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冥府の館──霊視の間

霊貴冥孤

では浦添朝陽さん

霊貴冥孤

霊視を始めさせて
いただきます

霊貴冥孤

よろしいですね?

浦添朝陽

は、はい・・・

浦添朝陽

お願いします・・・

霊貴冥孤は両手で 朝陽の手を包み込む様に握る

白縫信愛

・・・・・

そんな霊貴冥孤を信愛は 真剣な眼差しで見つめる

霊貴冥孤

浦添朝陽さん・・・

霊貴冥孤

貴方は16歳の
高校生でありながら

霊貴冥孤

その人生は壮絶
だったようですね

浦添朝陽

わかるんですか?

霊貴冥孤

ええ・・もちろんです

霊貴冥孤

実の母に虐待
されていた様ですね

霊貴冥孤

随分とお辛い経験を
されたんですね

浦添朝陽

・・・・・

霊貴冥孤

それからしばらくは
叔母に引き取られていた

霊貴冥孤

そうですね?

浦添朝陽

・・・・・・

霊貴冥孤の問いかけに 朝陽は沈黙する

霊貴冥孤

浦添さん?

浦添朝陽

本当に母が僕を
虐待していたんですか?

霊貴冥孤

ん?というと?

浦添朝陽

幼少期の僕は
どんな感じでしたか?

浦添朝陽

亡くなった父に
聞いてみてください

霊貴冥孤

浦添さんはそれはそれは
大人しくて礼儀正しかった
そうおっしゃってますよ

浦添朝陽

大人しくて?

浦添朝陽

父は本当にそう
言っているんですか?

霊貴冥孤

ええ・・冥府の王の
力に嘘はありません

浦添朝陽

それはおかしいですね

霊貴冥孤

ん?おかしい?

浦添朝陽

なぜ父はそんな嘘を?

霊貴冥孤

嘘?

浦添朝陽

霊貴冥孤さん

浦添朝陽

貴方が本当に父の声を
代弁してるんなら

浦添朝陽

なぜ父は僕の癇癪について
何も知らないんですか?

霊貴冥孤

癇癪?

浦添朝陽

幼少期の僕は
癇癪が酷かったんです

霊貴冥孤

・・・・・

浦添朝陽

気に入らない事があれば
泣き叫んで暴れ回ってた

浦添朝陽

その時にテーブルや
タンスに腕や足を
ぶつけてたんです

霊貴冥孤

・・・・・

浦添朝陽

その為に近隣住民から
警察に通報されたんです

浦添朝陽

あの家で母親が子供を
虐待してるって

霊貴冥孤

・・・・・

浦添朝陽

だからお母さんは
虐待していた訳じゃ
ないんですよ

浦添朝陽

それなのに何故
お父さんはそれを
知らなかったんですか?

浦添朝陽

聞いてみてください

霊貴冥孤

申し訳ありませんが

霊貴冥孤

死者との交信は1日の
時間が決まっておりまして

霊貴冥孤

もうその時間が
経過してしまいました

浦添朝陽

そんな都合よく──

霊貴冥孤

またのご利用を
お待ちしております

浦添朝陽

ちょっと!
逃げるんですか?

白縫信愛

やっぱり来たね

菅生茜

うん!そんな都合よく時間
切れになるかっつーの!

花牟礼さくら

これは奥の手を
使う時が来たって感じ

八乙女焔垂

白縫さん!頼む!

白縫信愛

うん・・わかった

信愛は目を閉じて 自分の胸に手を当てる

白縫信愛

(佳苗・・お願い)

浦添朝陽

待ってくださいよ

霊貴冥孤

申し訳ありませんが

霊貴冥孤

本日はまだ霊視を
待っていらっしゃる
方々が居ますので

霊貴冥孤

これ以上
迷惑行為をされますと

佐藤佳苗

・・・・・

霊貴冥孤

!!!!!!

霊貴冥孤

(何?あの子供・・・)

佐藤佳苗

・・・・・

霊貴冥孤は部屋の片隅に佇む 佳苗に目を奪われる

霊貴冥孤

(あんなところに
子供なんて居たかしら)

佐藤佳苗

スッ

佳苗の体は霧の様に消える

霊貴冥孤

!!!!!

霊貴冥孤

(え?き、消えた?)

霊貴冥孤

(な、なんで!?)

佐藤佳苗

・・・・・

佳苗は再び姿を現す

霊貴冥孤

(今度は反対側に!?)

霊貴冥孤

(何よ!一体どう
なってんのよ!)

