記憶のカケラ

えと視点

転校から二週間がたった

それは記憶をなくしたなおきりさんに会って二週間たったことを意味している

最初は皆、動揺を隠せなかったが今は落ち着きを取り戻している

そう…

表面上は

どうしたらいいのか

何が正解なのか

悩んでいても朝は来るし

学校に行かなければいけない

ガラガラ

まだ二週間しかたっていないのに男子たちはもう打ち解けている

ふと笑い声の聞こえる方に目を向ければ青い頭を中央に皆が楽しそうに喋っていた

皆が各々の席に向かう

私も集団の隣にカバンを下ろすと人の良さそうな挨拶がかけられた

たった二週間

もう二週間

二週間の間になおきりさんはクラスの中心的な存在になっていった

だんだんとクラスにグループができていき、段々なおきりさんから離れていく

喋れたのは最初の日だけ

辛い…

辛いなぁ…

仲間なのに

友達なのに

たったひとつの出来事ですべてが変わってしまった

どぬく視点

ガチャ

扉を開けると眩しい光が飛び込んできた

ガチャ

一瞬動揺してしまった

うりとゆあんくんすごいなぁ

お昼休憩が半分ほど過ぎた会話が大分進んできたとき

俺ら…

あ…ｯ何て言おう

友達？仲間？

何て言ったら正解なんだろう

なおきりさんはガサガサと自分のポケットにてを突っ込むと長方形の箱が出てきた

なおきりさんが箱の蓋をとるとそこには紛れもないなおきりさんのスマホが大事に置かれていた

かけていたり、画面が割れているが…

ガチャ

なおきりさんが俺たちに背を向けて扉に手をかけたとき

俺達は仲間だからどんな時も助け合い、見捨てない…か…

グループを作ったときになおきりさんが言った言葉

「もちろん！」