テラーノベル

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テラーノベル(Teller Novel)

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4話スタート

しにがみ視点

あぁ、またこの夢だ

クロノア

しにがみくん!魚釣りも
そこらへんにしてー
そろそろ探索行くよ〜

声のするほうを振り返る 向こうの方で相変わらずの白髪を 持ったクロノアさんが手を 振っている

しかし、いつもの学生服ではなく 猫の耳がフードについた服を 着ている

しにがみ

はい!今行きます!

そう言って最後の魚を釣り上げた 自分もまた、黒い半ズボンに 紫の真ん中にドクロマークが ついたパーカーを着ている

ぺいんと

しにがみくん、探索
行くならピッケル用意
しよ〜

そう言いながら僕の肩に 腕を回すのは真ん中に 「ぺ」のついた黄色の パーカーを着るぺいんとさん

釣竿とバケツを抱える腕は いつもと同じで頼ましい

わかってる これは夢じゃない

緑色

ピッケルナラもうあるヨ
はい、2人の分ネ

ヨッシー?の着ぐるみを 着た緑色さんが僕たちに ピッケルを渡す

レウクラウド

あ、俺にもくれない?
みどりくん

金豚きょー

どりみー俺にも!

横から伸びてきた手は レウさんときょーさん

黒いガストの帽子、フードの 付いた黄色のパーカー もちろん、2人とも学生服ではない

家の中からスーツを着た コンタミさんと 緑の半袖の服を着た トラゾーさんが出てくる

コンタミ

遅れちゃった〜
皆もう集まってる?

と、コンタミさん

トラゾー

いや、まだですよ
1番うるさい人が
来てませんw

そう言ったトラゾーさんが キョロキョロと辺りを 見渡す

畑の方からバタバタと 足音が聞こえる

らっだぁ

ちょ、皆〜
待って〜!!!

手を振りながら走ってくる 男、青いカーディガン 少し低くて、優しい声

クロノアさんが笑った

クロノア

遅いよ、らっだぁさん

起きたら目覚ましをセットした 時間の3分前だった

これほど気分の悪いことはない もっと3分寝ればよかった

ボーッと、その3分が 過ぎるのを待つ

あれは夢じゃない

僕たちの前世だ

なんで僕、前世の事 覚えてるんだろ

いや、違うな…

しにがみ

なんで皆、こんな衝撃的な
事憶えてないんですか……

らっだぁ

ぺいんと〜
いつまで寝てんだ〜?

ぺいんと

あ……おはよ

らっだぁ

珍しいね〜

朝、らっだぁに起こされる 珍しい事ではない 何が珍しいって、俺がこんな 時間まで寝ていることが、だ

寝ぼけ眼で時計を手に取ると その針は朝の11時をさ指そうと していた、休日とはいえ、 完全に寝坊だ

ぺいんと

昨日寝れなくてさ〜

ようやくベットから起き上がる 不規則な睡眠のせいか 頭がぐらりとした

らっだぁ

大丈夫?
ぺいんと昨日から
元気ないよ?

らっだぁが俺の顔を覗き込む

ぺいんと

あ、いや…

らっだぁ

も〜そうやってすぐ
誤魔化すよね〜

ぺいんと

え、そう?

らっだぁ

うん

らっだぁはしょんぼりとした様子で床に体育座りをした

らっだぁ

せっかくぺいんとが
生き生きとしていいなって
思ったのに……

ぺいんと

……

黙り込む俺を 「ぺいんと?」と覗き込む らっだぁ

息が止まるんだ そんな事を言われると こんな俺を、大切にしてる様な ことを言われると

ふと、昨日のしにがみくんの 発言を思い出す

『親友が元気ないから 心配してるのに』

そんなことを言われると 話してしまう

ぺいんと

……話したんだ
らっだぁのこと

らっだぁはこっちを見つめてる ただ、小さく頷く

ぺいんと

しにがみくんに
らっだぁのことを話した

ぺいんと

面白い人がいるって言ったら
会ってみたいって言ってくれた

ぺいんと

でも……突然

記憶を辿る あれは、俺がらっだぁの 名前を出した時?

ぺいんと

…そう、らっだぁの名前を
出した途端、しにがみくんの
様子がおかしくなったんだ…
なんか、驚いた感じで…

らっだぁは目を丸くした

らっだぁ

俺の……名前…?

ぺいんと

…?うん、多分

らっだぁ

…そぉ…

今度はらっだぁが黙り込む 何かを考えてるようだ しばらくすると、いつもの顔に 戻った、らっだぁは なんでもなかったように いつもの声で言う

らっだぁ

多分さ、同じ名前の人が
いたんじゃない?

