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ただ暗闇の中、誰かは明確に分からないが、俺が嫌いな人、苦手な人、……嫌いに、なろうとした人。 それだけは、わかった。 身動きが取れず、その人が前から歩いてくる。 後ろには……守りたい人。 安心して、俺の事を考えてくれて、いっつも優しく、時に厳しくしてくれる人。 今は怯えて、腰が抜けているのか此方を見詰めて「助けて欲しい」とでも言うように、目線を向けてくる。 でも、俺も動けなくて、動こうとしても、前から歩いてくるアイツと目が合う度に、恐怖心なのか、動けなくなる。 1歩ずつ、1歩ずつ、此方にゆらゆらと歩いてきて、目の前にきて、動けない俺らを嘲笑うかのように見下してほくそ微笑む。
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乱れた息を整えながら周りを見る。 いつもの、牢だ。 周りはまだ夜の帳が降りており、雲の間から月がひょこっと様子を見るように顔を出している。 月光が丁度牢獄の机の上を照らしている。
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ボソッと呟いても寝静まった今の時間は小さな声でも響く。 窓に少し近付くと夜風が汗を掠めて心地好い。
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よく見ると、星が見える。 窓が小さいから、今まで気付かなかった。 この時間は星がよく見える。 増してや孤島だ。 今の時期だと、天の川、みえるのかな。 静かな場所で星空を見ると、ヒーリング効果だか、リラックス効果だとか、違いがあまり分からないがあるらしい。 まぁ、知らないけど。 ある程度眺めたら、また布団に戻る。 それから眠りに付くのはすぐだった。 悪夢なんてものは見ずに、詳しくは覚えてないけど、なにか、包まれているような、そんな、安心する夢だった。
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10番の牢屋の前に来て、柵越しに起こす。 …珍しいな、最近寝坊しなかったのに。
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……よく見ると、目が少し腫れている。 泣いたのだろうか。
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柵の隙間に手を入れて朝食を渡す。 特に、味もしないパンとリンゴ。
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パンを食べながら聞いてくる。 昨日アイツと話したみたいに、刑期を言わなければならない。 正直、言ったら少し、関係も悪くなるかもしれないし、彼のメンタルだって、相当傷つくかもしれない。 けど、言うしかない。
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ただ、少し引き攣った笑いをするしか無かった。