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白米
白米
白米
白米
白米
1年の最後の日、12月31日
今日は雪がずっと前から降り続けている
ロシアは窓際に立ったまま、長い間動かなかった
本来綺麗な雪も、今日は空の灰色に押しつぶされてくすんで見える。
ロシア
喉が微かに鳴った
声を出したかった訳じゃないが、あまりにも静かだったため、身体が何かを発してしまっただけだ。
ロシアは振り返り、自分の住む家を見渡す
この家は広い。広すぎると言ってもいいほどに。
かつては、廊下を歩くだけで賑やかな声が聞こえていた。言い争う声や笑い声、怒鳴り声。
ロシア
自分の呼吸がやけに大きく聞こえる。そのくらい静かな環境だ。
ロシアは大きなテーブルを囲むように並ぶ、幾つもの椅子の中の一つに腰を下ろした
この中で一番大きな椅子。
ロシア
そう考えた瞬間
ぽたり
膝の上に、何か温かいものが落ちた
ロシア
咄嗟に出た、間抜けな声
自分の声だと理解するまで、少し時間がかかった
視線を下げると一滴、また一滴と水滴が零れ落ちる
ロシア
ロシアはしばらくその雫を見つめていた
理解が追いつかない。
冷えた手でそっと、顔に触れると指先が濡れている。
ロシア
ロシア
泣いた理由を考えようとした。だがそうすると、胸の奥がぎゅっと縮こまり涙はさらに溢れてきた
ロシア
慌てて袖で拭う
乱暴に、隠すように。
ロシア
咄嗟に出た言葉だった。何に向けての否定なのか、自分でも分からない。
ロシア
ロシア
今日まで平然を装っていた。が、遂に限界が来たようだ。
ロシア
無意識にそうこぼす
たった6日前の出来事を思い出した
ソ連
その声は、世界を二分していた者の声とは思えないほど掠れていて弱々しかった。
ロシア
振り向くと、親父がいた
ロシア
俺は驚いた
そこには輪郭が崩れ、存在そのものが剥がれ落ちていく途中の親父の姿があったからだ
ソ連
立ち姿だけは最後まで威厳を保とうとしている。
ソ連
ロシア
急に声色が変化した
誰に向けた言葉なのか俺には分からなかった
ソ連
ソ連
ソ連
急にそう言われた。訳がわからなかった
ただ、何があったのか聞く時間はもう無いのだと、親父の姿を見ると分かる。
今聞くことは他にあるはずだ
ロシア
その問いに、親父は少しの目を閉じてから答えた
ソ連
ソ連
ロシア
ソ連
ロシア
気づけばもう返事をしていた
ソ連
親父は口元に笑みを浮かべ、崩れて行く。
ロシア
俺はただその姿を見届ける事しか出来なかった
ロシアは、涙が止まらなくなった自分に戸惑っていた
ロシア
鼻の奥がツンと痛み、呼吸が浅くなる
泣く、という行為がこんなにも制御できないものだとは知らなかった。
ロシア
遠くへ行ってしまったかつての仲間。
誰も悪くない。
そんなことはわかっている。
それでも胸に残るのは
ロシア
そんな言葉だった。 その言葉を声に出した瞬間、ロシアは自分で自分に驚いた
ロシア
一方その頃、ロシアの家に繋がる道を走る一つの影があった
影の正体は、アメリカだった
アメリカは、何度も時計を見た。 時計の針は23時40分をさしている。
アメリカ
アメリカ
ここまで来てしまった以上、帰る理由はなかった
ソ連に言われた言葉が、アメリカの脳内で再生される
ロシアを見てやってくれ。
アメリカ
俺は、ヒーローでもなんでもない。
全部を救える訳じゃない。
でも、それでも…
アメリカ
7日前、言われたんだ。アイツに
ソ連
アメリカ
俺はその時、疲れていて苛苛してた。
アメリカ
アメリカ
だから、少し喧嘩腰な返答をしちまった
ソ連
ソ連
アメリカ
アメリカ
ソ連
アメリカ
突然そう言われて俺は整理できなかった
アメリカ
ソ連
ソ連
ソ連が珍しく真面目な顔をしているのを見て俺は冗談じゃないことがわかった
アメリカ
アメリカ
ソ連は小さく笑った。疲れ切っていて、消え入りしそうな笑い方。
ソ連
ソ連
