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校舎裏、放課後

いつもそこには、彼女がいる。

樋口 美玲

今日も来たんだ、七宮(ななみや)くん

七宮 凛月

…うん

凛月(りつ)は美玲(みれい)の隣に腰を下ろす。

ミャァ……

七宮 凛月

ははっ、ねこぉー元気にしてたか〜?

凛月は無邪気に笑いながら「ねこ」の頭を撫でた。

樋口 美玲

ねえ

樋口 美玲

そろそろ名前決めない?

樋口 美玲

「ねこ」ってそのまますぎない?

七宮 凛月

…えー

七宮 凛月

俺はもう「ねこ」で定着しちゃったかな

樋口 美玲

変な人

七宮 凛月

う……

七宮 凛月

(樋口(ひぐち)さんは__)

正直、何を考えているかわからない

俺が冗談を言って、笑うことも

ツッコミなんてもちろんされない

「ねこ」は美玲の足にスリスリと頭を擦り付ける。

ゴロゴロゴロ……

樋口 美玲

…ふふ

美玲は優しく微笑む。

ドキッと心臓がはねた。

七宮 凛月

……

七宮 凛月

(「ねこ」にだけは笑顔を見せるんだよなぁ)

俺には見せてくれねーくせに……

七宮 凛月

樋口さんって俺と同じ3年生だよな?スリッパの色赤だし!

七宮 凛月

全く学校で見かけないけど何組なの?

樋口 美玲

……

樋口 美玲

関係ある?それ

冷たく言い放たれた言葉。

七宮 凛月

……すみ、ません__

七宮 凛月

……

七宮 凛月

明日も、来る?

樋口 美玲

…そのつもりだけど

七宮 凛月

ならいい!

凛月はニッと笑った。

樋口 美玲

……

美玲は少し頬を紅潮させ、目を逸らした。

七宮 凛月

(え、かわいい……!!!)

樋口さんは不思議な人だ

綺麗で、儚くて

少しでも目を離すとどこかへ消えて行ってしまいそう

中学三年生

これが俺の初恋だった

七宮 凛月

樋口さん

七宮 凛月

貴方がどこかへ行ってしまう前に言いたくて

凛月は一呼吸置いて口を開けた。

七宮 凛月

好きです

樋口 美玲

……

美玲は口角を上げて優しく微笑んだ。

風に揺らされる黒髪から匂うサボンの香りが胸をドキドキと高鳴らせた。

初めて見せてくれた、俺への笑顔

それが、覚えている最後の記憶だった

立川 小春

はぁっ、はぁ……っ

小春(こはる)はスクールバッグを肩にかけて全速力で走っていた。

立川 小春

唯(ゆい)ーー!!

唯は可愛い2つ結びを髪を揺らして振り向いた。

佐伯 唯

小春ちゃん!

立川 小春

まーじごめんね!

佐伯 唯

大丈夫だよー!

佐伯 唯

集合時間から3分遅刻ってだけだし

立川 小春

うげぇ……遅刻だけはしないって決めたのに

立川 小春

だって今日から高校生なんだよー?

佐伯 唯

ふふっ!

佐伯 唯

楽しみだね!

唯はニコッと笑った。

佐伯(さえき)唯(ゆい)

同じ中学で大親友の女の子

私よりも背が低くて、女の子っぽいふわふわの髪型で

クリっとした目に守りたくなるような笑顔

私の親友はめっちゃめっちゃ可愛いの!

立川 小春

もし唯のことを狙う変態がいたら…絶対殴ってやる

佐伯 唯

あははっ

佐伯 唯

なにそれ〜

佐伯 唯

…ん?

唯は小春に顔を近づけた。

佐伯 唯

香水……?

立川 小春

あ、ははっ

小春の顔はカッと赤くなる。

立川 小春

な、なんかバカだよね!

立川 小春

新しい環境でワクワクしちゃって

立川 小春

香水付けてみよーとか、

立川 小春

……

佐伯 唯

……

佐伯 唯

ううん!

佐伯 唯

すごく素敵だよ!

