夕暮れどきに着いた頃
2人の少女が肩を並べて
仲睦まじく歩く姿があった。
今日も貴女といられて嬉しい
そう笑い合いながら。
海辺の潮風に吹かれてセーラーの制服を揺らす頃
柔い肌に肌を絡ませて
切れない絆を結んだ少女達は
確かこんなことを話し合っていた。
カリン
ウリ
カリン
ウリ
ウリ
白い肌の天使は 向かいにいる花に笑いかけた。
その時。花の少女は考えた。
いつかは私の元を離れてしまうのかな
私よりも良い人を 見つけてしまうのかな、
でも、取り囲んで この子の自由を奪うのは嫌だ、
それなら、 もう一歩踏み込んだ関係になりたいな
と。
もう既に
「1歩」踏み込んでいること
取り返しのつかない所まで来ている
ということに気づかずに。
カリン
ウリ
カリン
カリン
ウリ
ウリ
カリン
ウリ
カリン
ウリ
そう言い合って沈黙の後に影が重なりあうのは
同刻だったという。
少し涙を浮かべた花の少女も
何も知らない羽の生えない天使も
潮で濡れた制服も
浜辺に、濡れないように、置いたローファーも
また肌を絡めて
また明日
と笑い合い。歩んでゆく少女達にかき消されて
また1に戻されてゆくのだから。
枯れもしない生粋の藍の花は
時に花弁を入れ替えるのだった。
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