ミニバスコートを出ると、また石畳と石レンガの通路が続いていた。
第2ブロックでの失態が後を引いて、足が重い。
ユトリ
ホマレ
ユウゴ
つい、意地悪な返しをしてしまった。
ユトリもホマレもなぐめてくれているのはわかるんだけど、落ち込んでる時の優しい言葉は、かえって心に重くのしかかる。
メイカ
メイカ
ホマレ
ユトリ
ガイド妖精
5分も歩かないで、ガイド妖精に止められた。
気持ちを切り替えないとな。
通路の左右が少し広がっていて、ここだけ円形のフロアになっている。
中央に大きなテーブルがあり、フルーツやお菓子やシロップが山盛りにおいてある。
他にキッチンナイフや鍋や焼き網などの調理器具などもあるから、次の競技は料理関係だろうか。
今度も魔法とは関係がなさそうだ。
ガイド妖精
ガイド妖精が発した光を壁に当て、文章を表示する。
【マシュマロテイスティング】 ・最初にお題となるマシュマロを食べて味を覚える。 ・n個のマシュマロの中から、お題と同じマシュマロを当てる。 ・用意した他の食材、道具等は自由に使ってよい。 ・お題のマシュマロの確認は、何度でも可能。 【A】10個の中か当てる 【B】3個の中から当てる
思った以上に魔法と関係がない競技が来た。
マシュマロって正直なところ、ほんのりあまい以外の味はない。
いくつものマシュマロを食べ比べても、違いなんてわかるはずもないだろう。
ここは第3ブロックだから、クリアできれば3ポイントも入る。
マシュマロを食べるだけで3ポイントはうれしいけど、結構難しそうだ。
確率1/3なら、当てられるかもしれない。
ぼくはBを選んだ。
ガイド妖精
ホマレ
ユウゴ
ホマレ
ユウゴ
ユウゴ
なんだかホマレとの会話が噛み合っていない気がする。
ホマレ
ホマレ
ユウゴ
ホマレ
ショウリ
ホマレ
違う。
フリースローの時は10回のチャンスがあった方が簡単だけど、今回のマシュマロテイスティングはダミーが多くなる10個の方が難しい。
ということを、確率とか分数とかをいろいろ駆使して、ユトリに説明してもらった。
自分の勘違いに気づいたホマレは、真っ赤になった顔を両手で隠して、壁に向かってうつむいてしまった。
ホマレ
メイカ
ホマレ
ホマレ
メイカの返答えで、ホマレがいつもの調子を取り戻した。
横目で見ると、ショウリがメイカの頭をなでていた。
もしかして、ホマレをなぐさめるようなことを答えろとか言われていたのかな。
それは邪推しすぎかな。
でも、ホマレが間違えてくれたおかげで0:5にならなかったので、結果的にはこれで良かった。
あとはホマレが当ててポイントゲットできれば、もっといいんだけど。
それは望みすぎかな。
ガイド妖精
ガイド妖精がお皿に山盛りのマシュマロを、ホマレの前に出した。
ホマレ
ホマレ
テイスティングなのに、食感とか舌触りとか香りとかの感想が一切なかった。
ガイド妖精
テーブルの上に、マシュマロを盛ったお皿が10個並べられた。
それぞれのお皿に①~⑩と刻印が入っている。
ホマレ
ガイド妖精
ホマレ
ホマレが①~⑩までのマシュマロを順番に、味わいながら食べていく。
ユウゴ
ホマレ
ホマレが半分涙目でこたえる。
マシュマロは味が薄いからね。
ガイド妖精
意外にもガイド妖精からヒントとも取れる助言があった。
さすがにこの競技は難しいと判断したか。
ユトリ
ユトリがテーブルに山と積まれたお菓子やフルーツを見ながら言う。
これが大食いとかなら味変は気分転換にもなって有効だけど、テイスティングの場合、別の味が混ざるのはデメリットでしか無い。
キッチンナイフや鍋などの調理器具も同じ。
マシュマロの断面なんて代わり映えしないし、煮炊きして食べるようなお菓子じゃない。
ショウリ
ショウリ
ショウリもぼくと同じ結論を出したみたいだ。
そう考えれば、ガイド妖精がヒントのようなことを言ったのにも理由が付く。
ホマレ
ユトリ
ユウゴ
ホマレ
ホマレが目尻に涙をためながら、お題のマシュマロと10個の皿のマシュマロを交互に食べ続ける。
お腹の中がマシュマロでいっぱいで、1個食べるのも辛そうだ。
メイカ
メイカ
メイカも泣きながらマシュマロを食べるホマレは見ていられないみたいだ。
ホマレ
それに対して、ホマレが語気を荒らげて反論した。
ホマレ
そこまで言いかけて、ホマレが何かに気づいたように目を丸くする。
ホマレ
ホマレがすっくと立ち上がると、左手の薬指に右手の指をなぞらせる。
左手の薬湯にある赤い傷痕を隠すように、魔法具《マギアツール》の指輪があらわれた。
指輪を中心に炎が上がり左手全体を包み込む。
ホマレ
燃える左拳を突き出すと、お皿に山盛りのお題のマシュマロに火が付いた。
焼きマシュマロになったマシュマロは、ドロドロと溶けながら強烈にあまい香りを漂わせる。
ユウゴ
ユウゴ
ホマレ
ホマレの左拳の炎がさらに大きくなる。
ホマレ
2発目の魔法は、他の10皿のマシュマロを焼いていく。
焦げ目がつく物、溶ける物、表面に火がつく物など、それぞれのお皿のマシュマロは少しずつ違う焼け方を見せた。
ホマレ
ホマレ
ガイド妖精
ホマレ
ユウゴ
ホマレの左手は炎をまとったままだ。
ホマレ
ホマレが魔法具《マギアツール》の指輪を引っ込めると、左手の炎も吸い込まれるように消滅した。
ショウリ
ショウリが鼻を押さえてつぶやく。
マシュマロを全部焼きマシュマロにした影響で、フロア全体にあまいにおいがただよっている。
メイカ
メイカ
ガイド妖精
メイカ
ユトリ
メイカとユトリが真っ先に、フルーツを置いたテーブルに歩いていった。
メイカ
ユトリ
ユトリ
ユトリ
ユトリがフルーツを盛り付けるのを待つ間、メイカはいちごと焼きマシュマロを串に挿して、バーベキューのようにして食べ始めた。
ホマレ
メイカ
ホマレに指摘されて、メイカの動きが止まる。
メイカ
すっごい泳いだ目で答えた。
ホマレ
ここまでで5つ中3つまでのブロックを通り、山場はこえた。
後半戦のために、焼きマシュマロとフルーツ盛り合わせで、しばし休憩をとった。
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