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作太

...

作太

はっ!!

作太

ここは?

作太が目を覚ますと、コンクリートの壁で固められた部屋が瞳に映る

作太

...

作太

なっ!...

作太

体が...!?

作太の両手両足が鎖で繋ぎとめられており、身動きができない状態になっている。

作太

ぐっ!ぐっ!!

作太

くそったれ!!

作太が必死に鎖から自由になろうと抜け出す方法を考える時。

目の前の一つだけの扉が開き、出てきたのは手に料理が入っているプレートを持って来た「白咲」だった

白咲

我が主...目が覚めたか?腹がすいたろう。ご馳走を作ったぞ

持って来た皿には暖かいシチューがあり、水の入ったコップもある。

白咲

わしの自信作なんじゃ...食おてくれるか?

作太

...おい

作太

なに平然と喋ってやがる...何故こんな事をする?何が目的だ!

白咲

...だから言ったであろう、主を好いておるからじゃ

作太

...本当に、それが理由だってのか?

白咲

それ以外に何がある?

白咲

研究所で勝手に実験されて狐に化けるようになってからは腕脚四肢を切り落とされ達磨にされ新しい義手やら義足やらを繋ぎ逢わされてそこからはここのようなコンクリートに固められた部屋で孤独で何年か過ごし色々と制限されて自由がなくて限界で脱走したけどそれはそれで化け物と恐れられ罵られると思ったこの姿を現すのを隠してきた日々に!

白咲

感情は怖さと悲しみだけ...そんなわしに...この醜い姿を...

白咲

受け入れてくれたのは...お主だけじゃった

白咲

主が子の時...ワシは森で密かに暮らしていた頃...

白咲

きょ、今日もうまく隠れ過ごしたかの...

作太(幼少期)

お姉さん

白咲

ひっ!

作太(幼少期)

何やってるの?こんなところで

振り向くとまだ幼い作太に出会った。白咲は叫ぶと腰を落とし後ろに引きながら作太との距離を開ける

作太(幼少期)

?...なんではなれてるの?

白咲

く...くるな...来るのではない...

作太(幼少期)

どうして?

作太は一歩歩むとそれに反応し体を震えあげさせながら木にへばりつくように身を置く

作太(幼少期)

お姉さん...?

白咲

ご、ごめんなさい...命だけは...命だけは...!!

作太が目の前まで距離を詰め、白咲は目を瞑る。

白咲

(もう...終わりじゃ...)

頭に、軽く物を乗せたような感触が白咲の震えを少しづつ止めていく

白咲

えっ...?

目を開くと作太は白咲の頭を撫でていた。髪を川の流れのようにゆっくりと撫でる

白咲

な、何をしておる?

作太(幼少期)

ん?だってお姉さん...怖がってたから...安心させようと...なでなでしてるの

白咲

...なぜゆえそんな事を

作太(幼少期)

お姉さん...ずっと独りぼっちだったんでしょ?寂しかったんでしょ?...だからせめて安心はさせたいなぁって思ったから...

白咲

...わ、わしが怖くないのか?

作太(幼少期)

全然、むしろ可愛いよ

白咲

じ、じゃあわしが醜いとは...思うか

作太(幼少期)

えー?お姉さんこんなにも可愛いのに...汚いとか気持ち悪いとか言う人がいたら僕、その人嫌いになる。

白咲

でもわし...わしは...

その瞬間、作太は白咲を抱きしめた。優しく、優しく...

白咲

(な、なんじゃ...この気持ちは...すごく...嫌じゃない...)

作太(幼少期)

お姉さん...もう大丈夫だよ

作太(幼少期)

僕が側にいるから...

白咲

...

白咲

ほ、本当か...?わしはこれ以上...もう我慢しなくて良いのか...?

作太(幼少期)

うん...我慢なんて...しなくていいよ

作太(幼少期)

それにほら...暖かいでしょ?

白咲

ああ...温もりが...お主の思いが...よう伝わってくるわい...

作太(幼少期)

えへへ...良かった...元気になって

白咲

...ありがとう。優しくしてくれて

作太(幼少期)

...どういたしまして

白咲

そこからというもの...

白咲

主がわしに毎日会いに行ってくれて...遊んだり色々な事を話したりしたもんじゃ...

作太

...

作太

そうだった...

作太

俺はあの時。安心させたくて...お前を救いたくて...

作太

...ごめん

作太

さっきは...色々言って悪かったな...

白咲

主...!

白咲

やはり...主は素晴らしい...

白咲

わしは気にしとらんぞ?

白咲

主の気持ちが聞けて嬉しいわい!

白咲

さて、そろそろ...

作太

でも...

作太

やっぱりこういうのはいけないと思うんだ...

作太

だから...この鎖を外してくれないかな?

白咲

...

白咲

...

白咲

...なぜじゃ...

白咲

なぜそんな事を...言うんじゃ...?

白咲

わしが嫌いか?目障りか?距離を置きたいのか?

作太

いや...そうわけじゃ...

白咲

主...

白咲は作太の手に自分の手を乗せる

白咲

た...頼む...わしから...離れんどってくれ...嫌いにならないでおくれ...

白咲

わしは...ただ...恩返しをしたいだけじゃ...

白咲

...お願いじゃ...!わしにはもう主しかいないんじゃ!主が側に居てくれないと...わし...死んでしまう...

白咲

頼む...頼む...

白咲の瞳は光がない、だが声は感情を出して本気で言っていることが作太は――理解した

作太

...

作太

わかった...

作太

ここにいるよ...君の側に

白咲

主...!本当じゃな...?

作太

ああ、本当だ...

白咲

...なぁ...主よ

白咲

撫でてはくれんか...?あの時みたいに...

作太は白咲の頭に手を乗せ、左右に優しく撫でた

瞳は変わらず死んでいたが、白咲は耳をご機嫌に動かしている。

作太

...

作太

ハハハ...

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