テラーノベル
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どんどんと冷え込んできた日の朝
子供達はジャンパーを着てマフラーを着けて…
防寒をしっかりとし、幼稚園へ登園していた
1月8日、月曜日
冬休みが終わり、最後の学期が始まる
園庭には白く霜が残り、吐く息も白い
子供達は暖房の効いた教室へ向かい、久しぶりに会う友達と元気に挨拶を交わす──
Ep.36 みんなで小学生!
四宮 祐希
古寺 将風
古寺 将風
四宮 祐希
2人が挨拶を交わしているところに、來が駆けてきて、勢いよく声を上げる
清本 來
四宮 祐希
四宮 祐希
古寺 将風
3人は笑顔で手を振り合い、並んでロッカーへ荷物を仕舞う
一方その頃、少し離れた場所では
凜叶と凜音が積み木を並べて遊んでいる
知花 凜叶
知花 凜音
鏡狂 花
花が挨拶しながら近づいていく
そして自然に輪に入り、一緒に積み木を重ねていった
そのすぐ横
椅子に腰掛け、本を読んでいる乱兎に姫恋が近付く
王城 姫恋
貴島 乱兎
顔も上げずに返された短い言葉に、姫恋は少ししょんぼりと肩を落とす
そのまま足を向けたのは、隣でクレヨンを握っていた四葉のところだった
王城 姫恋
守森 四葉
姫恋はそっと椅子に腰掛け、四葉の隣で一緒に絵を描き始める
四葉は横目でちらりと見て、何も言わずに色を重ね続けた
ガラガラガラ
慌ただしい足音と共に、絋が遅刻ギリギリで教室へ飛び込んでくる
松澤 絋
四宮 祐希
古寺 将風
松澤 絋
そのタイミングで、すうあが教室へ入ってきた
吹雨希 すうあ
吹雨希 すうあ
清本 來
知花 凜音
吹雨希 すうあ
すうあは教壇に立ち、両手を合わせてにこやかに声を掛ける
吹雨希 すうあ
吹雨希 すうあ
子供たちの視線が一斉に集まる
暖房の効いた教室の空気に、子供達の息遣いと小さなざわめきが混じった
吹雨希 すうあ
凜叶と凜音、四葉、乱兎、姫恋の顔が少しだけ引き締まる
吹雨希 すうあ
すうあは将風や祐希、來、花、絋の方へ目をやる
吹雨希 すうあ
吹雨希 すうあ
すうあは少し柔らかく微笑んで言葉を続ける
吹雨希 すうあ
吹雨希 すうあ
子供たちはぱらぱらと笑顔になりながら、口々に返事をする
四宮 祐希
知花 凜音
清本 來
松澤 絋
四葉は小さくうなずき、姫恋もその隣で「は、はい…」と声を出した
吹雨希 すうあ
吹雨希 すうあ
吹雨希 すうあ
「わーい!」「やったー!」
教室中に元気な声が弾け、子供たちはそれぞれに走り出す
積み木へ向かう子、絵本を手に取る子、絵を描き続ける子……
三学期最初の一日は、そんな賑やかな幕開けとなった
子供たちはそれぞれ好きな場所へ散っていき、教室のあちこちから楽しげな声が響き始めた
凜音と凜叶は並んで積み木を積みながら、小さく声を交わす
知花 凜音
知花 凜叶
知花 凜叶
近くで耳をぴくんと動かした祐希が、興味津々に駆け寄る
四宮 祐希
将風も祐希に付いてやってくる
古寺 将風
古寺 将風
すると、凜叶は得意げに胸を張る
知花 凜叶
知花 凜音
「べんきょう」という単語に、祐希達の目が一斉に輝く
松澤 絋
松澤 絋
鏡狂 花
清本 來
四宮 祐希
古寺 将風
知花 凜音
四宮 祐希
松澤 絋
子供たちは輪になって、「小学生ごっこ」を始めることになった
知花 凜叶
知花 凜叶
知花 凜音
鏡狂 花
松澤 絋
清本 來
古寺 将風
四宮 祐希
四宮 祐希
「7年生」という言葉に、場が一瞬静まり返る。
将風がきょとんとした顔で祐希を見上げ、首を振った
古寺 将風
知花 凜音
四宮 祐希
子供たちが一斉に笑い声を上げる
古寺 将風
四宮 祐希
そうして学年が決まると、凜叶は両手をパンッと叩いた
知花 凜叶
知花 凜叶
子供たちは机に座り、鉛筆やクレヨンを握って「生徒役」になりきる
「先生役」の凜叶は黒板代わりの大きな画用紙を指差し、真似事の授業を始める
そんなこんなで、少々のトラブルもありつつも、無事小学生ごっこが始まっていく
知花 凜叶
黒板代わりの大きな画用紙をピシッと指差し、凜叶が声を張る
知花 凜叶
鏡狂 花
花が元気に手を挙げて答えると、凜叶がパチパチと手を叩く
知花 凜叶
鏡狂 花
知花 凜叶
松澤 絋
勢いよく叫んだ答えに、みんなが一斉に叫んだ
知花 凜叶
知花 凜音
松澤 絋
四宮 祐希
古寺 将風
知花 凜音
松澤 絋
そんなやりとりを眺めていた四葉が、ふと紙とクレヨンを取り出す
紙には丁寧に「山」「川」と簡単な漢字を書き始めた
それが書き終わると、小学生ごっこをする凜叶達に近付き、紙を見せる
守森 四葉
古寺 将風
将風は見様見真似をして「山」の字を書く
少し曲がっていたけれど、形はちゃんと山になっていた
鏡狂 花
四宮 祐希
みんなからの拍手に、将風は照れたように笑いながらも、どこか誇らしそうだった
──授業ごっこの次は、給食の時間ごっこ
知花 凜叶
机を並べ、積み木や鉛筆、クレヨンをお皿や箸に見立てて置き、全員で手を合わせる
「「いただきます!」」
四宮 祐希
鏡狂 花
清本 來
松澤 絋
それぞれが好きな料理を言い合い、机の上は空っぽなのに、子どもたちの笑顔でいっぱいになった
次は「休み時間ごっこ」
知花 凜叶
知花 凜叶
誰かから「おにごっこしよう!」と声が上がると、子どもたちは教室を飛び出し園庭へ
霜の残る地面を駆け回り、足を滑らせて転がる子も出る
吹雨希 すうあ
すうあの声に、子どもたちは「はーい!」と返事をしながら、また元気に走り出した
最後は「下校ごっこ」
知花 凜叶
知花 凜叶
四宮 祐希
清本 來
ランドセルを背負う真似をして、みんなでドアの前に並ぶ
「さよならー!」と手を振り合いながら、1日の小学生ごっこを締めくくった
──三学期の始まりの日
子どもたちはそれぞれ「小学生」への憧れを胸に遊びに夢中になった
年長の子達は「もうすぐ小学生になる」という誇らしさと、少しの不安を抱きながら
年中組は「早くなりたい!」という無邪気な気持ちを膨らませながら
将風もまた、兄の凛空を思い浮かべる
古寺 将風
胸の奥に、小さな期待と喜びが芽生えていた
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