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眠れないまま迎えた次の日。 仕事をしていても、昼休みになっても、 心のどこかでずっとスマホのことを考えていた。
──先生から来るわけないよ。 ──昨日はたまたま流れで交換しただけ。
そう思おうとしても、 ふとした瞬間にスマホに手が伸びてしまう。 夕方、家に戻ってひとりで簡単なご飯を済ませて、 ふぅっと大きく息をついた。
私
そう言いながらベッドに倒れ込んだとき―― スマホが、ひとつ震えた。 たった1回のバイブが、心臓まで響く。 画面を見た瞬間、息が止まった。
手が震える。 文字を読むだけで、中学生の頃の気持ちが胸の奥で暴れだす。
たったそれだけの短いメッセージなのに、 どうしてこんなに嬉しいんだろう。 でも、どう返せばいいのか、まったくわからない。
テンション高く返すのは違う。 そっけないのも嫌だし、 重くなるのも困る。
スマホを握りしめながら、 何度も打っては消してを繰り返す。
“こちらこそありがとうございました” “懐かしくて嬉しかったです” “またお話できてよかったです” …全部なんか違う。
深呼吸して、やっと一行だけ打てた。
私
先生からの返信は、思っていたよりずっと早かった。
その一文だけで、 胸の奥が一気に熱くなる。
──覚えてたんだ。 思わずスマホをぎゅっと握りしめる。 私もゆっくり返す。
私
既読がついて、すぐに返信が来た
先生
画面を見た瞬間、 胸の奥がきゅうっと締めつけられた。 あの頃の記憶が一気によみがえる。
放課後の静かな教室。 泣きそうな私。 そっと肩をトントンしてくれた手の温かさ。 気づけば、指が自然と文字を打っていた。
私
送った瞬間、心臓が跳ねる。 でも、止まらなかった。
私
長い沈黙が落ちた。 送った瞬間からずっと、 画面を見つめる手が震えている。
──重いと思われたかな。 ──言わない方がよかったかな。
そんな不安で胸がぎゅうっと痛くなる。 数分後、 ぽん、と画面が光った。
読みながら、少し目頭が熱くなる。 続けてメッセージが届いた。
先生
優しい言葉なのに、どこか切ない。 でも、私は微笑んでいた。
私
少しだけ間があいて、返信が来た。
先生
その言葉に、 なぜか涙が一粒こぼれた。 中学生の頃の“好き”が、 やっと過去として前に進んでいくような気がした。
私はそっとスマホを胸に抱えて、 深く息を吸った。
この気持ちはもう恋じゃない。 でも、人生のどこかにずっと残る 大切な一ページなんだ。
“ありがとうな。ももはもう立派な大人だな。” その言葉を読み返すたびに、 胸の奥がじんわり温かくなって、 さっきまでの緊張が少しずつ溶けていく。
泣きそうになったけど、 涙をひとつ拭いたら不思議と落ち着いた。 スマホを握りしめたまま、私はゆっくり返信する。
私
既読はすぐについた。 でも、急いで返さないあたりが… なんだか先生らしい
少ししてから、ぽん、と通知音。
読みながら、ゆっくり息を吸う。 “昔の私じゃなくて、今の私” その言葉が、思っていた以上に嬉しかった。
私
先生
その言葉が画面に浮かんだ瞬間、 胸の奥が温かく波打つ。 全然ときめきとかじゃない。 でも、懐かしくて優しくなるような感覚。
“あの頃の私”と“今の私”が ゆっくり手をつなぐような気持ち。 しばらくして、またメッセージが来た。
先生
その言葉は軽くて、重すぎなくて。 すごく、安心する。
私は自然と微笑んでいた。
私
先生
“昔と同じ距離”じゃない。 “今の私たちに合う距離”が、ちゃんと見つかったような気がした。