霊貴冥孤は自分が霊視中で 信者に囲まれていると言う事も忘れ ただただ佳苗におびえる

そんな霊貴冥孤の ただならぬ雰囲気を感じ取った 信者たちが騒ぎ出す

菅生茜

いい感じに信者が
慌て出してるね

花牟礼さくら

信者にも佳苗は
視えてる筈だからね

白縫信愛

佳苗にはこんな悪霊役
やらせちゃって
申し訳ないけどね

八乙女焔垂

そうか?意外と
ノリノリみたいだぞ
佳苗ちゃん

佳苗は信愛に協力 できた事が嬉しい様で

時折笑顔を見せながら あの世とこの世を行き来する

しかしその笑顔が霊貴冥孤には 不気味に見えているらしく その場で呆然と立ち尽くしている

霊貴冥孤

(何なんだよこのガキ!)

浦添朝陽

お祓いしたら
どうですか?

霊貴冥孤

は?

浦添朝陽

冥府の王の力で
祓ったらどうですか?

浦添朝陽

力を授かった導師様なら
除霊なんて余裕ですよね?

霊貴冥孤

何を・・・

その朝陽の言葉に信者が反応し 霊貴冥孤にエールを送る

霊貴冥孤

(クソ・・)

霊貴冥孤

(とりあえず
逃げるしかない)

霊貴冥孤は逃げようと裏口へ走るが

佐藤佳苗

どこに行くの?

そんな霊貴冥孤の前に 佳苗が立ち塞がる

霊貴冥孤

きゃあぁあぁあ

霊貴冥孤は突然目の前に 佳苗が現れた事で恐れ慄き 悲鳴をあげてその場に倒れる

白縫信愛

そろそろ行こっか

菅生茜

そうだね!

花牟礼さくら

仕上げと
いきましょう♬

信愛たちはゆっくりと 霊貴冥孤に向かって歩いていく

白縫信愛

霊貴冥孤さん?

霊貴冥孤

は?何だよお前ら

菅生茜

あ、もう口調
変わっちゃってるし

花牟礼さくら

焦ってる証拠じゃん

霊貴冥孤

何だよお前ら!

白縫信愛

あなたは霊を甘く見てる

白縫信愛

その油断が大きな
歪みを生んだんです

霊貴冥孤

何を・・言って・・

白縫信愛

その歪が隙を生んで

白縫信愛

その隙が今日──
あなたを破滅させます

霊貴冥孤

ふざけんじゃねーよ!

霊貴冥孤

お前らみたいなガキに
台無しにされてたまるか

霊貴冥孤は懐から バタフライナイフを取り出す

赤迫美月

白縫さん!危ない!

菅生茜

信愛!

霊貴冥孤

殺してやる!

白縫信愛

!!!!!

しかし

霊貴冥孤

きゃああ

霊貴冥孤は何かに 吹き飛ばされてしまう

白縫信愛

え?何?

信愛は恐る恐る背後に振り向く

白縫信愛

あ!

そこに居たのは

春日井千歳

まったく・・・

春日井千歳

今度は何に首
突っ込んでる訳?

春日井千歳

信愛・・・

霊貴冥孤を吹き飛ばした者の正体 それは千歳だった

白縫信愛

ち、千歳!?

赤迫美月

え?今度は何?誰?

菅生茜

千歳?千歳ってまさか

八乙女焔垂

千歳ってあの交差点の
春日井千歳さん?

菅生茜

顔初めてみたかも

花牟礼さくら

てか千歳さんも佳苗と
同じになってたの?

春日井千歳

詳しくは後で説明するから

春日井千歳

とりあえず信愛は
今すぐ警察に通報して

春日井千歳

こいつの動きは私が
封じとくからさ

白縫信愛

あ、ありがとう千歳

霊貴冥孤

させるか・・・

春日井千歳

あんたは黙ってて

千歳は手をかざして 霊貴冥孤の四肢を封じる

霊貴冥孤

うぐぅ・・・

霊貴冥孤

何だよこれ!

その頃女性は逃げる様に 入り口に向かって走っていた

受付

まずい!私も
逃げなきゃ!

受付

警察が来たら人生終わる

受付

こんな詐欺に加担
してたなんてバレたら
人生パーじゃない!

佐藤佳苗

逃げちゃダメだよ

そんな女性の前に佳苗が姿を現す

受付

きゃあぁあぁあ

女性は突然目の前に現れた 佳苗に驚きその場に倒れる

佐藤佳苗

お姉ちゃんも
悪い人なんでしょ?

佐藤佳苗

だったら
逃げちゃダメだよ

受付

何なのよアンタは!

受付

アンタみたいな
子供に何が分かる
って言うのよ!

佐藤佳苗

お金を騙し取るなんて
絶対にダメだよ!

