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今日はバイトがない日。 大学が終わると、真っ直ぐ家に帰った。
ガチャ
大森
涼ちゃんは自分の部屋に籠っている事が多いから、 家に帰ると大体真っ暗なのに、今日は珍しくリビングに明かりが付いていて、おまけにすごく美味しそうな香りがした。
藤澤
ぼくの声が聞こえたのか、エプロン姿の涼ちゃんがリビングから顔を出す。
大森
藤澤
藤澤
大森
大森
お互いたまに自炊する事もあったけど、 ぼくもバイトがあるし、涼ちゃんも最近仕事が忙しいみたいで、夜はレトルトカレーとかカップラーメンで済ませる事が多かったから、手料理が食べれるって聞いてテンションが上がった。
大森
藤澤
涼ちゃんが作ってくれた料理は相変わらずキノコが入ってたけど、ぼくの好きなパスタで、ぼくの事を考えて作ってくれたんだなって感じてすごく嬉しかった。
大森
藤澤
ぼくが美味しいと伝えると、涼ちゃんはすごく嬉しそうに笑った。
涼ちゃんの事で、最近気付いた事と悩んでいる事がある。 年月が経って色々変わったところはあるけど、この笑顔は変わってないってこと。 そして、小さい時に好きになったきっかけがこの笑顔だったせいか、涼ちゃんの笑顔を見ると、小さい時の事を思い出してなのか、なぜかドキドキしてしまう。
…これが、最近のぼくの悩み。
藤澤
大森
ぼくは動揺を誤魔化すように、パスタを口いっぱいに頬張る。
藤澤
頬をパンパンにさせてるぼくを見て、ハムスターみたいと言って、涼ちゃんは面白そうに笑った。
大森
頬張ったせいで早々に完食してしまった。 せっかく作ってくれたんだから、 もっと味わって食べたかったなぁ… と少し残念な気持ちになっていると…
藤澤
涼ちゃんが手をパンっと叩いて、冷蔵庫まで小走りで走っていき、少し小さめの箱とお皿とフォークを持ってきてくれた。
藤澤
大森
藤澤
涼ちゃんは少し自慢気な顔をすると、ケーキの箱を開けて、自分はショートケーキで、ぼくにはバナナが入ったチョコレートケーキをお皿に分けてくれた。
藤澤
藤澤
嘘でしょ… もう15年も前の事なのに、ぼくの好みや苺が食べれない事を覚えててくれてたってこと?
藤澤
何も言わないでいるぼくに、涼ちゃんが慌てた様子で聞いてきた。
大森
藤澤
藤澤
大森
藤澤
藤澤
そう言って涼ちゃんは懐かしそうに笑ったけど、 ぼくはその思い出が全然思い出せなくて、 ケーキはすごく美味しかったけど、なんだか少し寂しい気持ちになった…