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ky視点
僕の声、変なのかな。 そんな悩みから救ってくれたのは彼だった。
こむさんは中3の夏に、 こっちに引っ越してきたらしい。
いつも友達と笑ってて楽しそう。
なぜ中2の僕がこむさんのことをしってるかというと…
僕が1人で教室で歌ってたとき。 廊下の柱の、隠れてるのかそうじゃないのかぎりぎりのところに立ちながら彼は僕の歌を聞いて
ドアの隙間からノートの切れ端のようなものをこっちに入れてきた
ぴんくの子へ 聞いてたのばれたよな? すまん。 声めっちゃきれいで 感動した
そう言ってドアをあけると彼はあからさまに動揺して
バレたのが恥ずかしかったのか すこし耳を赤くして走って逃げていった
あぁ、残念…
…なんて。
直感で彼を逃がしちゃいけないと思った僕は彼を走って追いかけた
話しながら追いかけっこをして、 ようやく彼が止まってくれた。
そうして僕と彼が知り合ってから、 たまに僕があの教室で歌うと彼が来てくれるようになって、一緒に話すようになった。
こむさんが僕の歌を褒めてくれることは滅多に無かったし、なんならいつもは僕の声をいじってきたりした
けれど、僕が声のことで悩んでいるとき
絶対にバレないように振る舞っているはずなのに、こむさんはそういう時だけ、僕の気持ちを全部見透かしたみたいに
ボソッと感想を漏らしてくれるのだ
気がつけば悩みなんて全部消えちゃってたし、 それに、ぼくはこむさんに恋をしてしまっていた
こむさんの中学校卒業式の日
彼が卒業したらもう会えないのに、連絡先を交換してなかったのを思い出して僕は急いでこむさんを探した
あんなに話したのに、もう卒業なのに、なのに
僕と最後に会おうとは思わないのだろうか、彼は。
卒業式が終わってすぐに帰ろうとするものだから、僕はちょっと悲しくなって、 それですごく悔しくなって叫んだ。
そうしてこむさんは帰っていった。
ふぅ、満足満足。
どうしよ!