アメリカ
アメリカ
ソ連
ソ連は頷いた
ソ連
そういうとソ連は部屋から出ようとしたが、突然くるりと振り返って
ソ連
アメリカ
アメリカ
ソ連
俺とソ連が交わした最後の言葉だった
お互い皮肉で言ったつもりだったが、俺もソ連も、少し寂しさ混じりの言い方だった気がする
アメリカ
コートの内側に残る寒気が、体から抜けない。
アメリカ
忙しさの中で無理やり時間を切り取って来たせいか、頭の奥が鈍く痛む
アメリカ
アメリカは自問した
アメリカ
そう考えていたその時、視界の端、雪の白の中に絶妙に違う色が混じった
アメリカは物陰の方に歩き出した
アメリカ
見慣れない国がそこにいた
近づくと誰なのか分かった
アメリカ
アメリカ
ベラルーシ
ベラルーシは、背後から突然声をかけられて驚いていた
ベラルーシ
アメリカ
ベラルーシ
アメリカ
アメリカ
ベラルーシ
兄の名を聞くとベラルーシの声は震え出した
アメリカ
ベラルーシ
アメリカ
ベラルーシ
ベラルーシ
アメリカ
ベラルーシは小さく頷く
ベラルーシ
深くは聞かず、アメリカはしばらく立ち止まって考えた。
アメリカ
アメリカ
ベラルーシ
ベラルーシはアメリカの後ろについて行き、2人は家の中へ入っていった
ベラルーシ
アメリカはベラルーシに案内してもらいながら、ロシアが居るであろう部屋に入った
視線をあげると、そこにはソ連の息子、ロシアがいた。
アメリカ
ロシアは最初、こちらを見ていなかった
椅子に座って俯いている。
肩が僅かに上下している。呼吸が浅いのだろう
アメリカ
2人は、ロシアの傍にゆっくり近づくいていく
ロシア
床がきしむ。ロシアはその音に気づき、視線をあげた
ベラルーシ
ベラルーシは急いでアメリカの背中に隠れた
アメリカとロシアの視線があう
ロシア
ロシアの目がわずかに見開かれる
そしてすぐ、慌てたように視線を逸らされる
手が顔に伸びる。
アメリカ
涙を隠そうとする動き
アメリカ
わざと、いつもの調子で言う。軽く、何も知らないフリで。
ロシア
沈黙が長い
そこにベラルーシが1歩前に出る
アメリカ
ロシアの視線が初めてベラルーシに向いた
ロシア
ベラルーシ
ロシア
ロシアは不思議そうに聞いた
ベラルーシ
ロシア
ロシアは椅子から立ち上がり、妹の頭を撫でた
ベラルーシ
撫でられた瞬間、ベラルーシは緊張が解れたのか泣き出してしまう
アメリカ
ロシア
アメリカ
一瞬で空気が和んだ。先程会ったばかりとは思えない。
ロシアが、窓の外に目をやる
ロシア
アメリカ
ロシア
アメリカ
アメリカ
ロシア
ベラルーシ
ロシア
ロシアは、ソ連の愛用していた赤いマフラーを首に巻き、玄関へ向かった
アメリカ
アメリカ
ロシア
アメリカ
アメリカは自慢げな顔をロシアに向ける
ロシア
アメリカ
ロシア
ロシアは呆れたようにため息を着く
アメリカ
ロシア
アメリカ
アメリカ
ロシア
アメリカ
ロシア
アメリカ
ロシア
アメリカは笑う
星明かりを背にしたその国は、やけに眩しく見えた
ロシア
ロシアは明確にそう感じる
この国のように辛いことを隠して明るく振る舞うことは、今のロシアにはできそうにない。きっとそれ以外にも、ロシアに足りないことは山ほどあるだろう。
失ったものの重さが、まだ足に絡みついている
それでも、
ロシア
ロシア
同じ空を見て、同じ責任を背負って。並んで対等に。
アメリカ
ふと、アメリカが真面目な声で言った
アメリカ
ロシア
アメリカ
一泊置いてから
アメリカ
満天のの星空の下で、そう言われる
アメリカ
ロシア
アメリカ
アメリカは満足そうに頷いた
二人で、もう一度空を見上げる
変わらず星はキラキラと輝いている
アメリカは腕時計を見て
アメリカ
アメリカはロシアに時計を見せた。 時計の針は0時2分をさしている
ロシア
1年の始まりの日、1月1日
アメリカ
アメリカは軽く拳を握り
アメリカ
ロシア
ロシアは久しぶりに笑った
白米
白米
白米
白米
白米
白米