冥府の館──霊視の間
霊貴冥孤
霊貴冥孤
いただきます
霊貴冥孤
浦添朝陽
浦添朝陽
霊貴冥孤は両手で 朝陽の手を包み込む様に握る
白縫信愛
そんな霊貴冥孤を信愛は 真剣な眼差しで見つめる
霊貴冥孤
霊貴冥孤
高校生でありながら
霊貴冥孤
だったようですね
浦添朝陽
霊貴冥孤
霊貴冥孤
されていた様ですね
霊貴冥孤
されたんですね
浦添朝陽
霊貴冥孤
叔母に引き取られていた
霊貴冥孤
浦添朝陽
霊貴冥孤の問いかけに 朝陽は沈黙する
霊貴冥孤
浦添朝陽
虐待していたんですか?
霊貴冥孤
浦添朝陽
どんな感じでしたか?
浦添朝陽
聞いてみてください
霊貴冥孤
大人しくて礼儀正しかった
そうおっしゃってますよ
浦添朝陽
浦添朝陽
言っているんですか?
霊貴冥孤
力に嘘はありません
浦添朝陽
霊貴冥孤
浦添朝陽
霊貴冥孤
浦添朝陽
浦添朝陽
代弁してるんなら
浦添朝陽
何も知らないんですか?
霊貴冥孤
浦添朝陽
癇癪が酷かったんです
霊貴冥孤
浦添朝陽
泣き叫んで暴れ回ってた
浦添朝陽
タンスに腕や足を
ぶつけてたんです
霊貴冥孤
浦添朝陽
警察に通報されたんです
浦添朝陽
虐待してるって
霊貴冥孤
浦添朝陽
虐待していた訳じゃ
ないんですよ
浦添朝陽
お父さんはそれを
知らなかったんですか?
浦添朝陽
霊貴冥孤
霊貴冥孤
時間が決まっておりまして
霊貴冥孤
経過してしまいました
浦添朝陽
霊貴冥孤
お待ちしております
浦添朝陽
逃げるんですか?
白縫信愛
菅生茜
切れになるかっつーの!
花牟礼さくら
使う時が来たって感じ
八乙女焔垂
白縫信愛
信愛は目を閉じて 自分の胸に手を当てる
白縫信愛
浦添朝陽
霊貴冥孤
霊貴冥孤
待っていらっしゃる
方々が居ますので
霊貴冥孤
迷惑行為をされますと
佐藤佳苗
霊貴冥孤
霊貴冥孤
佐藤佳苗
霊貴冥孤は部屋の片隅に佇む 佳苗に目を奪われる
霊貴冥孤
子供なんて居たかしら)
佐藤佳苗
佳苗の体は霧の様に消える
霊貴冥孤
霊貴冥孤
霊貴冥孤
佐藤佳苗
佳苗は再び姿を現す
霊貴冥孤
霊貴冥孤
なってんのよ!)
霊貴冥孤は自分が霊視中で 信者に囲まれていると言う事も忘れ ただただ佳苗におびえる
そんな霊貴冥孤の ただならぬ雰囲気を感じ取った 信者たちが騒ぎ出す
菅生茜
慌て出してるね
花牟礼さくら
視えてる筈だからね
白縫信愛
やらせちゃって
申し訳ないけどね
八乙女焔垂
ノリノリみたいだぞ
佳苗ちゃん
佳苗は信愛に協力 できた事が嬉しい様で
時折笑顔を見せながら あの世とこの世を行き来する
しかしその笑顔が霊貴冥孤には 不気味に見えているらしく その場で呆然と立ち尽くしている
霊貴冥孤
浦添朝陽
どうですか?
霊貴冥孤
浦添朝陽
祓ったらどうですか?
浦添朝陽
除霊なんて余裕ですよね?
霊貴冥孤
その朝陽の言葉に信者が反応し 霊貴冥孤にエールを送る
霊貴冥孤
霊貴冥孤
逃げるしかない)
霊貴冥孤は逃げようと裏口へ走るが
佐藤佳苗
そんな霊貴冥孤の前に 佳苗が立ち塞がる
霊貴冥孤
霊貴冥孤は突然目の前に 佳苗が現れた事で恐れ慄き 悲鳴をあげてその場に倒れる
白縫信愛
菅生茜
花牟礼さくら
いきましょう♬
信愛たちはゆっくりと 霊貴冥孤に向かって歩いていく
白縫信愛
霊貴冥孤
菅生茜
変わっちゃってるし
花牟礼さくら
霊貴冥孤
白縫信愛
白縫信愛
歪みを生んだんです
霊貴冥孤
白縫信愛
白縫信愛
あなたを破滅させます
霊貴冥孤
霊貴冥孤
台無しにされてたまるか
霊貴冥孤は懐から バタフライナイフを取り出す
赤迫美月
菅生茜
霊貴冥孤
白縫信愛
しかし
霊貴冥孤
霊貴冥孤は何かに 吹き飛ばされてしまう
白縫信愛
信愛は恐る恐る背後に振り向く
白縫信愛
そこに居たのは
春日井千歳
春日井千歳
突っ込んでる訳?
