長野の家に着いてから元貴達からの連絡は相変わらず止まらない。
親が手入れしてくれていたのか中は綺麗で家電も揃っているので色々買わないで済みそう。こんな中外出はリスクが高いから控えたい。
畳の上に横になると、懐かしい畳の香りに安心してしばらくねむってしまった。
眠ってから4時間、開けっ放しで明るかった窓もすっかり夜で暗くなっていた。
涼架
シャッターをさげて、部屋のオレンジ色の電気を付けてお茶をひとくち飲む。
最近はずっとモヤモヤして眠れなかったからもっと眠りたい。
このまま布団敷いて眠る事にした。
自分の体を回復させたくてずっと寝て起きて部屋の中で運動してを繰り返していると、どうしても飽きがきてTwitterを見ると
モブ
モブ
涼架
この人たちのツイートが正しいなら、元貴はこっちに…
ピンポーン
涼架
ど、どうしよう、、!!
元貴なの…?
かなり怒ってるみたいだから捕まったら…
でも違う人だったら待たせてることになっちゃう。
ゆっくり玄関に向かいドアチェーンをしたまま扉を開くと
モブ
涼架
知らない人だった。お菓子を持っているけどなんの用だろう。
モブ
モブ
涼架
モブ
渡されたのは綺麗にラッピングされたシフォンケーキ。とても美味しそうでお腹が鳴ってしまった。
涼架
モブ
ぺこりとお辞儀をしてそのまま帰って行った。お上品な人だったなぁ
ついでにポストも見ておこう。
ポストを開くと中から封筒が出てきた。
マネージャーからの書類だ、なんの書類だろう。
身に覚えがないので家に入って電話することにした。
涼ちゃんが逃げてから4日。
元貴が捨て垢で長野での目撃情報を流して揺さぶりをかけているので俺は事務所に残っていた。確認したいこともあるからね。
マネージャー
…マネが涼ちゃんと電話している。ビンゴか?
俺はカバンの中にある封筒を見ながら盗み聞きをした。
マネージャー
マネージャー
当たりだ。
俺は手当り次第送った封筒の束から今日届くであろう日に出したものを取り出し住所を確認する。
なるほど…。
実家とは違う場所に逃げてたのね。
元貴に連絡して今すぐ向かおう。
マネージャー
滉斗
マネージャー
滉斗
本当は走って車に行きたいけど怪しまれると困るのでわざとゆっくり行動した。
涼ちゃんがいる場所へ車を飛ばして行く。もちろん捕まらない範囲でね。
滉斗
若井がにっこりと話していてパッと見は機嫌良さそうだけど目が笑っていない。
眼力が強いので圧がすごい。
元貴
元貴
滉斗
滉斗
あの部屋とは、いつか涼ちゃんが変な事をしようとしたら閉じ込めて2度と俺達から離れられないように調教するために用意した地下にある部屋のことだ。
涼ちゃんをミセスに誘った時に若井と2人で物件を探して用意した、とてもとても愛のこもった部屋だ。
使う日が来るなんてなぁ。涼ちゃんがちゃんとしてれば普通に生活できたのに…。
地下には涼ちゃんが着る服とトイレとお風呂も全て用意してある。
何も心配いらないからね、涼ちゃん。
あのマネに洗脳されたんだよね?あいつはクビにするからもう心配いらないよ。だから2度と俺らから離れようなんて考えられないように、
何度でも調教してあげるからね。
滉斗
横にいる若井を見るとマネに電話をかけクビにする事を伝えていた。
滉斗
滉斗
元貴
無意識にハンドルを握る手に力が籠っていたのかハンドルに爪の後が付いていた。
マネージャーに電話してからお風呂に入ったり色々していたら2時間は経っていた。
ずっとスマホを触ってなかったのでもしかしたらマネージャーから電話があったかもしれない。確認すると1時間前に何件かマネージャーからの不在通知がきていた。
少し不安を抱きながら折り返しすると、慌てた様子のマネージャーに繋がった。
涼架
マネージャー
涼架
マネージャー
涼架
マネージャー
ブツッ
勝手に電話が切れた。
状況が把握できない、場所がバレた…?!そんなことはありえない!だって、
ピーンポーン
涼架
鳥肌が一瞬で立った。これは出たらダメだと直感でわかる。
足音を立てないように部屋を出て、襖に入り息を殺す。
真っ暗で何も見えなくて怖い。でも出たら捕まってしまう。
遠くからドアを開ける音が聞こえた。もうなんで入れるんだよ!
ぎしっ、ぎしっ…
足音が少し離れたところから聞こえてくる。
2人分だ。
元貴と若井のふたりだ、どうしよう、息が荒くなるのを手で塞いで抑える。
元貴
滉斗
怖い。2人をこんな怖いと思ったことは1度もない。
どうしてこうなったと考えているとひとつの事が浮かんだ。
あぁ、もしかして、
不器用だったけど僕は2人からたくさん愛されていたんじゃないか?
あのいじりや2人でよく話していたのは、接し方分からなくて困っていたからじゃないか?
今までいい距離間だったから抑えられてた元貴と若井の本当の気持ちが、僕のせいで全て爆発してしまったんじゃないか?
全てこうなった理由が繋がり絶望して涙がポタリと床に落ちた。
抑えられていた気持ちが爆発してしまったなら、もう誰にも止められないだろう。
きっともう僕は無事では居られない。
こうなる前に愛されてる事に気づくべきだった。
隠れている襖が開いていき光が差し込む。
涼架
元貴
滉斗
僕は起こしてはいけないものを起こしてしまった。
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
モブ
それから宣言通りMGAは姿を表さなくなり、伝説のバンドとして語り継がれ
あのハンドサインが本当かファンの間で議論は続いた。しかし真相は謎のまま時とともに語られることもなくなった。
end
コメント
3件
お話最高でした!! お仕置きと洗脳になるのかなぁ?!
うわぁ!最高!!どうぞ涼ちゃんはぐちゃぐちゃにされてくださいねぇ!!