やかな空気感を出したかった点もある》

侵略者
《だから私は怒っていない》

侵略者
《寧ろ、この結果は想定通りだったといえる》

閻魔
想定通り...

侵略者
《よって、今後は音無 閻魔の追跡を辞めるよう地球の民に伝えたい》

閻魔
ほ、本当に!?

柩巳
....

侵略者
《もし追跡を継続する場合は私が直々に対応させてもらう》

侵略者
《地球の民よ、良き週末を》

閻魔
やりましたよ、グミさん!もう追われなくて済みます!

柩巳
...本当にそうだと良いな

閻魔
どういうことですか?

柩巳
アイツはテメェの追跡を辞めるよう言ったけど、追い打ちをかけるようなら自ら手を下すって言ってたな?

閻魔
そうですね

柩巳
普通、興味なくなった獲物はそのまま放っとくだろ

柩巳
何でそんな“見張る”ようなことをするんだ?

閻魔
アフターサービス的なことじゃないんですか?

柩巳
それなら良心的だな...じゃねーよ、ハッピーかよテメェは

柩巳
あともう1点気になったことがある

柩巳
アイツはまだ地球に執着してるってことだ

閻魔
地球に心残りがあるんですか?

柩巳
最後の挨拶、あれはアタシら人間に対してまだ要求だか何だかありそうなニュアンスだったよな...

閻魔
大丈夫ですよ!取り敢えず今は日常が戻ったことを喜びましょうよ!

柩巳
チッ、お花畑め

もう指名手配されなくて済む
という気持ちで今は安心感に
満ち溢れていた。
学校にも行ける、外にも出られる
今はやりたいことがたくさんある。
私はグミさんの心配を他所に
途中の食事を全て食べ
居間を後にした。