雪島永音
この右眼は
雪島永音
お母さんがやったの。
秋穂麗音
・・・やっぱり?
雪島永音
えぇ。お母さんは私が気に入らなかったみたいで、特に私の目付きですって。だから、お母さんは私に煮え湯をかけた。
雪島永音
右眼の色素はそれで戻ってきたけれど、私は酷い火傷跡を負った。
秋穂麗音
酷い・・・。
雪島永音
それ以来、お母さんは病んでしまって、つい最近、信号を無視して飛び出してこのザマよ。
雪島永音
お母さん、今意識がないの。でも、意識がなくなる前、私にこう言ったわ。
秋穂麗音
なんて?
雪島永音
「お前なんか産むんじゃなかった!麗音だけいれば良かったのに!双子なんかで生まれてくるなんて、なんで親不孝者なの!?さっさと死ねばいいのに!」
秋穂麗音
・・・っ!
雪島永音
そう言い残して、お母さんは意識を失った。
雪島永音
それから毎日病院に行っているけれど、一向に目を覚ます気配はないわ。
秋穂麗音
・・・今まで永音は、辛い思いをしてきたんだね・・・。
秋穂麗音
なのに、私は・・・私は、お父さんにこんなに大事にされているのに・・・!
秋穂麗音
お父さんに、悪いこと言っちゃった・・・!!
雪島永音
そんなことないわ。麗音は麗音で頑張ってきたじゃない。大丈夫よ。
秋穂麗音
うぅ・・・ひっく・・・!
雪島永音
泣かないで。
ギュッ
秋穂麗音
(・・・あぁ、永音の匂いだ。凄く落ち着く、良い匂い・・・。)
雪島永音
・・・麗音
秋穂麗音
・・・なに?
雪島永音
・・・これから、お父さんと麗音と私で、3人で幸せに暮らす気はない?