春日井千歳
霊貴冥孤を吹き飛ばした者の正体 それは千歳だった
白縫信愛
赤迫美月
菅生茜
八乙女焔垂
春日井千歳さん?
菅生茜
花牟礼さくら
同じになってたの?
春日井千歳
春日井千歳
今すぐ警察に通報して
春日井千歳
封じとくからさ
白縫信愛
霊貴冥孤
春日井千歳
千歳は手をかざして 霊貴冥孤の四肢を封じる
霊貴冥孤
霊貴冥孤
その頃女性は逃げる様に 入り口に向かって走っていた
受付
逃げなきゃ!
受付
受付
してたなんてバレたら
人生パーじゃない!
佐藤佳苗
そんな女性の前に佳苗が姿を現す
受付
女性は突然目の前に現れた 佳苗に驚きその場に倒れる
佐藤佳苗
悪い人なんでしょ?
佐藤佳苗
逃げちゃダメだよ
受付
受付
子供に何が分かる
って言うのよ!
佐藤佳苗
絶対にダメだよ!
受付
佐藤佳苗
受付
女性は佳苗の言葉に下唇を 噛みながらそのまま立ち尽くす
佐藤佳苗
殺されちゃって
佐藤佳苗
受付
佐藤佳苗
佐藤佳苗
受付
女性は涙を流しながら その場に座り込む
受付
間違えたんだろ・・
受付
するとそこに 信愛の通報を受けた 警察官が入ってくる
警察官
受付
警察官
罪で逮捕する!
警察官は女性に手錠をかける
佐藤佳苗
佐藤佳苗
って人が居るよ
警察官
お嬢ちゃん
警察官は佳苗の頭に 優しく触れ霊視の間に向かう
警察官
霊貴冥孤
警察官
並びに殺人未遂
警察官
容疑で逮捕する
警察官
霊貴冥孤
霊貴冥孤は警察に逮捕され 身柄を警察署に移送される
警察官
白縫信愛
警察官
無茶したらダメだ
白縫信愛
赤迫美月
悪くないんです
赤迫美月
警察官
署までご同行願えますか?
警察官
聴取をしたいので
白縫信愛
それから一同は警察署に向かった
事情聴取から解放されたのは 霊貴冥孤の逮捕から2時間後の事だった
警察署には身元引受人となる 皆の母が集まっていた
白縫銚子
無茶ばっかりして!
白縫信愛
浦添絹
浦添絹
事をしたんですから
花牟礼秋穂
花牟礼秋穂
銚子を絹と秋穂がなだめる
菅生小夜
捕まえちゃうなんて
菅生小夜
茜の母、小夜(さよ)が 茜を抱き寄せて頭を撫でる
菅生茜
菅生茜
白縫銚子
為になる事をした訳だし
白縫銚子
白縫信愛
白縫銚子
白縫銚子
に何かあったら
白縫銚子
心地しないから
花牟礼秋穂
八乙女焔垂
浦添朝陽
赤迫美月
生徒を巻き込んだので
赤迫美月
白縫信愛
白縫銚子
赤迫美月
守らなければならない
立場でありながら
赤迫美月
招いてしまい
赤迫美月
美月は保護者に深々と頭を下げる
菅生茜
菅生茜
首突っ込んだだけ
花牟礼さくら
何も悪くなんて無いから
赤迫美月
八乙女焔垂
浦添朝陽
やった事だから
白縫銚子
こう言ってますし
赤迫美月
花牟礼秋穂
無事に終わったんですから
赤迫美月
あくまで結果論で──
八乙女鳴子
結果論でも・・・
赤迫美月
菅生小夜
菅生小夜
怪我ひとつせずに
戻ってきてくれた
菅生小夜
浦添絹
責めないでください
赤迫美月
赤迫美月
赤迫美月
美月は涙を流しながら 何度も頭を下げる