立川 小春

立川 小春

ありがと!

高校1年生

私、立川(たちかわ)小春(こはる)は

新しい環境に胸を躍らせていました!

卒業式が終わり、__

立川 小春

まさか一緒のクラスなんてさぁ!

立川 小春

私もう死んでもいいよぉ

小春は泣きながら唯に抱きつく。

佐伯 唯

えぇー

佐伯 唯

死んだら困る!

立川 小春

じょーだんじょーだん!

立川 小春

1年間よろしくね!唯!

佐伯 唯

うんっ!

先生

そろそろ席つけよー

先生

ホームルームするからなー

立川 小春

またね!

佐伯 唯

うん!

クラスメイトたちはゾロゾロと席に着く。

立川 小春

(やばい、みんなと話すの楽しみ…!)

立川 小春

(クラスメイトたちと仲良くなって、楽しいこといっぱいしたいなぁ)

先生

それじゃ、自己紹介からなー

立川 小春

(頑張って覚える!)

立川 小春

(次、私だ……)

小春はガタリとその場に立ち上がった。

立川 小春

立川小春です!××中学から来ました!

立川 小春

みんなと仲良くなりたいのでいっぱい話しかけ__

立川 小春

いや、話しかけます!

立川 小春

よろしくお願いします

ぱちぱちと拍手が鳴る。

立川 小春

(緊張したぁ……)

立川 小春

(次は…私の隣の人だよね?)

小春は隣の席をチラリと見た。

男の子は机に突っ伏して自己紹介中、ずっと寝ている。

立川 小春

(感じ悪いな…)

先生

おい!

先生

えーと、……

先生は座席表を読みながら男の子の名前を声に出した。

先生

七宮!

先生

七宮凛月!

立川 小春

(七宮くん…って言うんだ)

凛月は自分の名前を呼ばれ、体をムクリと起こした。

七宮 凛月

え……?

立川 小春

(ガチで寝てたよこの人!)

立川 小春

(めっちゃ寝ぼけてるし……)

立川 小春

今自己紹介中だよ……

小春はコソリと凛月に教える。

七宮 凛月

……

先生

立ちなさい!

凛月はだるそうにその場に立ち上がった。

七宮 凛月

七宮

……

立川 小春

(うそ!それだけ!?)

立川 小春

い、意気込みとかさぁ

七宮 凛月

は?

七宮 凛月

なんの意気込み?

七宮 凛月

決闘でもする感じ?

立川 小春

(何こいつ!!!)

先生

はぁ……

先生

もういい。座れ

凛月は座ったかと思えば、また机に突っ伏して寝てしまった。

立川 小春

(なんだ、この人……)

絶対、仲良くなりたくないよこんな人!

ー放課後ー

佐伯 唯

いつまで言ってるの〜?

立川 小春

もー!ずっと言うよ!

立川 小春

私が親切で教えてあげてるのにさ!

立川 小春

あんな態度、イライラしちゃうもーん

佐伯 唯

馬は合わない人くらいはいるよ!

立川 小春

そうだけどさぁ……

2人は玄関から外へ出た。

ビュッと風が吹く。

立川 小春

わっ、強いね風

佐伯 唯

……あ

唯がスクバをガサガサと何かを探して声を出す。

立川 小春

ん?忘れ物?

佐伯 唯

スマホ!

立川 小春

えぇー

佐伯 唯

ごめんね!ちょっとまってて〜!

立川 小春

私も__

唯は慌てて校舎へと戻って行った。

立川 小春

(行っちゃった……)

そのとき、凛月があくびをしながら前から歩いてきた。

立川 小春

(うわ…七宮くんだ)

立川 小春

(挨拶とかするべき……?)

小春は凛月から目を逸らし、通り過ぎるのをただ待っていた。

その時、風が吹いてふわっと小春の髪がなびく。

付けていたサボン系の香水の香りが匂った。

七宮 凛月

!!

凛月はハッとした様子で小春の腕を掴む。

立川 小春

……え??

この状況……

この状況は

なんだー!?!?

七宮くんは気まぐれ

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