貧民街で育った僕は、誰から見ても優しい人間に育ったと思う。
あるときには人を助け、
シャーウ
あるときには何かを催し、
シャーウ
あるときには仕事の手伝いをした。
シャーウ
甘くて優しい言葉がたくさんあった
僕は、そんな言葉を吐き続けた。
僕は結構、ドジもミスも多い人間だった
とてもまっすぐで純粋で、そんな自分を卑下することもあった
それでも周囲の人間は優しくて
僕が何をしでかしても、責めることはなかった
そんな、暖かい、現実が────
シャーウ
シャーウ
生ぬるくて気持ち悪くて、仕方なかった。
シャーウ
シャーウ
シャーウ
嘘をつく人間はいる。
あの故郷ではそれも無かったことになる
何があってもみんなでいようとする、そうした一丸とした感じが、嫌だった。
今だからはっきり言えるけど、当時はもっと漫然とやんわりとそう思っていて
そう思ってしまう自分は、もっと嫌だった。
だから出世してライトフロンに来たら、それは変わると思った
あそこよりビジネスが、経済が発展しているこの街の人間は
きっと誰もが理性的で、放っておいてくれるはずだった
優しいからとみんなが僕に相談を持ちかけたから
僕はそれを良い方向に生かすために、この街で情報屋を営んだ。
テヘル
シャーウ
なのにこの街には、圧倒的なリーダーがいた。
アイザック
テヘル
笑顔が、眩しい。初めてそんなことを思った。
僕は人に好かれる人間だった
それでも
シャーウ
勝てないと思った。思ってしまった。
商売の場に、コイツは大切な相棒を連れてこない。
テヘル
シャーウ
テヘル
シャーウ
テヘル
ハカマ
ヤナギ
テヘル
ミハサノ
テヘル
ハカマ
シャーウ
ヤナギ
ハカマ
テヘル
ミハサノ
テヘル
ミハサノ
テヘル
シャーウ
ミハサノ
ヤナギ
僕は一緒にいるうち、ズブズブと、彼に憧れていった
彼は心から今を楽しみ、心から…人を愛していた
僕も、そうなりたかった
でも僕はそうなれなかった
僕は、焦り出した
シャーウ
シャーウ
シャーウ
バタンと扉が閉じ、僕は1人きりになる
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
シャーウ
そこで僕は、思ってしまった
シャーウ
シャーウ
これが、きっかけだった。
テヘル
シャーウ
シャーウ
シャーウ
僕は手始めに──彼に好かれようとした
ソイツの心を奪って、テヘルの大切な人を失わせようとした。
そうして同じ境遇になったら…テヘルが、僕の唯一の理解者になると思ったから。
アイザックは何も持ってなんかいなくて、だからより待遇がいいところで生きたいだろう
それなら人を振り回すテヘルのような人間より、きっと僕の方がうまくできる
そう、信じていた。
コメント
3件
昔からシャーウくんは凄く優しくて頼りになる人だったからいろんな人から好かれていたんだね……だからテヘルくんと出会って、情報屋を始めて…そしたら感情がぐちゃぐちゃになってしまったんだね……😢😢 そしてアイザックくんに手を出した……テヘルくんに共感してもらおうとするためだけに……辛いなあ…… 朧が書く物語に登場するいわば悪役って境遇や過去を知ると憎めなくなってしまう、そこが朧の物語の良いところ😌