TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

僕と私と君とあなた。

一覧ページ

「僕と私と君とあなた。」のメインビジュアル

僕と私と君とあなた。

8 - 僕と私と君とあなた。⑧

♥

6

2019年07月18日

シェアするシェアする
報告する

何時間かして…

里穂の母

光ちゃん!!!

福島 光

梨穂子さんっ!!!

里穂の母

涼太は?!涼太はどこに…?!

福島 光

こっちです!!

里穂の祖父

光…。久しぶりじゃのう…。

福島 光

爺ちゃん…。

里穂の祖父

こんな形での再会になってしまうとはなぁ…。

福島 光

な、何言ってんだよ爺ちゃん!

福島 光

里穂は、里穂は今頑張ってんだよ!

福島 光

そ、そんな言い方すんなよ!

里穂の祖父

…すまん。年寄りの悪いとこじゃな。

医師から里穂の家族に容態の説明と今後について説明の為、別室に移動していく。

福島 光

…悠人、さっきは、ごめんな。

滝沢 悠人

…ううん。誰でもパニックになるもんだよ。光は頑張った。

福島 光

…全然そんなことねーよ…。

福島 光

俺、悠人がいなかったら、たぶん何も出来なかった…。

福島 光

…俺は本当に無力だよ…。
里穂を守るなんて口だけじゃねーか…。

滝沢 悠人

光、間違えるな。
こうなったのは光のせいじゃないよ?自分を責めちゃダメだ。

ガラガラッ

里穂の母

では先生、宜しくお願い致します…。

福島 光

梨穂子さん…。

医師は一礼すると、そのまま去って行った。

里穂の母

とりあえずね、今は落ち着いてるみたいで。意識がいつ戻るかはなんとも言えんみたいなんだけど…。

里穂の母

ふふっ。あの子らしいわ。

福島 光

…え?

里穂の母

スーパーへ向かう途中でね、子猫が道路に飛び出しちゃったみたいでね。助ける為に、自分まで飛び出しちゃったみたい。

福島 光

そう、だったんですね…。

里穂の母

自分が助からなくて、どうするのよね、バカ娘…!

福島 光

梨穂子さん…。

里穂の母

光ちゃん、本当に有難うね…。

里穂の母

ずっと…。本当にずっと有難う。

福島 光

やめて下さいよ!これからもずっとのつもりなんで、そんな悲しい言い方は嫌ですよっ!

里穂の母

そ、そうよね!
ごめんなさいね!

里穂の祖父

光…。その、なんだ、何か問題などはないかね?

福島 光

ああ!何も問題なく!
快適に過ごさせてもらってるよ!

里穂の祖父

そうか…。それは良かった。

里穂の祖父

そちらの、お隣の坊ちゃんは?

福島 光

俺のクラスメイトだよ!

里穂の祖父

…そうかね。

福島 光

大丈夫。彼は信用出来るから。

里穂の祖父

光が言うんなら大丈夫じゃな。

里穂の母

私たちは、しばらくこの病院の近くのホテルをとっているから、何かあったらすぐに連絡するわ。

里穂の母

今日はひとまず、光ちゃんも帰りなさい?疲れたでしょう、少し休んでちょうだい?

福島 光

はい…。

福島 光

里穂の顔、一目見てから帰ります。

ペコッ 光はお辞儀をして里穂のいる病室へと向かった。 それに続いて、悠人もお辞儀をしてから光を追いかける。

ガラガラッ

福島 光

里穂…。

牧瀬 里穂

…。

福島 光

明日また来るからな。

福島 光

爺ちゃんと梨穂子さんも来てくれたぞ!

福島 光

明日、優花と一ノ瀬も連れてくるからな!

福島 光

絶対、絶対俺が守るから…。
痛い思い…させて、ごめんな?

福島 光

…じゃあな。

滝沢 悠人

…。

・ ・ ・

帰り道

福島 光

悠人、今日は本当に有難う…。

滝沢 悠人

いや、ひとまず無事で本当に良かったよ…。

福島 光

それから…。

滝沢 悠人

…うん。

福島 光

これから話すことは、俺と里穂、里穂の家族しか知らない。

福島 光

だから、その…

滝沢 悠人

誰にも言う訳ないだろ?
心外だな〜僕ちん信用ないのかな?

