ねぇ……。
"運命の赤い糸"って信じる?
あたしとキミの間にあるって言ったら、キミは笑うかな。
生まれた時から、ずっと一緒にいて、キミに恋するのは、きっと、運命だったんだよね。
愛おしくて、切なくて……
泣きたくなる夜もあるけど。キミの生まれてきた意味が"あたし"なら。
それだけで強くなれる気がしたの。
あたしたちは、永遠に一緒だよ……。
──キーンコーンカーンコーン。
少し眠たい1時間目の授業が終わり、あたしは頬杖をついていて、窓の外を眺めた。
今は春まっさかり。
桜の花びらが、風に優しく揺れている。
あたしの名前は、水沢美桜(みずさわみおう)。
この春、高校1年生になった。
莉子
ねぇ、美桜
美桜
ん?
不意に名前を呼ばれて顔をあげると、そこにいたのは同じクラスで幼なじみの、秋山莉子(あきやまりこ)。
莉子
これ、家に帰ってから開けてね
そう念を押して机の上に置かれたのは、ピンク色の箱。
キラキラのハートが散りばめられた包装紙にラメ入りのリボン。
女心をくすぐるような可愛らしいラッピングに思わず、すぐ開けたくなるけど。
美桜
あたしに?
どんな風の吹き回しだろう……と、その箱を手に取る。
莉子
美桜、誕生日おめでとう!
……あ。
黒板の日付に目をやる。
美桜
…………
今日は、16回目の……。
莉子
え。その顔、もしかして忘れてたの?
美桜
う、うん……
あたしは正直に頷いた。
莉子
新年度に入ったら、すぐに美桜の誕生日が来る。あたしだって覚えてるのに。
莉子
もーしっかりしてよー
莉子は目を丸くした。
美桜
……ありがとう。だって、今朝、誰も……