大森元貴side
ハンカチに顔を埋めて静かに泣いていると後ろから背中を叩かれた
fjsw.
口元だけ無理に笑った涼ちゃんだった
その手には筆が握られている
fjsw.
末期の水だった
涼ちゃんから筆を受け取って、若井が入っている棺を覗き込む
若井の両目はしっかりと閉じられていて、開く気配はない
それもそうだ。だってもう若井は…
涙を堪えながら筆で若井の唇をなぞる
omr.
その瞬間、堪えていた俺の涙腺が崩壊した
若井の頬に俺の涙が落ちていく
若井はまるで生きているみたいに微笑んでいた
包丁で刺されて、痛かったよね、苦しかったよね
ごめん、若井、守ってあげられなくて、ごめん
でも
ねぇ若井
若井はもう生き帰ってくれないの?
もう俺たちに笑いかけてくれないの?
ねぇ、神様
どうして?
なんで数ある人の中から若井を殺してしまったの?
どうして若井じゃなきゃいけなかったの?
ねぇ、神様、どうして?
それからのことはよく覚えていない
ただ、気が付いたら俺は家の前に立っていた
風が冷たかった
とりあえず家に入ろうと思って気がついた
この家は、若井と一緒に住んでいた家だ
また、涙が出てきそうだった
でも、風も強いし雨も降ってきた
仕方なく若井との思い出が詰まった家に入る
その時、誰もいないのに 「ただいま」 と言ってしまう自分がいる
リビングに入る
リビングも、廊下も、若井と過ごした日々がそのままだ
悲しいくらいに若井が生きていた時と同じままだ
目尻に溜まった涙を拭いて深く深く息を吸う
まだ、残ったままだった
悲しいくらいに優しい、若井の匂い
写真たての写真、そして若井が過ごしていた日々の痕跡
若井は確かにこの世界にいたはずなのに。
もう、若井はこの世にいない
そのことがすごく辛くて悲しくて苦しくて、
俺はその日の夜、ほとんど寝ずに泣き明かした
こんばんは✨
1000いいねありがとうございます😭 感想も嬉しいです✨
この作品もいいねと感想よろしくお願いします🤲
それではまた!
コメント
8件
みのりさんの作品大好きです!若井くん…もっくんと涼ちゃんが待ってるよ!帰ってきて…😢
若井は絶対生まれ変わって帰ってくるよね、、、
うわぁあ……… かなしい……もう死んじゃってるからなんにもできない苦しさがすっごい伝わって来てこっちも苦しい……… 今熱あるんだけど美しさで吹き飛びそう🤤🤤