受付

く・・・・

佐藤佳苗

それが理由で殺されたちゃう人だって居るんだよ?

受付

・・・・・

女性は佳苗の言葉に下唇を 噛みながらそのまま立ち尽くす

佐藤佳苗

私のお母さんも
殺されちゃって

佐藤佳苗

私も死んじゃった・・

受付

死んじゃったって・・

佐藤佳苗

だからダメだよ

佐藤佳苗

お姉ちゃん

受付

う・・うぅ・・

女性は涙を流しながら その場に座り込む

受付

どこで道を
間違えたんだろ・・

受付

私・・・

するとそこに 信愛の通報を受けた 警察官が入ってくる

警察官

詐欺の関係者だな?

受付

は、はい・・・

警察官

お前を詐欺幇助の
罪で逮捕する!

警察官は女性に手錠をかける

佐藤佳苗

警察のお兄さん

佐藤佳苗

あの部屋に霊貴
って人が居るよ

警察官

ありがとうね
お嬢ちゃん

警察官は佳苗の頭に 優しく触れ霊視の間に向かう

警察官

霊貴冥孤だな?

霊貴冥孤

は、はい・・・

警察官

お前を詐欺
並びに殺人未遂

警察官

銃刀法違反の
容疑で逮捕する

警察官

大人しく着いてこい

霊貴冥孤

分かりました・・・

霊貴冥孤は警察に逮捕され 身柄を警察署に移送される

警察官

通報感謝いたします

白縫信愛

い、いえ・・・

警察官

だが高校生が
無茶したらダメだ

白縫信愛

すいません・・・

赤迫美月

いえ、彼女たちは
悪くないんです

赤迫美月

担任である私の責任です

警察官

申し訳ありませんが
署までご同行願えますか?

警察官

簡単な事情
聴取をしたいので

白縫信愛

はい・・わかりました

それから一同は警察署に向かった

事情聴取から解放されたのは 霊貴冥孤の逮捕から2時間後の事だった

警察署には身元引受人となる 皆の母が集まっていた

白縫銚子

全くアンタは!
無茶ばっかりして!

白縫信愛

ごめんなさい・・・

浦添絹

まぁまぁ白縫さん

浦添絹

みんな誇れる
事をしたんですから

花牟礼秋穂

そうですよ

花牟礼秋穂

ここは褒めてあげましょう

銚子を絹と秋穂がなだめる

菅生小夜

でも詐欺師を
捕まえちゃうなんて

菅生小夜

すごいじゃん茜

茜の母、小夜(さよ)が 茜を抱き寄せて頭を撫でる

菅生茜

でしょ?でしょ?

菅生茜

私たち凄いんだから!

白縫銚子

まぁ、今回は世の中の
為になる事をした訳だし

白縫銚子

これ以上な何も言わないわ

白縫信愛

ありがとう・・・

白縫銚子

でも無茶はしないようにね

白縫銚子

もし貴方達の身に
に何かあったら

白縫銚子

私たち行きた
心地しないから

花牟礼秋穂

そうよ?みんな

八乙女焔垂

すいません・・・

浦添朝陽

もう無茶しません・・・

赤迫美月

ですが今回は私が
生徒を巻き込んだので

赤迫美月

全責任は私にあります

白縫信愛

美月先生・・・

白縫銚子

・・・・・

赤迫美月

大事なお子さんを
守らなければならない
立場でありながら

赤迫美月

この様な事態を
招いてしまい

赤迫美月

誠に申し訳ありません!

美月は保護者に深々と頭を下げる

菅生茜

違うよ?お母さん?

菅生茜

私たちが無理矢理
首突っ込んだだけ

花牟礼さくら

そうだよ!美月ちゃんは
何も悪くなんて無いから

赤迫美月

貴方達・・・

八乙女焔垂

そうだよ母さん

浦添朝陽

僕たちが勝手に
やった事だから

白縫銚子

まぁ、みんな
こう言ってますし

赤迫美月

ですが・・・

花牟礼秋穂

結果的に何事もなく
無事に終わったんですから

赤迫美月

でもそれは
あくまで結果論で──

八乙女鳴子

いいじゃないですか
結果論でも・・・

赤迫美月

え?

菅生小夜

そうですよ

菅生小夜

結果的に我が子が
怪我ひとつせずに
戻ってきてくれた

菅生小夜

それだけで十分です

浦添絹

ですからあまりご自分を
責めないでください

赤迫美月

あ、ありがとう・・・

赤迫美月

ございます・・・

赤迫美月

ありがとうございます

美月は涙を流しながら 何度も頭を下げる

 

・・・・・

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