福島 光

ちがっ、…わりー。

福島 光

ただ、人に話すのは初めてだから…。

滝沢 悠人

大丈夫。光が傷つくことは僕は絶対にしないよ。

滝沢 悠人

もちろん、その光の大事な里穂ちゃんが傷つくこともね♪

福島 光

有難う…。

光は里穂が性同一性障害であること、病院で案内してもらう時に伝えた名前、里穂の母が咄嗟に呼んでしまっていた名前が、本来の里穂の名前であったこと、今までに至る経緯を全て話した。

福島 光

里穂はさ、小・中学生の間、そのせいでずっといじめられてた。

福島 光

見た目もすごく華奢でさ、顔立ちも女っぽいし何より可愛かった。

福島 光

だから逆に目立ってさ、女からも男からも、気持ち悪いって…。

福島 光

でも、本人は自分が女だと思って信じて生きてきてた訳だよ。

福島 光

それが段々、周りの子たちの成長とか変化を見ていくうちに、自分は身体は女じゃないんだって実感するようになってさ…。

福島 光

もちろん俺は、里穂をいじめる奴は片っ端からボコボコにしてたよ。

滝沢 悠人

想像出来るよ。
光は本当に愛情で溢れてるね…。

福島 光

そんな時にさ。里穂が生まれ変わりたいって言ってきてさ。

福島 光

里穂の家は元々金持ちなんだけど、お母さん方のお爺さんは特に凄くて、東京の私立高校の学園長と親睦が深くて、

福島 光

名前を変えて、性別も変えて、全て爺ちゃんの権限で入学までこじつけてもらったんだ。

福島 光

それが今の俺たちだよ…。

福島 光

住む場所もなにもかも爺ちゃんが用意してくれたんだ…。

滝沢 悠人

そう、だったんだ…。

福島 光

里穂って名前もさ、一番愛してるお母さんの名前、'梨穂子さん'から取った名前なんだよ。

滝沢 悠人

なるほどな…。

福島 光

…里穂一人で来るんでも良かったのかもしれないけど、

福島 光

里穂はどうしても俺と一緒じゃなきゃ嫌だって言ってたし、

福島 光

何より、俺自身も里穂を一人で行かせるなんて絶対にしたくなかった。

福島 光

その方が、里穂の家族も安心だっただろうしな。

滝沢 悠人

そうだろうね…。

滝沢 悠人

里穂ちゃんの、お父さんは…?

福島 光

…。
小学校6年生の時に死んだよ。

滝沢 悠人

…ごめん。

福島 光

いや、元々そんな里穂に対して虐待をしていたどうしようもねー父親だったから。俺はいなくなってくれて良かったと思ってる。

福島 光

俺が言っていいことじゃねーんだけどな…。

滝沢 悠人

…。

福島 光

…18歳になればホルモン注射を受けられるようになるんだ。

福島 光

それで、20歳になれば性転換手術も受けられるようになる…。

福島 光

それまでの間、高校生活は絶対に俺が里穂を守り抜かないとダメだったのに…!

滝沢 悠人

光…。

福島 光

…やっぱ、その…
引いた、よな…?

滝沢 悠人

…え!どうして?

福島 光

どうしてって、いきなりこんな重い話聞かされて引かない奴の方が珍しーってゆうか…。

滝沢 悠人

それ里穂ちゃんに失礼だぞー。

福島 光

ちがっ!!そういう意味じゃなくて…

滝沢 悠人

わかってるよ〜!冗談!

滝沢 悠人

だって、里穂ちゃんは里穂ちゃん。
光は光。それは変わらないじゃん。

滝沢 悠人

中身は結局おんなじでしょ?

滝沢 悠人

俺が今まで見てきた2人に何の嘘もないじゃない♪

福島 光

悠人…。

滝沢 悠人

それで、光は?

福島 光

え?

