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――街の外れ。
陽紅ノ太刀
アッシェ
「刀」と「少女」、
重苦しい沈黙が 続いている。
アッシェ
痺れを切らしたのは少女。
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
すっかり平身低頭な刀。
少女が気まずそうに 口を開く。
アッシェ
アッシェ
アッシェ
陽紅ノ太刀
しばしの無言の後、 刀は言った。
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
刀は大きく深呼吸。
心が決まったところで 真正面から少女を見つめる。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
拍子抜け する少女。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
刀の脳裏に浮かぶは、 世話になった者達。
――“武具たち” は 囚われの身から 逃がしてくれた。
――“マドモアゼル” のお陰で、また 立ち上がれた。
彼らがいたから 少女と再会できたのだ。
アッシェ
アッシェ
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
これこそが、 鎖鎌のヒント――
「勇者と行動したければ “彼女の気持ち” を 考えなさい」
――をふまえ、 刀が出した結論だった。
アッシェ
少し考え、 少女は答えた。
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
とにもかくにも最悪の事態を 避けられた刀は、
ほっと胸をなでおろす。
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
2人が並び、歩き出そう とした瞬間だった。
――ギャウッ
死角から伸びる “鞭”!
陽紅ノ太刀
アッシェ
刀が少女をかばい、 倒れ込む2人。
アッシェ
少女の声にならない悲鳴。
先程まで座っていた階段が 鞭で壊されたのだ。
??
背後から響く笑い声。
アッシェ
陽紅ノ太刀
振り返った彼らが 見たのは――
――長身の “美女”。
ただし女の右腕は 太く長い蔓鞭(つるむち)で、 明らかに “異形” 。
陽紅ノ太刀
マドモアゼル
マドモアゼル
陽紅ノ太刀
マドモアゼル
女は不敵な笑みを 浮かべると、
巨大な 「花の魔物」に 変化した!
陽紅ノ太刀
アッシェ
艶花のルルム
艶花のルルム
アッシェ
少女の顔から 血の気が消えた。
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
アッシェ
陽紅ノ太刀
――ビュォッ
言い争いをさえぎったのは 鋭い鞭。
艶花のルルム
ルルムが激しく 鞭を振るい始めた!
右に左に逃れつつ 刀は叫ぶ。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
少女は渋々ながら、 刀を鞘(さや)から引き抜いた。
陽紅ノ太刀
陽光を反射し きらめく刀身。
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
次々迫りくる鞭。
少女はヤケ半分で 刀を振るうッ!
――スパッ
アッシェ
あっけなく真っ二つになる ルルムの「蔓鞭」。
切り離された先端は、 粒子となりサラサラ消滅。
艶花のルルム
だが魔物側に焦りはない。
艶花のルルム
次の瞬間、 鞭が断面から再生し 元通りになった。
アッシェ
再開する鞭の嵐。
2人は回避の一手に 戻ってしまう。
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
アッシェ
ニヤリと笑い、 少女は刀を鞘に戻した。
陽紅ノ太刀
アッシェ
――あたしは 街の門の外にいる。
――そこまで 魔物を連れてきて。
と、小声で刀に 指示した少女は、
目にも止まらぬ早業で 「バイク」を取り出し そのまま走り去ってしまった。
陽紅ノ太刀
艶花のルルム
1人残され慌てる刀を ルルムの鞭が襲う。
反射的に回避しつつ、 刀は、周囲を見渡した。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
…どう考えても 「結論」はひとつ。
“勇者の策” に 乗る以外、
「選択肢」は 存在しない。
陽紅ノ太刀
刀は、覚悟を 決めたのだった。
それから刀は、
ルルムの鞭を 必死に避けながら、
人の少ない道を 選んで、 魔物を誘導し続けた。
決死の覚悟で ようやく「街の門」を 出たところで――
アッシェ
――少し遠くにて 「少女が手を振る姿」 が見えた。
陽紅ノ太刀
パッと顔を輝かせた刀が、 足取り軽く近づきかけた瞬間。
アッシェ
弾ける笑顔の少女が、
「箱型装置のT字ハンドル」 を押し込んだッ!
――ちゅど~んッ
魔物と刀の足元から 吹き上がる 特大の「爆炎」。
艶花のルルム
陽紅ノ太刀
“何” が起きたか、 刀は一瞬、 理解できなかった。
だが、追体験のごとき既視感――
――爆炎と爆風の暴力で 揉みくちゃにされる――
――が、刀の中で 「記憶のピース」を かっちりはめた……
激しい炎が 収まったところで、
半泣きの刀が、 少女へと駆け寄った。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
少女は慰めるように 鞘を撫でる。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
アッシェ
少女が指したのは 爆破の「跡地」。
艶花のルルム
煙が残る大穴で 呆然と立ち尽くすは 巨大な魔物。
その体は半分近く“消滅”し、 隙間から見えているのは――
――怪しく 光る黒い石。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
少女は刀を再び 鞘から抜く。
アッシェ
アーティフレイムの要領で 魔力を籠めると、
長い刀身が、 キラキラまばゆく 発光し始めた。
陽紅ノ太刀
アッシェ
助走の勢いそのままに、 魔物へ斬りつけるッ!
――パリィッ
砕け散る核。
艶花のルルム
巨大な花の魔物は 絶叫と共に 消え去っていく。
陽紅ノ太刀
アッシェ
四天王・艶花のルルム という “超強敵” を、
初陣にて撃破した 少女と刀は、
踊り狂わんばかりに 喜んだのだった。
――数十分後。
アッシェ
嬉々として爆破跡地を 調査していた少女が、 メモを取る手を止めた。
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
アッシェ
アッシェ
アッシェ
アッシェ
陽紅ノ太刀
アッシェ
少女の顔が曇る。
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
陽紅ノ太刀
陽紅ノ太刀
アッシェ
ぴしゃりと 遮る少女。
アーティフレイムを 無言で片づけると、
大型バイクをふかし 急発進で去っていった。
陽紅ノ太刀
――数秒後。
ようやく、 刀は気がついた。
「勇者が1人で旅立った」 ということに。
陽紅ノ太刀
どんどん小さくなる 少女のバイクを、
刀は、死に物狂いで 追い駆け始めたのだった。