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倉庫の奥で, 何かが落ちる音がした。 乾いた金属音。 蓮音の足元だった。
蓮音
短い息が漏れる。 康平が視線を落としたとき, 蓮音はしゃがみ込んでいた。
康平
返事がない。 両膝を抱えるようにして, 背中を丸めている。 肩が わずかに震えていた。
康平
今度は,はっきりとした声。 近づこうとした瞬間, 蓮音の指先が床に触れ, 力なく滑った。
蓮音
絞り出すような声だった。
康平は迷わず膝をつく。
康平
蓮音
否定しようとして, 言葉が続かない。 呼吸が浅い。
康平
そっと顎に手を伸ばしたところで, 蓮音の身体がびくりと跳ねた。 その反応に,康平の動きが止まる。
康平
反射的に手を引く。
その「ごめん」が、 ようやく”何か”に触れた合図だった。
康平
静かな声。 責める響きはない。
蓮音は、首を横に振る。
でも,否定としては弱すぎた。
蓮音
康平
問いかけの形をしているが, もう軽くはない。
雨音が倉庫を叩く。 外界と完全に 切り離されたみたいに。