らっだぁ

しにがみくんの知り合いで

俺は首を傾げる

ぺいんと

そうかな…

らっだぁ

うーん……俺はわかんない
しにがみくんに
直接聞いてきな!

そう言うと、らっだぁは勢いよく 立ち上がる、そのままベッドに 登ると窓を開けて足を乗せる

ぺいんと

らっ、だぁ…!

彼はそのままぴょーんと窓から 外へ出ていった、ここは2階

らっだぁ

ちょっと散歩行ってくる!

らっだぁは下から元気に 手を振っている 全く、心臓に悪いことは やめて欲しいものだ

ぺいんと

……わかったよ
いってらっしゃい

らっだぁはもう一度こっちに 手を振るとふわり、と 風のように消えた

ぺいんと

えっ!?!?

驚いて、窓から身体を 乗り出す、らっだぁは どこにもいない

ぺいんと

そ、そんなことも
出来るんだ……

もう何年もらっだぁといるのに 俺はらっだぁのことは なんも知ってないんだな

〜放課後〜 しにがみ視点

ぺいんとさんがページを めくる音だけ

放課後、2人きりの教室 その言葉だけは青春みじているに ここに居るのは男2人 なんて残念なんだ

日直として日誌を書かなきゃいけない僕を、ぺいんとさんは本を読みながら待っていてくれてる しかし、日誌は先程から1文字も続かない、もうすぐで美術部の集合時間を回るというのに

ぱたん、とぺいんとさんが 本を閉じる

ぺいんと

しにがみくん
出来たー?

しにがみ

…まだ、です……

ぺいんと

もう、遅いよ〜

ぺいんとさんは読書に飽きたのか教室をうろちょろし始めた 窓を開け、身を乗りだす

気になっていた、ずっと

ぺいんとさんが話す ”らっだぁさん”と僕の前世の 記憶の中にいる”らっだぁさん” が同じ人物かどうか

でも、聞けない ぺいんとさんがらっだぁさんの 話をしてくれた時、僕は らっだぁさんと言う名前に 驚いてしまって、そこからは なんとなく、この話はタブー なんだとお互いが認識したから

聞けない

でも、聞かなくちゃ

あの”らっだぁさん”が 今も尚、ぺいんとさんの 近くにいるのならば

しにがみ

……ぺいんとさん

ぺいんと

なにー?

しにがみ

らっだぁさんって
どんな人ですか?

ぺいんとさんはこっちを振り返る ゆっくりと歩いてきて、隣に座る

ぺいんと

……

ぺいんと

…面白い人、ちょっと声が
低くて優しい声をしてる人
青いカーディガンの人

疑いは、確信へ 期待は、絶望へ

ぺいんとさんは教卓の前の なんもない空間を、 確かに捉えていた きっとそこにらっだぁさんが いるんだ

そう考えてるとぺいんとさんが でも、と言い出した

ぺいんと

あの人のことは
俺も全然わかんないんだ

しにがみ

そっか

僕はぺいんとさんに 聞こえるか聞こえないか くらいの声で呟く

しにがみ

…じゃあらっだぁさんは
僕の方が知ってるんだ

ぺいんと

…えっ?

しにがみ

らっだぁさん
ここにいるの?

ぺいんと

え、うん
教卓の前に立ってる

しにがみ

そっか

しばらくの沈黙 身体の右側の視線が痛い 多分だけど、ぺいんとさんが 僕を見つめてるから

ぺいんと

ねぇ、しにがみく…

クロノア

あー!2人ともこんな
とこにいたの?

前の扉が勢い良く開く クロノアさんだった

クロノア

もう部活始まってるよ

クロノア

ぺいんと、しにがみくんの
こと待っててあげたの?
仲良しだね〜

ずかずかと教室に入ってくる クロノアさん ぺいんとさんの腕を掴む

クロノア

しにがみくんは日誌
書いてからでいいから!

クロノア

早くしないとトラゾーが
差し入れでくれたアイス
なくなっちゃうよ!

しにがみ

マジですか、
すぐ行きますね!

僕が言い終わるかどうかの ところで扉はしまった

放課後の教室 1人……いや、なってない

すぅ、と息を吸って吐く

しにがみ

らっだぁさん
いるんでしょ?

僕は誰も居ないはずの空間で 呟く

少しの沈黙後 机の上にペンが舞った

そのペンは、1文字も書いてない 日誌に独りでに文字を 書き出す

久しぶりだね しにがみくん

4話終わりです〜

またまた
長くなってしまいました…

ここまで見てくれて
ありがとうございます!

次回も見てくださると
嬉しいです!

それではまたお会いしましょう!
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