俺は嫌われ者やった
「化け物」
「厄災者」
「殺人鬼」
俺が育った村には、こんな言い伝えがあった
「薄き翠の目を持つもの、災いを呼ぶ者なり」
黄緑の目を持っていたのは俺だけ
親は亡くした。俺は戦争で生き残った戦争孤児だから
その頃は前髪も長かったし、出したくなかったから、出さなかった
でも、村の祭りのとき神社の巫女に目を見られたのが悪かった
『今すぐ消え失せろ!!この厄災者が!』
穏やかな巫女が声を荒らげて発した
戦争のせいで痩せ細った体を動かし、俺の首を力いっぱい締めてくる
その時は近くにいた親戚が巫女を取り押さえてくれた
初めて、直接的な死の恐怖を感じた
俺が生まれた国では戦争なんて日常的だった
各家庭に厳重に軍の人間が警備する
ひとつの家庭に最低3人体制だった
国民の命を最優先と考え、土地がなくても国民さえいれば再び建国はできると言う考えを持つ国王の元で
幸せそうでそうではなかった
軍に必要だとする技術があれば容赦なく連れていき、無理やり兵士として育てる
国王を批判する者はそこで虐殺される
国民を大事にしているなど、程遠い思想で戦争を続けていた
俺の親父は軍お気に入りの暗殺者
お袋は親父をサポートするスパイ
その両親の間に俺がいた
身体能力も攻撃の技術も全て親父とお袋に教わった
俺は軍に取られないように親父の配慮で親戚の住む村に疎開した
でも、戦火は都市部だけにおさまらなかった
次々に都市部は壊滅し、自国の軍は俺がいた「翡翠村」方角に撤退していた
翡翠村には、それなりと食糧と鉄器が残っている。そして、海が近くにあったので、世界最強と謳われる海軍を動かせるのだ
だが、翡翠村の農民は大反対
元々若い男を昔から徴収していたらしく、今は子供や女、老人しか居ない
軍からの要請はこうだ
『国の為に命を散らせ』
農民は怒り狂った
ただでさえ、足りない食糧を軍に与え、代々護っていた美しき海を汚らわしい軍艦を浸けるのは冒涜だと
結局、その戦争は俺の国の敗戦で終わった
親父もお袋も、戻ってこなかった
殺されたんだ、味方であった軍の人間に
生き残った軍の人間が俺にこう言った
『殺人鬼の息子に人権はない。俺は殺人鬼夫婦を殺した英雄だ』
俺はソイツを怒りのあまり殺した
初めての人殺し
ただ血腥い臭いがしただけで、気分は晴れなかった
村の友人も離れ始めた頃に、サクラとであった
ゾム
サクラ
当時、俺は10歳
親戚
ゾム
サクラ
サクラ
サクラ
サクラ
親戚
ゾム
サクラ
親戚
サクラ
ガラガラと扉を開けて、俺と目が合う
同じ黄緑の瞳で珍しい花形のハイライトが入っている
ゾム
親戚
サクラ
ゾム
サクラ
サクラ
ゾム
親戚
サクラ
ゾム
親戚
サクラ
サクラ
サクラ
こうして、俺はサクラに着いていく事になった
叔父さんには申し訳ないが、寛大な翡翠村の巫女があれだけ騒ぐと迷惑掛けることになる
サクラは俺にとって、姉ちゃんみたいだった
何かあっても、全部聞いてくれて対策までしてくれる
大喧嘩したのは1回だけ 理由は、俺が軍に入りたがったから
ゾム
サクラ
サクラ
ゾム
サクラ
ゾム
サクラを守りたいんやから
サクラ
サクラが軍の人間だと言うのは知らなかった
内緒で入学して偵察に来ていた軍の人間にサクラがいた時は驚いた
家で見ることの無い、哀しそうで憐れむようにように見ていた
そんな顔を、二度と見たくない
もう、大切な人を失いたくないんや
俺がどうなろうとも、サクラには
笑っていて欲しい
そして、叶うのなら
構って欲しい
俺が1番、サクラの事を知っとるんや
誰にも渡さん
サクラは俺の大事な
姉ちゃんやから
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