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樹と話をした後、俺は唯華の家に向かっていた。

唯華がこんな俺を認めてくれるかなんて分からないけど、

俺に少しでも望みがあるなら。

もう、好きにならなければ良かった なんて言わせない。

唯華

私、昨日なんて事言ったんだろ…

樹に甘く抱きしめられている時、

安心感に逆らえず、

沢山の本音を話してしまった。

でも、本当に翔太の事を好きにならなければ良かったのかな。

その事だけが頭にずっと残り続けていた。

広い家でただ一人涙を流しながら、翔太との写真を眺めていた。

ピーンポーン

時計の針は10時を指している頃、家のチャイムが鳴り響いた。

唯華

はい、

翔太

唯華!

唯華

え…っ、翔太…?

唯華

なんで…

扉を開けると、翔太が真剣な眼差しでこっちを見ていた。

唯華

とりあえず、家上がって

私は家に入るよう促した。

翔太

うん、ありがとう

今日の翔太は前の翔太に戻っているような雰囲気を纏っていた。

私は、テーブルにアップルティーを用意して、翔太と対面するようにして座った。

唯華

なんで、私の家に来たの?

翔太

お前の名前を呼ぶ為に来た

唯華

え…、名前…?

名前を呼ぶ為に来たって…

私の頭では理解が追いつかない。

結局はまだ、私の名前呼んでないよ。

お前の名前 って

改めて翔太のツンデレさを知った。

翔太

今日の昼間、樹に会った

翔太

樹と話してきたんだよ

唯華

樹…と?

翔太

うん

翔太

樹はいつも正論ばかり言ってた

翔太

俺はその正論に対して我儘ばかり

翔太

樹なんかより俺の方がまだ子供

翔太

馬鹿だった…

翔太は真剣な眼差しで、でもどこか悲しそうな顔で

私の顔をしっかりと捉えながら話している。

翔太

俺が唯華を振った時…

やっと、私の名前を呼んでくれた。

それが何よりも嬉しかった。

翔太

俺は唯華を見てると、昔を思い出しちゃう気がして…ただ怖かった。

私は何も知らなかった。

怖いと思っていたことも。

全て

翔太

男なのにかっこ悪いよな…

唯華

男も女も関係ないよ!

唯華

確かに、翔太に振られた時は悲しかった…辛かった

唯華

私が他の男の子と話してる方が楽しそうに見えるって言われたから…、

私は振られた後、直ぐに気づいた。

もっと、翔太との時間を大切にしていれば良かったと。

唯華

翔太を大切にする事が出来て居なかったんだな…って

唯華

やけくそになってた。

翔太

大切に出来てなかったのは、俺の方だよ

翔太

今までずっとそうだったから。

翔太

仲が良かった友達も、皆俺の周りから離れていった。

翔太

だから…唯華も他の男子に行って、唯華が俺の傍に居てくれないかも…って変な事を思ってた。

翔太

でも、全部間違えだった。

唯華

え…?

翔太の過去を何も知ってあげられなくて、私は翔太に愛をあげることが出来ていなかった。

翔太

唯華は俺の傍を離れなかった

翔太

俺が振ったあとも…ずっと

そうだったのかもしれない。

ずっと、翔太の傍に居たいと願い続けていた。

翔太

樹から聞いたんだ

翔太

唯華は俺の事がまだ好きだ…って

好きだよ、大好きだよ

夢に出てくるほど、翔太が好き。

翔太

その言葉本気にしていい?

唯華

本気…に?

翔太

唯華はまだ俺の事が好きだって思い続けていいの?

私の答えなんてただ1つ。

唯華

翔太

私が名前を呼ぶと、少し緊張しているのか、改まった姿勢をとった。

唯華

やっと言ってくれた

翔太

え…っ?

唯華

大好きだよ

やっと、言えた。伝えることが出来た。

翔太

俺も…大好き

そして、やっと聞けた。

久しぶりに聞くことが出来た。

翔太からの愛の言葉を。

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