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心は今、かつての自分が住んでいた場所よりも遥かに豪華で、けれど冷たい、渚のマンションの一室にいた。窓の外には都会の夜景が広がっているが、心にはそれを見る自由はない
渚
渚が差し出したのは、黒い革製のチョーカー。その中央には、小さく『NAGI』と刻印されたプレートが鈍く光っている
心
渚
心
心は震える手で、自らその輪を首に嵌めた。カチリ、という錠の音が、自分の人生が完全に渚のものになった合図のように聞こえた
首が苦しい。でも、この重みがあるおかげで、渚と繋がっていると実感できる。 俺はもう、自分一人の力じゃ立てない。 渚に拒絶されたら、その瞬間に俺の心は死ぬんだ
渚がキッチンでコーヒーを淹れている。心は言われた通り、床に膝をついて渚の指示を待っていた。かつての立場なら考えられない光景だ
渚
心
渚
心
渚の言葉一つひとつが、鋭いナイフのように心に突き刺さる。でも、渚は時折、泣きそうな顔をする心の髪を優しく撫で、耳元で囁くのだ
渚
心
心は、撮影スタッフと親密に話す渚を、少し離れた場所で見守っていた。渚は今や世界が注目するアーティスト。周囲には美男美女が溢れている
かつての心なら、「俺以外の奴と喋るな」と怒鳴り散らしていただろう。でも今は、いつ渚が自分を「他に当たれ」と捨てるか、その恐怖で心臓が潰れそうだった
渚
スタッフ
周りの視線が痛い。憐れみ、蔑み、好奇。 でも、一番痛いのは……渚の瞳の中に、もう「愛」が見えないことだ。 そこにあるのは、俺を壊すことを楽しむ、冷徹な愉悦だけだ
撮影が終わった後、楽屋で二人きりになると、渚はぐったりとした心の首に手をかけ、自分の方へ引き寄せた
渚
心
渚
渚は、拒絶することすら許されない心を、深い闇へと引きずり込んでいく――