別の言葉に置き換えるならば
“虚無”と表すべきだろうか。
鳴家
....

最初は実の弟を殺した。
まるでカインとアベルのように。
弟は“物体を見ただけで
完成図や製作工程が
頭に浮かぶ”ことができるため
幼少期からテレビや有名企業から
オファーが殺到していた。
一方の僕は情報処理能力しかない
無能の烙印を押されて
比較され、否定された
人生を送ってきた。
憎しみは時に人生を変えてしまう
ほどの威力を持った爆弾だ。
遥翔
じゃあ、この“女性”は誰なの?

鳴家
それよりもあなたは誰なんですか?

遥翔
だから神様だって言ってんじゃん‼︎さっきも言ったでしょ?

鳴家
神は死んだって、かの偉人も言ってますよ

遥翔
あーはいはい。で、誰この人は?

鳴家
彼女は燐堂 椿(りんどう つばき)、弟を影で操っていた首謀者です

遥翔
殺害動機は?

鳴家
何でそんなこと他人に言わなきゃいけないんですか

遥翔
そう言われると...

鳴家
すみません、言い過ぎだとは思ってません

遥翔
逆に清々しいなそれ

鳴家
で?そんな神様が僕に何の用ですか?返答次第では...

しかし、見えたのは恐怖
ではなく余裕だった。
非常に気に食わない。
遥翔
僕は君をスカウトしにきたんだ

鳴家
結構です

遥翔
いやいや⁉︎普通は「スカウト?どんな?」とか聞くでしょ‼︎

遥翔
初手否定から入る人初めてだよ今のところ...

鳴家
興味ないので

遥翔
まあ、聞いてよ

遥翔
このスカウトっていうのは簡単に言うと僕の後継者にならないかっていうヤツだ

遥翔
でも、そのためには僕の出す課題をクリアし、且つ評価もされなきゃならない

鳴家
大いに結構です

遥翔
あー‼︎あー‼︎神様になったら何でも願いを叶えてあげる特典もつくんだよなー‼︎

鳴家
...何でも?

遥翔
お?反応したね?

遥翔
君の願いを言ってみてごらんよ

鳴家
僕の願い...か...

鳴家

鳴家
神殺し...

遥翔
は?

鳴家
決めた...僕の願いは“神様を殺す”ことです

遥翔
えーっと、つまり僕を殺すって?

遥翔
...それに関しては動機を聞いても良い?

鳴家
神様ってことは全知全能なこの世界の創始者な訳じゃないですか

遥翔
うん

鳴家
僕、そういう優越感に浸ってる力を持つ存在って嫌いなんですよ

遥翔
うん

鳴家
だから殺すことにしました

遥翔
うん?

遥翔
端折りすぎじゃない?

鳴家
?

遥翔
つまり、劣等感に苛まれるから他人に八つ当たりするって解釈で良い?

鳴家
今、殺されたいですか?

遥翔
君に僕を殺すことなんて不可能だけどね

鳴家
ふざk

僕は持っていたナイフを
男の顔へ押し出すように
力を込めた。
しかし、その瞬間
ナイフは手元から消え
代わりに僕の首後ろに
ヒヤリとした感覚がした。
遥翔
ほら

男は正面にいるのに
持っていたナイフだけ瞬間移動し
単体で僕の首後ろにまわった。
遥翔
正直、僕にとって人間の命なんて塵に等しい

遥翔
殺そうと思えばいつでも殺せる

遥翔
でも僕は君にチャンスを与えてる

遥翔
神になって僕を殺すか、今返り討ちにあって殺されるか

遥翔
このチャンスを活かすかどうかは君次第だ。さあ、どうする?

鳴家
はぁ...前者で

遥翔
そうこなくっちゃ

鳴家
でも、やけに肯定的ですね。自分が殺されるって言われてるのに...

遥翔
別に...そんなことないけど...

鳴家
そうですか(何か裏がありそうだな...)

鳴家
ところで、ライバルはどこにいるんですか?

遥翔
どうしてそんなこと聞くの?

鳴家
さっき評価がどうとか言ってましたよね?

鳴家
つまり、僕以外にも受験者はいるんですよね?

遥翔
まあ、いるにはいるけど...場所までは言わないよ?

鳴家
残念です、蹴落とせなくて

遥翔
でも大丈夫、“神の力”を使えばそんな君でも有利になるよ

鳴家
言い方がムカつきますけど、“神の力”って何ですか?

遥翔
んー...そうだなぁ...

遥翔
じゃあ君には...

遥翔

遥翔
“武器を射出する力”と“両手から矢を放つ力”をあげるよ

鳴家
矢も武器の一つなのでは?

遥翔
詳しく説明するね

遥翔
まず“武器を射出する力”は君がこれまでに触れたことのある物限定で射出できるんだ

遥翔
だから触れたことのある武器になりそうな物は...

遥翔
ナイフ、包丁、ハサミ、カッター、ノコギリ...くらいだね

鳴家
日常の物すぎて驚きはないですね

遥翔
次に“両手から矢を放つ力”は文字通り両手からクロスボウの矢を放てるんだよ

鳴家
あの、さっきから気になってるんですけど...もしかして僕の記憶が見れるとかそういう力使ってます?

遥翔
使ってるよ〜

鳴家
不快です、不愉快です

遥翔
えー、でもさ?記憶に則した力の方が安心感あるでしょ?使いやすそうだし

鳴家
理解できるのが癪に障りますね

鳴家
てか、それ以前に殺したい相手の力を使うっていうのも嫌すぎます

遥翔
え?じゃあやめ

鳴家
ません

遥翔
気難しいね君って...

遥翔
あ、ちなみにどちらも射出制限はないからね

遥翔
じゃあ君を会場まで転送するね

遥翔
ここでの記憶は無くなるけど、また力に関しては思い出せるようにするから安心して

遥翔
じゃ、行ってらっしゃーい