滝沢 悠人

里穂ちゃんの話しはわかったよ。

滝沢 悠人

絶対に口外しない。

滝沢 悠人

でも、…それだけじゃないだろ?

滝沢 悠人

光が抱えてるものは。

福島 光

…っ!

滝沢 悠人

光がどうしても話したくないなら聞かない。

滝沢 悠人

けど、僕がまだ気付いていないだなんて、思わないでね?

福島 光

…。
(どうしよう…。悠人はたぶんもう気付いてる…。だけど…)

福島 光

これは…、これは里穂は関係ない。

福島 光

俺だけの秘密だから。
…俺だけの決意だから!

滝沢 悠人

…わかった。

滝沢 悠人

じゃあ帰ろ、光!

福島 光

…え?これ以上聞かないのか?

滝沢 悠人

だって光が話したくないんでしょ?

滝沢 悠人

なら聞かないよ〜。

滝沢 悠人

ただ、別件でお願いがある。

滝沢 悠人

僕の家、ここからすごく遠いんだ。

福島 光

た、確かに、結構距離あるな。

滝沢 悠人

だから、もう時間も遅いし、光んち泊めて?

福島 光

…!!

滝沢 悠人

僕、男の子に興味ないから襲ったりしないよ〜。

福島 光

んなっ、わかってるよ!

滝沢 悠人

無理ならホテルとるからいーけど。

福島 光

いーよ!!泊まってけよ!

滝沢 悠人

そ、ありがと♪ニコッ

光宅

福島 光

ど、どーぞ。

滝沢 悠人

お邪魔しまーす。

福島 光

(里穂、大丈夫かな…。)

滝沢 悠人

光!里穂ちゃんは大丈夫!

福島 光

…なっ

滝沢 悠人

顔に書いてあるよ?

滝沢 悠人

今、里穂ちゃんは一生懸命戦ってるんだよ。

福島 光

…。

滝沢 悠人

光がそんなんでどーすんの!

福島 光

そう、だよな。

福島 光

さんきゅ、悠人。

滝沢 悠人

俺、シャワー借りて良い?
なんか汗掻いちゃったよ。

福島 光

お、おう!

滝沢 悠人

ありがと♪

ザーッ

福島 光

何、緊張してんだよ。

福島 光

里穂がこんな状況な時に。

母ちゃん

通話終了

通話
00:00

福島 光

(…!母ちゃん!!)

福島 光

もしもし?

母ちゃん

"もしもしって、あんた!"

母ちゃん

"りーちゃんは、大丈夫なん?!"

母ちゃん

"梨穂子さん達と一緒に行こうかとも思ったけど、大丈夫だ迷惑かけたくないって止められたもんだから…"

福島 光

大丈夫だよ、ひとまずは落ち着いたみたいだから…。

福島 光

ただ…まだ意識が戻らないんだ。

母ちゃん

"母ちゃん…心配でしょうがないよ…。あんた達がこんなちっこい頃からずぅーっと見てきたんだからさぁ…!"

福島 光

大丈夫…。何か状況が変わり次第すぐに連絡するようにするから!

母ちゃん

"頼むよ、光!"

福島 光

わかってる。

母ちゃん

"あんたがりーちゃんのヒーローなんだから!ずっと横にいてやんなよ!"

福島 光

…わかってるよ。りーは私が絶対守るから!

母ちゃん

"じゃーね!"

ブツッ

福島 光

ふー…。

滝沢 悠人

電話、お母さん?

福島 光

?!

滝沢 悠人

ニコッ

福島 光

(やばい…。聞かれて…た、よな?)

福島 光

そ、そうだけど…!

滝沢 悠人

そっか♪

滝沢 悠人

里穂ちゃんのこと、心配だもんね…。

福島 光

あ、ああ。その事で電話だった!

滝沢 悠人

光…。

福島 光

えっ?

ドサッ

滝沢 悠人

良い加減に、自分のことも吐き出せよ…。

滝沢 悠人

お前、男じゃないだろ?

福島 光

…!!

僕と私と君とあなた。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