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同居人は人を食う

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同居人は人を食う

1 - 同居人は人を食う -シーズン1- 第1話

♥

363

2021年05月04日

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草太

(女の子が、何かを食っている)

草太

(ばりばりぼりぼり)

草太

(せんべいのような音を立てて)

草太

(何が食われてる?)

草太

(ああ、暗がりの中でもよくわかる)

草太

(人の手)

草太

(地面に転がった人間の手を)

草太

(女の子が食っている)

草太

(ぴちゃぴちゃと、口から血を滴らせて──)

???

……ふふ。おいしい

草太

…ひっ

草太

(いったいどうして、こんなことが──)

7月26日(土) 午後11時

草太

お疲れ様でした、店長

店長

おう、お疲れ様

店長

明日も朝から頼むよ

草太

はぁ…ようやくバイトが終わった

草太

せっかくの土日なのに

草太

朝から晩まで働きどおし

草太

誰かと遊ぶこともできやしない

草太

…でも、大学の学費のためには

草太

働くしかないんだよな

草太

大学に入って彼女作ったりとか

草太

結構、夢だったんだけどな

草太

そんな余裕ないや…

…………

草太

(あれ。女子高生が座り込んでる)

草太

(…ひとりで、こんな時間に?)

草太

きみ。そんなところでどうしたの?

…え、私?

草太

うん。きみしかいないし

草太

もう夜の11時だよ

草太

女の子がひとりで座り込んでたらさ

草太

危ないし、怪しいよ

あぁ…うん。ごめんなさい

ちょっと、ね

いろいろなことがあって

どこにも、行く当てもなくて

草太

いろいろ、か…

草太

…家出とか?

…そんなところだね

草太

そっか…

草太

でも、どうするつもりなの?

草太

ここにずっといるわけにもいかないだろ?

あはは

正直、それも考えなきゃかもね

…本当に、どうしようかな

草太

…………

草太

…じゃあ、さ

草太

俺の家、来る?

…………

…行こうかな

7月27日(日)午前0時

お邪魔します…

草太

どうぞ。汚くて申し訳ないけれど

そんなこと気にしないよ

私、野宿しようとしてたんだし

草太

そっか…

…それで、さ

私は、何をすればいいのかな

草太

…というと?

…わかってて聞いてるよね?

男の人が部屋に女子高生を連れ込むんだよ

それなりの魂胆があるものだ

って思うのが普通だと思うけど

草太

…………

草太

…さぁ?

さぁ?って…

草太

そういうの、全く考えなかったとは言わないけど…

草太

でも…なんていうかさ

草太

疲れてるんだよ、俺

疲れてる?

草太

そう

草太

だからきみも、何となく部屋に呼んだというか

草太

ひとりぼっちで辛そうだな、ってくらいで

草太

そんなに深く考えてなかった

草太

とりあえず、今の俺はシャワーを浴びて寝たいかな

草太

明日もずっとバイトだし

…………

…ふっ、ふふ。何それ

草太

悪いけど、先にシャワー浴びるよ

草太

テレビとか、適当につけていいから

どうぞ

家主はきみだから、私に断る必要なんてないけど

草太

それもそうか

7月28日(日)午前9時

本当に、何もしなかったね、きみ

草太

いや、昨日そう言ったじゃん

草太

今日も夜までバイトだしさ

草太

月曜になったら、1限から講義だ

草太

何か考えるとしたら、それが終わったらかな…

あはは。なにそれ

えーっと、きみ…

…草太くん、って呼んでいいのかな

草太

ああ。きみは、奏でいい?

うん、そう呼んで

じゃあ、草太くん

せっかくだし、IDも交換しようよ

なにかあったら連絡するよ

草太

オッケー

草太

けど、女子のIDか

しみじみするものでもないってば

じゃあ、いってらっしゃい

バイト、頑張ってね

草太

行ってきます

7月28日 午後23時30分

草太

お疲れ様でした…

店長

お疲れさん

店長

今日もありがとうよ

草太

ようやく、バイトが終わった…

草太

疲れた…

草太

いつもなら、帰って寝るだけだけど…

草太

…帰ったら、家に奏がいるんだなぁ

草太

友達とか彼女のこととか

草太

昨日考えたばっかりなのに…

草太

ようやく、良い感じの大学生活が来てる…?ふふふ

草太

…早く帰ろうかな。近道するか

7/29(月)午前0時

草太

ここを抜ければ、家の近くに出られる

草太

いつも臭くて薄汚れてるから

草太

通りたくない場所ではあるけど──

その時、草太が水たまりのようなものを踏む。

草太

ん…最近、雨って降ってたっけ?

草太

(しかも、鉄のような臭いが…)

さらには、何かを噛み砕くような音も聞こえてくる。

草太

なんだ…?誰かいるのか?

???

…………

草太

暗くてよく見えないけど…

草太

…あんな物陰で、何をしてるんだ?

草太

何か、食べてる…?

目を凝らした先にあったのは──

大量の血を流して動かない、2人分の人間の身体。

奏はそのうちの1人の手の平をつかみ、口を大きく開けて──

草太

…っ!

草太

人の肉を、食べてる…っ!?

草太

(骨を、簡単にかみ砕くみたいに)

草太

(ばりぼりって咀嚼して──)

草太

(うっ…)

草太

(そんなことが、あるのか…!?)

???

…ふふ。おいしい

???

普通の食べ物とはまるで違う

???

久々の、人間の味…

草太

(手、肘、肩…そして、頭まで…)

草太

(お菓子でも食べてるみたいに)

草太

(なんだよ、これ…)

草太

(こんなの、ありえないだろ…)

???

…それにしても

???

ふたりも食べられたのは幸運だったな

???

本当はひとりだけのつもりだったけど

???

殺すところを目撃されちゃったし

???

しょうがないよね

草太

(っ──!)

草太

…ぅ、ぁ、っ!

草太

ば、化物…!

7月29日(月)午前1時

草太

(そこからどうしたかは覚えてない)

草太

(気づけば、部屋で震えていた)

草太

なんだよ、あれ…

草太

あんな、人を菓子みたいに…

草太

ありえないだろ…

草太

それに、さっきのあいつ…

草太

俺の、知ってる顔だったような…

その時、インターホンの電子音が部屋に鳴り響く。

──草太くん、いる?

草太

―っ!

開けてもらっていいかな?

鍵は持って出てたんだけどさ

家主がいるのに勝手に開けるのもどうかなって

草太

(…そう、そうだ)

草太

(さっき見た化け物って…)

草太

(彼女に似ていた気がする)

草太

(いや、そんな馬鹿な)

草太

(ありえない…)

草太くん?聞こえてる?

もう寝てるのかな…

草太

…ああ、いや

草太

ちょっと待ってくれ

ありがとう。ただいま

草太

(やっぱり、姿は似ている気がする)

…草太くん、顔青くない?

大丈夫?

草太

…少し疲れただけだと思う

草太

今日も大変だったから

そっか。お疲れ様

草太

…あのさ。遅い時間だけど

草太

お腹減ってたり、する?

草太

夜食とかは、冷蔵庫にいろいろ入ってるし

草太

好きに取っていいから

お気遣いありがと。覚えとくね

でも、今日は大丈夫

お腹いっぱいだから

草太

…そうなんだ

同居人は人を食う

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