月曜日。朝の教室。
私は緑の姿を見つけて、無意識に目を逸らした。
いつもどおりの笑顔。いつもどおりの声。
なのに、私は"いつもどおり"に接する自信がなかった。
緑 。
そんな私の心を知らない彼は、満面の笑みで手を振る。
その何気ない一言が、また私の心をぐらつかせた。
橙 。
目を合わせずに返事をする。
たぶん、声が少し硬かった。
緑 。
緑 。
橙 。
緑 。
緑 。
軽口。悪びれない笑顔。
私は思わず口角を上げそうになるのをぐっと抑える。
いけない。また、振り回される。
これが友情なのか、ただの便利なクラスメイト扱いなのか、それとも_
"気付かないふり"をしているだけなのか。
それのどれもが、有り得る。
昼休み、窓際の席で一人ぼんやりしていたら、クラスメイトの桃が声をかけてきた。
桃 。
橙 。
桃 。
言われて初めて、他人の目にどう映っていたのかを意識する。
そして、それが"特別"なものに見えていたという事実に、心がざわついた。
橙 。
橙 。
そう言いながら、私はふと、"何もない"ことに寂しさを感じている自分に気づいた。
本当に、何もないのが嫌なのかもしれない。
橙 。
私はまた、口癖のように小さく呟いた。
"好き、じゃない。たぶん"
その"たぶん"が、もう言い訳にならなくなってきている。
気づいてるくせに、気づかないふりをしているのは_
一番、私自身かもしれない。
コメント
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多分って便利な言葉だよね~ッ 言い訳には一番適してる!! 橙彡はもう『多分』が使えなくなってきてるらしいけど…たぶん