真冬視点
彼方さんが任務に出てから、少し経った
いつもより遅い時間だから、もしかしたら怪我をしているかもしれない
そう思って、僕は手当てをする道具を一式、すぐに使えるようにして待っていた
すると、部屋の襖が開いた
真冬
真冬
そこに立っていたのは、顔や腕に血がついたままの彼方さんだった
真冬
真冬
彼方
彼方さんはいつもと違って、どこか上の空で返事も曖昧だった
真冬
僕は彼方さんの手についた血を洗い流して、羽織を別のものに取り替えた
そして切り傷を止血して、処置を施した
真冬
彼方
真冬
彼方
真冬
いくら揺すっても、呼びかけても、彼方さんはそれに反応しない
真冬
彼方
彼方
何回も名前を呼びながら揺すっていると、やっと反応した
真冬
彼方
真冬
真冬
彼方
真冬
彼方さんは、僕から顔を背けてそう言った
真冬
僕はその顔に手のひらを当てて、僕の顔が見えるように固定した
真冬
真冬
真冬
真冬
真冬
彼方
光の灯っていない青色の瞳で僕を見つめる彼方さんは、何とも言えない表情をしていた
それを見て、僕はさらにやるせない気持ちになった
真冬
真冬
彼方
そう僕がつぶやくと、彼方さんの目には少しずつ光が灯っていく
そして、同時に瞳が潤んでいた
真冬
僕は溢れてくる涙を抑えられなくて、彼方さんの目の前で、涙を拭った
彼方
そう言って彼方さんは、僕の肩に頭を乗せた
僕はその体を腕の中で抱えて、僕もまた彼方さんにつられてたくさん泣いた
真冬
真冬
あの後、彼方さんは泣き疲れて眠ってしまった
僕はそんな彼方さんを布団に寝かせて、今は隣の畳の上で僕も寝転がっている
真冬
僕はそう呟きながら、彼方さんの顔にかかった横髪を耳にかけた
昔とは違う、切り傷の跡だらけの体
こんなに大きくなったのに、僕も彼方さんも、ある意味成長できていないところはあるのかもしれない
そう思いながら僕は、目を閉じて眠りに落ちた